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フッドめし – HoodFood #06 原島“ど真ん中”宙芳 × TOKYO HEALTH CLUB

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし - HoodFood』。 今夜はシーズン1の#06が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

DoubleDoubleからのバトンを紡ぐ原島“ど真ん中”宙芳TOKYO HEALTH CLUBの4人が待つお店の軒先にママチャリで登場だ。冒頭から撮れ高を気にしてくれる優しい男である。 今回、板橋のフッド・スターがTHCをおもてなすめし処は東武練馬駅北口にある居酒屋「むさし乃」。このお店のDOPEなローカル感は#03のdoooo x KOJOEの川崎・溝の口回にも通ずるものがある。 原島考案の豆乳ハイがメニュー化しているあたり、マスターとの強い繋がりをうかがえる。きゅうりの輪切りが入ったかっぱ割りなど、健康を気にするアラフォー世代に実に優しいドリンクラインナップである。 「週末はレイヴみたいな感じ!」とむさし乃を称える原島。THCの淡々とした静かな緊張感がどうにも笑えるのであった。

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #06 原島“ど真ん中”宙芳 × TOKYO HEALTH CLUB

フッドめし - HoodFood #05 DoubleDouble × 原島“ど真ん中”宙芳

Qetic YouTube

INFORMATION

原島“ど真ん中”宙芳

フッドめし 昭和、東京生まれ、B-BOY お茶目で陰湿、ノリ重視。名実兼ね備えたロクデナシ。 マスターの優しさに惚れ、むさし乃に足繁く通う。 原島“ど真ん中”宙芳 Twitter原島“ど真ん中”宙芳 Instagram

TOKYO HEALTH CLUB

フッドめし 東京都出身のヒップホップ・グループ。メンバーはTSUBAME、SIKK-O、DULLBOY、JYAJIEの多摩美術大学の同級生4名。2010年に結成。2013年、著作権フリーの“インターネット踏み台レーベル”〈OMAKE-CLUB〉より『プレイ』でアルバム・デビュー。脱力系かつスキルフルなラップとクオリティの高いトラックで注目を浴びる。2014年の2作目『HEALTHY』ではメロディアスなフックを取り入れるなどさらなる進化を遂げる。2016年に3rdアルバム『VIBRATION』を発表。2017年にミニ・アルバム『MICHITONOSOGU』をリリース。 TOKYO HEALTH CLUB TwitterTOKYO HEALTH CLUB Instagram

SHOP INFORMATION

むさし乃

19:00~翌6:00/定休日 日曜日 東京都練馬区北町2-36-12 03-6441-3800 詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし - HoodFood LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN/START 18:00 ADV ¥2,000 / DOOR ¥2,500(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング) ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced ※この公演は中止となりました。

次回のゲストは渋谷・中目黒・恵比寿を拠点とするシンガー、Kick a Showだ! お楽しみに!

フッドめし #01#02#03#04#05

フッドめし

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残せなかった卒業写真をWeb上で残そう。中山桜&Qetic共同企画「はなむけしゃしん」参加生徒募集開始!

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はなむけしゃしん
全国各地のたくさんの学校で卒業式が中止となりました。華々しい門出を迎えるはずだったにもかかわらず、卒業式に参加できなかった学生のみなさんの大切な仲間との思い出作りをお手伝いしたい。そんな想いからQeticでは、写真家・中山桜さんとの共同企画「はなむけしゃしん」を実施いたします。

Qetic「はなむけしゃしん」に参加したい学生のみなさんを募集開始!

「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 「はなむけしゃしん」実施に向けて、中山桜さんからコメントが届いています。
中山桜さんコメント 今までの良い思い出も、胸糞悪い思い出もすべてまとめて次に向かうための区切り、そこまで大きく言わなくても、その時間を生きてきた思い出として残る卒業式。コロナの影響で卒業式ができない人たちのニュースを見たとき、卒業式と全く無縁の私ですがとても悲しい気持ちになりました。 皆様のこれまでの想いと新しい門出を 卒業式の代わりなんて言ったらおこがましい話なのですが…写真として残させて頂きたく思いました。友達とでも、一人でもなんでもかまいません。皆様が将来、もっと大人になって見返したときに、「想い」が溢れるような、そんな写真を一緒に撮れたら嬉しいです。
はなむけしゃしん はなむけしゃしん はなむけしゃしん そしてこの度、「Qeticで卒業の思い出を写真に残したい!」という学生を募集します。今年の春に学校を卒業するという方であれば、どなたでも参加可能です。応募の数が多い場合は組数限定での撮影となります。応募方法はQeticの応募フォーム、もしくは中山桜さんのInstagramのDMから(詳細は以下にてご確認ください)。思い思いの場所で、友達、先生、後輩、ご両親と一緒に。学生生活最高の思い出を「はなむけしゃしん」で残しませんか? はなむけしゃしん はなむけしゃしん はなむけしゃしん

