ド派手な入場曲に合わせて、さっそくHECATEダンサーズが姿を現しました。オール金髪で黒のサングラス&コスチューム姿。未来的フォルムをもつ、セクシーな美女軍団ではないですか。おまけに彼女たち、凄そうなブツ(ライフル?)を構えていますよ。中央に立つリーダーらしき方は、重厚なバックパックを背負っています。いったい何が始まるのでしょう? TEAM COLORSの面々も「ヤバーイ!」と興奮が抑えきれないようです。
TEAM COLORSさんに『デリハイ』が帰宅後、感想をお伺いをしてみました。みなさん『デリハイ』の興奮が冷めぬまま、「テンション上がりました!単純に楽しかったです!大きなイベントで来て欲しい!」「場を盛り上げたいときやサプライズなどのときにとても良いと思いました!一緒に踊ったり、皆さん面白くて楽しかったです♪」など、“ハイ”テンションのコメントをくださり、『デリハイ』にご満悦の様子。
——Teddyさんがプロデュースを担当した“melty world”までは、バキバキのEDMというよりも「kawaii futurebass」が中心でしたよね。一方で“melty world”は、《Put your hands up now》という歌詞も含めて、ライブの風景が想像できる曲になっていると思いました。
Kizuna AI(キズナアイ)は、2016年12月に活動を開始した(自称)世界初のバーチャルYouTuber。自身の運営するYouTubeチャンネル「A.I.Channel」の登録者数は230万人を突破し、ゲーム実況専門チャンネルである「A.I.Games」の登録者数も110万人を突破した。現在はYouTubeに限らず、多方面にて活動の場を広げており、日本国内だけでなく海外からも人気を博している。そんなキズナアイの使命は世界中のみんなと繋がること。その一環として、VRやAIといった先端テクノロジーと人間の架け橋になろうと日々奮闘中。さまざまな壁を超える手段として、本格的な音楽アーティスト活動にも取り組んでいる。(c)Kizuna AI
もともとの理念がテクノロジーとポップカルチャーのイベントというだけあり、体験型のアトラクションもちらほら。まずMARVEL本家のブースにはキネクトを用いたアトラクション「BECOME IRON MAN」がお目見え。モニターに戦闘シーンが一人称視点で写し出され、手のひらから出る非行安定装置を転用した武器を操ることができるのです! 憧れですよね、アイアンマンのスーツを着るのは。ハルクバスターにも乗れましたよ!
いえ。綾斗くん(小原 綾斗)に、「(曲のイメージが)見えたほうがいい」言われて、「THIS IS ME」というタイトルやリリックの内容、「色はレインボーで」とか、とにかく自分なりにいっぱい説明しました。で、デモが返ってきて、メロディーは私が作ったものに置き換えて、綾斗くんのデモの段階ではサビだった部分が間奏になって。
――それでおっしゃったようなカオスに。
私も感覚的だけど綾斗くんはもっと感覚的な人で、お互いばらばらで通じないところが入り混じったり、かたやThe White Stripesとかゆらゆら帝国とか、ルーツが近い部分もあるから、そこで重なったり。で、夏樹くん(藤本夏樹)とAAAMYYYちゃんは、個性を発揮しながらうまくバランサーにもなってくれた。そんな感じで、お互いが置きにいかなかったのが良かったなって、思います。
2014年にリリースした“Uptown Funk ft. Bruno Mars”が全米シングル・チャートで14週連続1位を記録するメガ・ヒット曲となり、2016年のグラミー賞では「年間最優秀レコード賞」を含む2冠を達成するなど、世界的プロデューサー/DJとして活躍するマーク・ロンソン。彼が2018年12月17日、星野源とのダブル・ヘッドライナー公演を開催しました。今回はジャンルも作風も多岐にわたるオリジナル曲/プロデュース&ゲスト参加曲の歴史と、ダブル・ヘッドライナー公演当日のレポートで、彼の魅力を改めて振り返ります。
1:ジャンルや時代を軽やかに横断するオリジナル曲の数々
1975年にロンドンで生まれ、NYで育ったマーク・ロンソンは、NY大学在学中にNYのヒップホップ系クラブでDJ活動をスタート。NYのヒップホップ/R&BシーンでDJとして人気を獲得します。その頃からの特徴は、ヒップホップやR&Bにこだわることなく、むしろロックやクラブ・ミュージックをはじめとする幅広い興味を反映したDJプレイ。その雰囲気は2003年の1stアルバム『Here Comes the Fuzz』にも顕著で、ここにはモス・デフやゴーストフェイス・キラー、ジャック・ホワイトやリヴァース・クオモといった幅広いゲストが集結しました。とはいえ、マーク・ロンソンが世界的なDJ/プロデューサーとして広く認知されたのは2007年の2作目『Version』。この作品ではコールドプレイやズートンズ、カイザー・チーフスといったUKの人気アーティストを中心にした楽曲を、エイミー・ワインハウスやリリー・アレンらとともにモータウン/スタックス風のソウル・アレンジで再解釈。自身初の全英チャートの2位を記録し、翌年にはブリット・アワードも受賞。
Oh My God ft. Lily Allen(2007年作『Version』収録)
続いて2010年には、マーク・ロンソン&ビジネス・インターナショナル名義で、当時アンダーグランドで盛り上がっていたディスコ・ブギーの再評価などにも通じるようなアナログ感満載の70~80年代風レトロ・ソウルを形にした『Record Collection』を発表。“Bang Bang Bang”のMVでの日本語や日本のドラマ作品へのオマージュも話題になりました。
また、自身のソロ名義での最新曲“Nothing Breaks Like a Heart ft. Miley Cyrus”では、マイリー・サイラスをゲストに招集し、LAのリック・ルービンのスタジオでレコーディング。2018年以降アメリカのポップ・シーンで増えているギターのアルペジオなどを効果的に使ったサウンドで、自身の新たな興味を形にしています。ちなみに、このコラボはマイリーの歌声に惚れ込んだマークが何度もラブコールを送って実現したもの。マイリーは11月に起きたカリフォルニアの山火事によって自宅を焼失しましたが、《This burning house/There's nothing left》という歌詞の一節が現実になるという哀しい偶然も……。
Nothing Breaks Like a Heart ft. Miley Cyrus(2018年)
一方で、そうした自身のオリジナル曲に大きな影響を与えてきたのが、多岐にわたるプロデュース業や様々なアーティスト作品へのゲスト参加曲。マーク・ロンソンのキャリアを振り返ると、プロデュース曲での音楽的な冒険が後に自身の楽曲のヒットにも繋がるという、アーティスト/プロデューサーの2つの顔を持つ彼ならではのヒットの法則が見えてきます。中でも彼の名前を一躍有名にしたのは、サラーム・レミとともにアルバム・プロデュースを行なったUKの歌姫エイミー・ワインハウスの2006年作『Back to Black』の収録曲“Rehab”でした。
こうした楽曲のヒットに続く形で、その後アメリカのポップ・シーンでもプロデューサーとしての人気を広げていった彼が、2012年に担当したのがブルーノ・マーズの『Unorthodox Jukebox』収録曲“Locked Out Of Heaven”。ここではよりクロさを持ったファンクに焦点を当て、2014年の“Uptown Funk”に繋がるサウンドの変化を徐々に進めています。
ブルーノ・マーズ「Locked Out Of Heaven」 (2012年作『Unorthodox Jukebox』収録)
以降はポール・マッカートニーを筆頭にしたレジェンドの楽曲もプロデュース。同時に映画『スーサイド・スクワッド』のサウンドトラック収録曲“Standing In The Rain”では、アクション・ブロンソンとザ・ブラック・キーズのダン・オーバックによる楽曲にゲスト参加し、ドラム・ビートを生かしたプロダクションを提供したことも記憶に新しいはずです。
ポール・マッカートニー「New」(2013年作『New』に収録)
Action Bronson & Dan Auerbach (of The Black Keys) ft. Mark Ronson「Standing In The Rain」(映画『スーサイド・スクワッド』サウンドトラックに収録)
そして12月17日、マーク・ロンソンと星野源による一夜限りのダブル・ヘッドライナー公演<LIVE in JAPAN 2018 星野源 × MARK RONSON>が実現! 幕張メッセに集まった超満員の観客の前に登場したマーク・ロンソンは、マイリー・サイラスとの楽曲“Nothing Breaks Like a Heart”でDJをスタート。DJ卓の上には“Nothing Breaks Like a Heart”のジャケットと同じミラーボール製のひび割れたハートも登場し、会場は一気に華やかなダンスフロアへと姿を変えていきます。
続いてディプロとのユニット=シルク・シティとデュア・リパのコラボ曲“Electricity”へと繋いで彼の最新モードを伝えると、以降は1stの収録曲“Ooh Wee”や、テーム・インパラのケヴィン・パーカーを迎えた“Daffodils”&ミスティカルを迎えた“Feel Right”といった2015年の『Uptown Special』の楽曲を披露。続いて、この日共にヘッドライナーを務める星野源との音楽的な共通点でもあるマイケル・ジャクソンの生誕60周年に公開したマイケルのマッシュアップ曲“Diamonds Are Invincible”をさらにミックスしたバージョンをプレイすると、観客からさらなる歓声が巻き起こりました。
その後は観客に「レジェンドから、もうひとりのレジェンドへ!」と告げて、自身のアルバム『Version』の収録曲でエイミー・ワインハウスがヴォーカルを担当したザ・ズートンズのカヴァー曲“Valerie”を披露し、そのまま代表曲“Uptown Funk”に繋げて会場からもこの日一番の大歓声。最後はクリスマス・シーズンに合わせてマイリー・サイラスとコラボレーションした新曲で、古くからの友人・ショーン・レノンも参加したジョン・レノンとオノ・ヨーコの名曲“Happy Xmas (War Is Over)”のカヴァーを披露して約40分間のステージを終えました。
「Watashi wa Nihon ni modotte kite minasan ni aeru koto o totemo kōfun shite imasu.
Pātī ya machi de anata ni aeru no o ureshiku omoimasu, Mosco.」(原文ママ)
11月7日にリリースされたavengers in sci-fiの新作『Pixels EP』。新進気鋭のヒップホップユニットTENG GANG STARRをフィーチャー、DATSのMONJOE、DE DE MOUSE、The Band Apartの木暮栄一によるリミックスを収録するなどコラボレーションをテーマにした意欲作だ。
2019 (No Heroes) feat. TENG GANG STARR
そのリリースを記念したトークイベント<ロックスターの居た街>が11月20日に新宿のRock Cafe Loftにて開催された。avengers in sci-fiの木幡太郎とインタビュアー村上がゲストにDJタイラダイスケを迎える形で行われた当企画は、お酒を飲みながらバンドの今までとこれからについて語るというラフな空気ながら、今まで語られなかった秘話や、音楽シーンを取り巻く現状にも踏み込んだ貴重な内容となった。
Talk session
木幡太郎 × タイラダイスケ
タイラダイスケ(以下、タイラ) そういえば、古参ファンはavengers in sci-fiをアベンジャーズって呼ぶけど、いつの間にかアベンズに変わったよね。
木幡太郎(以下、木幡) avengers in sci-fiってミスチルみたいに略せないから、ケミカルブラザーズがケムズって略されてるみたいに海外風の略を考えたいと思って、半ばふざけた気持ちでブログでアベンズって言っていたら浸透して。それと〈Hip Land MUSIC〉に所属する時にちょうどTwitterが盛り上がり始めて、検索されやすいワードにする必要がでてきて。で、某大物マネージャーが「アベンズ」を正式な略称にしちゃおうよって言ったみたいですよ
――2012年4月にリリースの『Disc 4 The Seasons』は、宇宙的、未来的なものにエクスタシーを感じなくなったため、俯瞰した視点でストーリーを描くスタイルから一人称の音楽へ変化したアルバムになっています。なぜ「宇宙的、未来的なもの」から気持ちが離れ始めたのでしょうか?木幡 まあ単純に飽きてきたっていうことですかね。他にもやりたいことっていっぱいあるじゃないですか。血迷ってブルースやりたいねって時もあるし。かっこ良い言い方をすると、自分たちの引き出しがアベンズの枠を超えちゃったっていうか。
タイラ 宇宙的、SF的みたいなアベンジャーズの外堀イメージが、この後出る『Unknown Tokyo Blues』からだいぶ変わってきたよね。その時やりたいけど、怖いっていう感覚はなかったの?
木幡 滅茶苦茶ありますよ。エモとかポストハードコアってメロコアから地続きのジャンルなんですけど、メロコアの「モッシュしようぜ」って音楽からもうちょっとエモーショナルに、泣かせる音楽性にシフトしていったり、テクニックの面でも向上して音楽性が広がっていったジャンルなんですよ。それは音楽的には正当な進化なんですけど、キッズたちはもっとモッシュさせてくれよ、とうずうずしていて。それまでどの会場でもお客さんがパンパンだったバンドが、音楽性を変えた瞬間にお客さんが離れちゃうっていうのを結構リアルに見てきた世代だったので、そうなるのは結構覚悟はしましたね。
――2014年にリリースした 『Unknown Tokyo Blues』では、今までは物語性を重視してきたアベンズが現実、生活していて感じることを音楽に落とし込んだ今までとは雰囲気の違うアルバムにもなっています。こうした変化はなぜ起きたのでしょうか?木幡 やっぱり『Disc 4 The Seasons』は一人称使うとか、チラ見せみたいなところがあって。俺『Disc 4 The Seasons』の嫌いなところって、自分で歌っててイタいのよ。それまでラブソングとか歌うのを頑なに我慢してたから、その反動で、昔フラれた女の子の話とかがリアルに出てきちゃっているというか。『Disc 4 The Seasons』の曲の歌詞は自分の体験をそのまま歌にしていて、それに対して『Unknown Tokyo Blues』は自分が見た世界、自分が見て感じた世界を詞にしているっていう。
――2017年3月に会場限定リリースした『Light Years Apart』について伺いたいのですが、この歌詞は何を歌っているのでしょうか。僕はこれから独立しようとしているアベンズの船出の曲なのかなって思ったのですが木幡 まあまあ近いかな。月並みだけど、凄い遠くまで来たなっていうニュアンスで。高校の頃に何も考えないで始めた、パンクロッカーだった少年が、ああ、こんなところまで来たんだなっていう。まああとこれに関しては若い頃の地元の友達に対して宛ててる歌でもあって。しょうもないことをしていた友達が結婚していくのを見て、お前が結婚するのかよ、本当にイカれてるなって。それが羨ましくもあり、嬉しくもあり。俺はとてもじゃないけどそんなことできないなっていう。あと俺らみたいな零細バンドがレーベル作って、フリーでやっていこうなんて最高にイカレているじゃん。もうここまで来たらとことんイカレたことやろうよって自分たちを後押しする意味も含んでます。
――クリエイティブベース〈SCIENCE ACTION〉を設立した経緯を聞かせて頂けますか?木幡 メジャーとは1年毎に契約していたんだけど、次どこか探してもまた同じことを繰り返すだけだなと思って。メジャーレーベルって慈善事業じゃなくて商売だから、俺たちみたいなバンドが結局またメジャーと契約したとして、アルバム出して売れませんね。じゃあ契約切れですねっていうのを繰り返すんだろうなっていうのは目に見えているなと。それって無駄な時間だなって思ったのよ。継続とか蓄積がリセットされちゃうわけで。それなら自分たちがカッコいいなと思えることをやった方が良いなと思ったっていうのはすごくある。それにやっぱりメジャーと契約していると関わる人が多くなってきて、バンドのイメージ一つにしても全部を把握してコントロールするのって凄い難しい。なんか違うなって思ってももう手遅れでっていう事に妥協するのが普通になっちゃう。そういうの耐えられるタイプじゃないんで、まぁ早い話が向いてなかったなと……(笑)。
タイラ そもそも今の時代のレコード会社の在り方っていう話でもあるよね。昔CDが売れていた時代は「良いものやろう」っていう人達もレコード会社にいれたけど、今はCDが売れなくてレコード会社の体力自体が無くなってきているから、短期的な売り上げを望めないとそもそもバンドがレコード会社にいられないっていうね。もちろん純粋なレコード会社で働いている方もいっぱいるとは思うんだけど、でもレコード会社の体力が年々無くなってきているというのも事実で。だから時代の流れ的に、太郎君がもっとクリエイティブなことをやりたいなって思った時に、このまま惰性でメジャーと契約し続けるのが自分のやりたいことと一致するのかなっていう疑問が正直あったと思うんだよね。
木幡 時代的なことだとSNSの登場ってすごく大きくて。それまではメディアを使って声明を発表するっていうのが普通だったけどそれが自分たちでやれる時代になったっていうのは、2002年のバンドを始めた頃からすれば本当に理想的な状態っていうか、音源とか情報とか全部自分たちで出して、フライヤーとか物販とかも全部自分たちで作ってっていうか、そういうのが一番理想だったんですよね。
タイラ 太郎くんのルーツであるパンクとかハードコアってDIY、全部自分たちのことは自分たちでやるんだっていう精神性のもとに成り立っている音楽だったりするわけじゃないですか。結局そこに立ち返ったっていうことかもしれないよね。
――次に2017年9月にリリースされたシングル『I Was Born To Dance With You/Indigo』の話を伺いたいと思うのですが、“I Was Born To Dance With You”の歌詞にはどういう意味が込められているのでしょうか?木幡 俺の中ではダンスミュージックってそんなに深いこと歌っちゃいけないんですよ。この曲の詞はダフト・パンクの“Digital Love”を下敷きにしているんだけど、“Digital Love”って夢の中で好きな子と踊ってるみたいなくだらない歌詞で。俺の中ではダンスミュージックってそんなに深いこと歌っちゃいけなくて、朝まで踊ろうよっていうのがダンスミュージックに関しては正解というか。それがカッコいいんすよね。それが基本にあったうえで一応俺の死生観を反映していて。諸行無常じゃないけど、皆んないつかは離れて行くもんだという。まあ出会っては消えて行った人達が自分を形作っているっていう気持ちも込めつつ誰しも究極的には1人というか。
――それに対して“Indigo”は失恋ソングだというように伺っていますが、「Indigo」は何のメタファーなんでしょうか?木幡 「Indigo」は俺の中で空とか海のメタファーで。メキシコってこの曲に出てくるじゃないですか。俺の中でのロードムービーのイメージって大体メキシコを目指すんすよ。犯罪犯してアメリカにいられなくなった奴らが道中で金盗んだり、いきずりのセックスしたりしながら。で、最終的な目的地がメキシコのビーチだったりする。これは、5年間一緒に住んでいた女性に家を追い出されたことを題材に書いた詞なんだよね。ふられると急に自分のあてどなさとかしょうもなさが客観的に見えるようになっちゃうもんで、先の見えないバンドマンとかメキシコを目指すロードムービーみたいなもんだなと。まあ「Indigo」を見せてやれなかったなっていう贖罪の歌だよね(笑)。
木幡 “True Color”のデモを作った時はアシッドハウスっぽいものを作りたいなと思ってたんです。でも作ったのが1年前なんで自分にとってもう少しタイムリーにしたくて。まんまアシッドハウスだと懐古的すぎる気もしたし。ヒップホップって今すごいじゃないですか。どんどん新しいものが出てくる。対してロックフィールドって相変わらずカートコバーンの再来を待っている感じなんだけど、XXXTENTACIONとか皮肉にもそれがヒップホップのフィールドから出てきてっていう状況だし。ヒップホップから受けた刺激を反映したいなと。
タイラ デモから今の“True Color”に変えたのは、ただのリバイバルじゃ面白くないって思ったってこと?
木幡 それもあります。あと“True Color”のマスターバージョンでは、生ドラムを使いたくなくてセッションでグルーヴの確認だけしてそれを打ち込みに置き換える作業をしたんです。ロックって、クラブミュージックとかヒップホップと比べてデカいホールでDJが流した時にぐちゃぐちゃになってしまうっていうか。
タイラ クラブミュージックとかヒップホップって大きい音量でDJがかけることを前提に作られてきた音楽だけど、ロックってそもそも大音量で聴かれる音楽じゃなかったっていうことがあるかもしれないね。
木幡 日本だと無理してロックで踊らなきゃいけないってなっちゃってるんじゃないですか。でも直感的に踊らそうと思ったらロックがクラブミュージックとかヒップホップとかテクノとかハウスミュージックに勝てるわけがないですよね。 やっぱりロックって演奏しているのが強みだから、演奏しているのを見せてなんぼですよ。
タイラ そうだね。あとはロックっていうのは音だけじゃなくて、その裏側にあるストーリーとか、エモーショナルなもの、歌詞の意味とか、そういったものも良いなって思う要素だったりするからさ、聴いてるお客さんはそれも含めて楽しめるっていうのがロックの良さだと思うけれど、音だけでいうと確かにそうかもしれないね。
木幡 “Hooray For The World”のデモを作った時はPeggy Gouとかよく聴いてて、ガチ・アシッドハウスみたいな曲になったんですけど、1年たって聴くとつまんないなって思っちゃって。で、合宿に入った時俺はなぜかすごいプリンスを聴いていて。そういえば昔ラジオでプリンスっぽいよね、ゲイ・ミュージックだよねって言われたことがあって。最近その意味がわかるようになってきて、確かにプリンスの曲きくとコード進行がすごく少なくて、ハウス的っていうか。ゲイをはじめ虐げられる側の人たちの居場所としてハウスとかが流れるクラブが発展したっていう歴史があるんですけど、そういう歴史を踏まえてのゲイ・ミュージックっぽいよねっていう話だったと思うんですよね。で、プリンスの”I would Die 4 U”が“Hooray For The World”のマスターバージョンの元ネタになっています。コード進行が1パターンで進むところとか参考にしてます。
avengers in sci-fi人気曲投票企画
1位「Yang 2」
2位「Sonic Fireworks」
3位「Citizen Song」
4位「NAYUTANIZED」
5位「I Was Born To Dance With You」
6位「Homosapiens Experience」
7位「Dune」
8位「avenger strikes back」
9位「Before The Stardust Fades」
10位「Tokyo Techtonix」
11位「Odd Moon Shining」
12位「Pearl Pool」
13位「Starmine Sister」
13位「Riders In The Rain」
15位「Universe Universe」
16位「Wish Upon The Diamond Dust」
17位「Crusaders」
18位「No Pain, No Youth」
19位「Two Lone Swallows」
20位「Psycho Monday」」木幡 10位の“Tokyo Techtonix”は同窓会の歌的なところがあって。「変わってたのは俺の方ではないぜ」っていう部分、同窓会とか行くと「お前変わったな」とか言われるわけよ。そいつとしては、お前東京に染まってんじゃねえよみたいな。そういうやりとりってあるでしょ。でも俺からすると変わったのはお前の方じゃないかよっていう。9位の“Before The Stardust Fades”はシングルカットしなかったことを今でも悔やんでいて。アイデアは最高だったなって。これ湘南乃風がやりそうなアッパーなレゲエのドラムを引用していて。稲見と一緒に車で帰っているときに、レディオ湘南で湘南乃風かMINMIがかかったんすよ。で、これ取り入れたら面白いなって直感的に思ったっていう(笑)
タイラ あの時代のレゲエは一世を風靡したからね。音楽知らない人が聴いても、アガる状態だったもんね。
木幡 そういうのを自分たちなりにアレンジするのが好きなんですよ。単純にオリジナルじゃなくて。組み合わせの妙で勝負していくっていうのがやっぱり音楽家の腕の見せ所だなと思っていて。俺たちなりに調理するとこうなるんだぞっていう。7位の“DUNE”はこういう曲を作りたくてギターを始めたって言っても過言ではないくらい、滅茶苦茶俺も大好きな曲で。リフが中心の音楽を日本の音楽に落とし込むって結構大変で。J-POPってやっぱりメロディーを基準に作ってあって、メロディーにリフが添えられてるという状態。対して本来的なロックンロールってリフに歌が添えられているっていう感覚だから、多分海外だったらイントロのリフで1曲突っ走るみたいな音楽にすると思うんですよね。要するに日本的な歌謡性と欧米産のロックのメカニズムってすこぶる相性が悪い。
タイラ 確かにこれまでアベンジャーズの曲でギターのリフ一発で行くっていうのがあんまり無かった気がするね。
木幡 まあでもリフってちょっと古い概念で、もうニルヴァーナで最後だったのかなっていう。
タイラ “Smells Like Teen Spirit”とかね。
木幡 あれがやっぱり理想だったんで。どうやったら俺がニルヴァーナみたいな曲を作れるんだろうってことは実はずっと考えていたことで、それができないから“NAYUTANIZED“を作って、“avenger strikes back”を作ってっていうのを続けていたんですけど。ようやくニルヴァーナからの影響を、胸を張れるレベルで形にできて。やっとここまでこれたんだなっていう感じは本当にしているんですよね。
――アンケートの中で、第6位の“Homosapiens Experience”は「朝に限らず何かをスタートするときに聴くととても気分があがるし元気がでるから」という理由で投票された方がいらっしゃいました木幡 「それは的を得ていて、この曲はどんな時間帯に聴いてもアッパーに聴こえる曲にしたかったんですよ。曲のテンポとかって人間のバイオリズムと切り離せなくて、体調によって感じ方が変わるんですよ。だけど“Homosapiens Experience“はどの時間、どの体調で聴いても早いと感じると思います。4位の“NAYUTANIZED”は楽譜に起こしたらすごい綺麗だと思うんですよね。楽譜に隙間が無くて、どっかしらに音が入っているみたいな。それが余裕の無さであり、だから今聴くと若いなっていう。
“I Was Born To Dance With You”も同じノリで休むところがない。この2曲とか、多分その道の専門家が言えば、これ同じ曲だねってなると思う。大人になった“NAYUTANIZED”が“I Was Born To Dance With You“っていうのはちょっとあるな。“Homosapiens Experience”“I Was Born To Dance With You”“NAYUTANIZED“の3曲は本当に同じタイプの曲で“I Was Born To Dance With You”を作った時、俺ハウス版「Homosapiens Experience」作りたいんだよねって言って。“Homosapiens Experience”はサビとバースの境が無いし、“I Was Born To Dance With You“もフックから入っていて、Aメロ、Bメロ、サビじゃない構造とか、瞬間的に沸点に行く感じというのは同じ。そして“Citizen Song“が3位に入っているのは皆さんお目が高い。
タイラ これは良いことですよ。だって“Citizen Song”ってやりたいことやったぜっていう曲でしょ?
木幡 真面目にやっていると思われたらちょっと困っちゃうんだけど、“Citizen Song“ってレッドツェッペリンの“Immigrant Song”、邦題「移民の歌」と同じリフを弾いていて。そこからの“Citizen Song“=「市民の歌」っていう。
タイラ 「移民の歌」と「市民の歌」とかけたってことでしょ?
木幡 そうそう。ヒップホップのサンプリングカルチャーをロックバンドでやるっていう。2位の“Sonic Fireworks“はアイデア満載だし、凄いと思うけど、まあちょっと歌詞とかは若かったというか、今思うともうちょっと深みのあるものを書けたかなって。“Yang2”もできたときは凄い好きだったけど。瞬間的に好きなものってあるじゃないですか。熱しやすく冷めやすいみたいな。
タイラ でもこの曲は凄くコマーシャルというか、バチッていう瞬発力が滅茶苦茶ある。
木幡 瞬発力は俺らずっと意識しているんですけど、それって結構ダンスミュージック的じゃないんですよね。パンク的というか、一瞬でモッシュさせるみたいな。
タイラ でもそれはやっぱりロックの良さでもあるよね。ニルヴァーナの“Smells Like Teen Spirit”のリフが聴こえてきた時にうわーってなるみたいなことを、自分たちのやり方でどうするのかっていうのは、ロックバンドは多分みんな考えていると思う。
木幡 なんかそういうのと、ダンスミュージック的なサウンドメイクを同居させたかったっている感じはあるんですけどね。そこら辺が俺たちが中途半端な理由でもあり。まあでも“Yang2“もやっぱり、歌詞もそうだね……。
タイラ やめなさいよ(笑)
木幡 いやいや関係ない。俺の意見だから。歌詞って一番過去の自分と向き合わなければならない瞬間で、本当に昔の自分の髪型見ているみたいな。自分の昔の写真見て、うわーって思うじゃないですか。『Disc 4 The Seasons』の曲ってそういう時期なんですよ。
タイラ それはもうちょっと経たないと太郎君が認められないかもしれない。
木幡 確かに。今はちょうどこの時期と対極にあるし。まあでもハマる要素っていうのはあるだろうなって思う。
現在公開中の映画『青の帰り道』や1月26日(土)から全国公開となる『デイアンドナイト』や、SALU“Good Vibes Only feat. JP THE WAVY,EXILE SHOKICHI”や、向井太一“Siren(Pro. tofubeats)”のミュージックビデオなど話題作が続いているクリエイティブチーム〈BABEL LABEL(バベルレーベル)〉。注目を集める彼らがオリジナル映画製作プロジェクト「BABEL FILM」を始動させ、未来をテーマにした3篇のオムニバス作品『LAPSE(ラプス)』を完成させた。
MOBILE CREATIVE AWARDグランプリを受賞した『Converse 110th Anniversary SHOES OF THE DEAD』のWEB CMなどを手がける志真健太郎監督は、『SIN』と題した作品で主演に栁俊太郎を起用。幼少期に政府の教育機関のシミュレーションで見た暗い未来が現実化し、苦しむ男を描く。
Awich 『紙飛行機』 のミュージックビデオなども手がける、〈HAVIT ART STUDIO(ハビットアートスタジオ)〉のメンバー今野里絵監督の『リンデン・バウム・ダンス』は、人間が人工知能に医療を委ねている未来を舞台に、主人公の大学生ヨウと寝たきりの祖母の関係や、夢の世界を軸にストーリーが進んでいく。セリフの少ない感覚的な役柄のヨウをSUMIREが演じているのも見どころの一つ。
ここ日本でも著名なDetroit Swindleのレーベル〈Heist〉や、ドイツの名門レーベル〈Dirt Crew Recordings〉からのリリースで注目を集め、自身のレーベル〈Quartet Series〉から待望のフルアルバム『When You Find a Stranger in the Alps』をリリースしたNachtbrakerは、10年以上に渡る彼のキャリアの長さとは裏腹にまだ27歳。
ーー個人的にはB1-Randy、C-2 Just Doing My Thang、D-1Aliensがお気に入りなのですが、アルバムの中で特に気に入っているトラックはありますか?
ありがとう。正直言って全部の楽曲が好きだからね(笑)。自分にとってベストじゃない曲はアルバムに入れないよ。強いて言えば「Driving Me Lazy」「 Horsepony」そして「Just Doing my Thang」は作れたこと自体に誇りを持ってるし、プレイするのは「Flambo」と「Randy」が最高だね。
発売を一か月過ぎても未だその実売ペースに衰えを魅せない星野源のニューアルバム『POP VIRUS』。それは、2018年を振り返るタイミングでの彼の露出や当人の取り上げられ方も手伝い、発売~昨年末はファンを中心に、年末から年明けには作品の評価もあいまって、幅広い層が同作品に触手を伸ばしていると聞く。
そもそも星野源の人気の裾野は広く、日本国中の老若男女を巻き込んだものだ。NHK紅白歌合戦では「おげんさんといっしょ」での出演に際する「SUN」の歌唱と、後半に於ける自身での「アイデア」でのダブル出演。また、その日の歌手別視聴率では全出演者中3位の43.5%(後半平均視聴率41.5% 。共に関東圏ビデオリサーチ調べ)を記録。加え年始では、歌手方面以外の役者面や人間面がクローズアップされる場面も多々。CM出演や各種露出、NHKの新大河ドラマ「いだてん」での役者出演等々、国民的人気や幅の広さ、支持のされ方を伺わせた。
そんな『POP VIRUS』なのだが、彼のパブリックイメージや、TBS系火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』での“恋”、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の“アイデア”、日本テレビ系水曜ドラマ『過保護のカホコ』の“Family Song”といった主題歌群。花王ビオレuボディウォッシュCMソングとしても周知の“肌”、スカパー!『リオ2016パラリンピック』テーマ曲“Continues”等々、昨今の彼の放ってきたシングル曲やヒット曲、タイアップ曲で構成された全編を想像し、プレイするとやや意外な面に出くわす。
星野源 - Family Song【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Family Song
それは上述の収録代表曲たちから想起させる、華やいだ明るさを有した、老若男女が楽しめる、ポップでキャッチーでエンターテインな楽曲だけでなく、プログラミングや現行のエッジーなな音楽的トレンドが多く用いられていた点だ。しかもそれらはどれもあえて音数を少なくしている感も伺える。これらは、「幅広く・分かりやすく」よりも、私信やパーソナル的な、より傍らで伝えられるかのように私の中では響いた。これこそが星野源が連綿と紡いできた本質。個と個のパーソナル、そして、どこか彼の歌にまとわりついている寂寞とした本質さが今作でも変わらず生きづいており、サウンド面に於いても元々リスナー体質で古今東西かなり幅広い音楽を聴き、それを自作でも落とし込んできた彼らしさとも結びつけることが出来、こちらも嬉しかった。
これまで以上にソウルフルさに重きが置かれた感のある作品。とは言え、それは別に表立っての高らかな熱唱とはまた違い、スウェイな部分や歌にグルーヴを感じさせる類い。そんな今作を紐解くと、MPCプレーヤーとしてのSTUTSの参加の影響に行き着く。MPCをリアルタイムでパットを打つことで、音質はマシナリーながら人間的なグルーヴ感を生み出していることは“アイデア”のMVからも立証済み。
星野源 - アイデア【Music Video】/ Gen Hoshino - IDEA
また、ヴィンテージのアナログシンセ類も多用され、それらはゴージャスに響く楽曲群に対抗するかのようにチープ感を擁しながらも、深みのある音となり、対象さやメリハリ、コントラストづけに一役買っている。長岡亮介(G.)、ハマ・オカモト(B.)、河村"カースケ"智康(Dr.)、櫻田泰啓(key)、石橋英子(Key&Cho.他)といったおなじみの豪華サポートメンバーも全面参加。適材適所な存在感を醸し出している。
『POP VIRUS』全収録曲を一挙紹介
以下は各曲における“ポップ・ウイルス”の採取報告だ。
まずはウォームなギターと星野のソウルフルな歌声による出だしから、長岡亮介、石橋英子とのコーラスとSTUTSの作り出すスネア処理にアクセントをつけたリズムに、傍らで永遠を伝えるようにしっとりと歌う星野の歌声と、徐々に生命力を帯びていくバンドサウンドとストリングスも印象的。ここから愛が花を咲かせ、根を張り、種となり、また芽吹き、花をさかせていくアルバムジャケットとのリンク性も伺える“Pop Virus”から今作は幕を開ける。うって変わりパーッと華やかな空気に。
星野源 - Pop Virus【MV】/ Gen Hoshino - Pop Virus
老若男女を一緒に踊り歌わせた大ヒット曲“恋”が続いて登場。アルバムミックスで聴くとその印象がまた違うのが新鮮だ。
星野源 - 恋【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Koi
また、モータウンポップスライクなブラッキーでファンキーながらもポップさやバカラックテイストも織り交ぜた、ゆっくりと身体をスウェイさせたくなる“Get a Feel”。スネアのアクセントと躍動感のあるベースラインとウォームで左右にパンされた2種のファンキーなギターと泳ぎ回るストリングスも耳を惹く、肌を合わせていれば言葉は要らないかのような情景が思い浮かぶ“肌”。
星野源 –「肌」【Studio Live from “POP VIRUS”】 / Gen Hoshino - Hada
そして、グリッチポップ的なトラックの上、音数少ない隙間の多い楽器類、いつまでもそばに居て欲しいとの願いを込め、聴き手に各人の愛しい人を想い起させる“Pair Dancer”。チェロを始め厳かなストリングスと厳格なピアノとが神妙さを醸し出し、サビではそこから開放された明るさを得、最後には光へと包まれるかのような、どの水の流れも全ては大海へと向かい出会うことを信じさせてくれる“Present”が次々と現れる。
対して中盤では音数が少ないながらも存在感のある曲たちが耳を惹いた。かなり隙間や余白が多く、コーラスの山下達郎も交え、山下特有のドゥワップ要素やハーモニーも耳を惹く『最後の一葉』の一場面を思い浮かばせる“Dead Leaf”。アコギによる弾き弾き語り風のギターと打ち込み、途中のチューニングもご愛敬な、凄く間近で歌われているように響く、自身の子供の頃を想い起させ、今もあまり変わっていない様に気づかさせる“KIDS”が各々独特の輝きを魅せる。
折り返し地点では、生命力や躍動溢れる曲が響いた。命は続く、日々は続く、素晴らしい光景を眼前に広げてくれ、豪華なゲストコーラス隊とゴスペルを彷彿とさせる生命力と活力、そしてバイタリティを与えてくれる、会場を交えてのハミングする光景も思い浮かぶ“Continues”。また、ブロークンビーツの疾走感と躍動感に乗せ、走り出してくかのような気持ちが歌とサウンドで表された、サビで出会う解放感と、それでも行くんだ感がたまらない“サピエンス”。再びパーッと、彼独特のエキゾチックさと、現代風のウェーヴィな要素もキチンと交えたサウンドと共に、どこまでも行けそうな気がする、大ヒット曲“アイデア”が続いた。
後半は願いや祈りを感じる曲が並んだ。日常感や情景感、ほのかな幸せを広げるように、日々の営みへのささやかな祈りを思わせた“Family Song”。アーバンでアダルティなサウンドの中、星野のウォームなファルセットも印象的。空虚を歌う、この“Nothing”からもどこか祈りの本質が伺えた。そして、ラストは大団円とばかりに、明るくポップにエンタテインメントにとTo Be Continued感たっぷりに“Hello Song”が今作を締めた。
この2月2日からは<星野 源 DOME TOUR 2019『POP VIRUS』>とタイトルされた全8公演にも及ぶ全国5大ドームツアーも控えている星野。今年に入っても、このニューアルバムやツアーの続報、役者やその他面白い動きや話題を交え、数々の彼の話題を随時、各所で耳にすることだろう。そんな中、この『POP VIRUS』は、これからも猛威をふるい、多くの人に感染していくに違いない。しかし残念ながら、まだ現在のポップス史上では、このウイルスに対抗するワクチンや処方箋は開発されてはいない。ならば、逆に自ら積極的に取り入れ、自身を抗体化させるのが最適というもの。但し、この『POP VIRUS』、中毒性がかなり強いので、用法・用量を守り、その摂取と自己管理には充分にご注意あれ。