「はなむけしゃしん」応募方法

▼メールでの応募方法

「応募する」ボタンをクリック後、お問い合わせフォームより、お問い合わせ内容を「プレゼントのご応募」とし、メッセージ本文に下記必要事項を明記のうえご応募ください。 1)応募の対象:「はなむけしゃしん」 2)お名前: 3)住所:〒 4)メールアドレス(任意): 5)電話番号: 6)生年月日 ※応募情報が未記入の場合は無効とさせて頂きます。 ※未成年の方は保護者の方の許諾書が必要です。あらかじめご了承ください。 応募する

▼中山桜Instagramからの応募方法

上記1)〜6)の情報をDMにてお送りください。 応募する

中山桜/Sakura Nakayama

はなむけしゃしん 1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter中山桜Instagram

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珠 鈴×松㟢翔平|台湾でどこ行く なに食べる?好好台湾対談

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コラム「珠 鈴 的 旅」を連載中のモデル/歌手・珠 鈴が初の一人旅で訪れ大好きになったという台湾。無数のバイクと臭豆腐の匂い、お祭りみたいな台北の日常にカルチャーショックを受けまくったという4泊5日。今回は、彼女が目にしたものを振り返りながら、現地と東京を拠点にモデル・俳優・ライターとして活躍している松㟢翔平(以下、翔平)とさらなる魅力をフカボリする我的最愛な台湾対談。

珠 鈴×松㟢翔平 好好台湾対談

--現地で生活経験のある翔平さんと先日旅行で初めて台北を訪れたという珠鈴さん、今回はそれぞれの視点で台湾の魅力を語っていただきたいと思います。珠鈴さんは、今回が初めての一人旅だったそうですね。旅先に台湾を選んだ理由は? 珠 鈴 台湾と日本って、こんなに近い距離にあるのに違うところとかあったりするのかな?って気になって。結構、親日家の人が多いっていうイメージも私の中であったので、本当にそうなのか知りたくて台湾に行きたいなと思いました。 --実際に訪れてみてどうでしたか? イメージどおり? 珠 鈴 すごく優しいなって思いました、台湾の人。まず着いたときに切符の買い方とかいろいろ知らなくて、お金を入れても出てきてしまって。どうしよう……と思ってたらおじちゃんが話しかけてきてくれて、それもがんばって日本語で話そうとしてくれたり。お土産屋さんの人も私が「日本人です」って言ったら、「私も日本好きなんだよ〜」って。 --翔平さんも、初めての海外旅行が台湾だったそうですね。 翔平 そうですね。初めてで、住んじゃったんですけど。初海外って怖いじゃないですか。でも、行く前から台湾の映画をすごい観ていて気になってたし、台湾だったらイケそうっていうか。そんなに困らないだろうなっていう感じがありました。 --暮らしてみようと思うほど台湾のどんなところに惹かれたんですか? 翔平 シェアハウスが余ってたから住んじゃっただけなんですけど、興味はありましたね。台湾に友達がいて、その子とかがすごい優しかったり日本の友達と話すようなことが普通に話せるなって安心したし、今からすると当たり前ですけど、音楽とか映画とかそういうカルチャーが台湾にあるんだって。 --確かに、台湾のカルチャーとかライフスタイルとか、観光以外の情報が普通に知られるようになったのって意外と最近ですよね。珠 鈴さんは、滞在中どんなところに行かれたんですか? 珠 鈴 ずっと行ってみたいなと思っていたし、実際に一番楽しかったのが夜市! 私は「士林(シーリン)夜市」に行ったんですけど、きらびやかな感じとか屋台が並んでるところとかもお祭りみたいで、それを毎晩やってるって、楽しそうだなと思って。夜だし1人だしどうなんだろうって思ってたんですけど、行ってみると子どもがいっぱいゲームで遊んでたりして、「あっ、子どももこんなに夜に外に出て遊んでるんだ!」って(笑)。 --私もいくつかの夜市に行ったことがあるんですけど、日本人からすると本当にお祭りみたいな場所ですよね。台湾に住んでいる方にとって、夜市はどういう場所なんですか? 翔平 台湾の人は各夜市にお気に入りの炒飯屋とか鶏肉屋とかがあって、そこに行ってテイクアウトするか近くの椅子に座ってバーっと食べて帰るだけ。士林とかはすごい観光客が多い夜市だから竹下通りみたいな店もいっぱいあるけど、住んでる人はあんまり見て周らないですね。

--翔平さんにも行きつけの夜市の店ってありました? 翔平 僕は、「雙城街夜市」っていう晴光(チンゴァン)公園の近くにある外席が充実している夜市があって。中山国小駅が最寄りなんですけど、公園もキッズパークみたいになっていて、すごく雰囲気いいんですよ。そこではいつもフルーツジュースを飲んでました。あと、三寶飯(サンパオファン)が美味しいです。三寶って3つの宝っていう意味なんですけど、ご飯の上に鶏肉・鴨肉・チャーシューとかがのってて、店によって肉が変わるんです。夜市ではなに食べたんですか? 珠 鈴 いろいろ挑戦してみたいなって思ったんですけど、フライドチキン(雞排/ジーパイ)あるじゃないですか。 翔平 あ、顔と同じくらいのサイズのやつ? あれ、本当にデカイですよね。 珠 鈴 それを食べちゃってお腹一杯になっちゃったんですよ。それとスイカジュースを初めて飲みましたね。すごく美味しかったです。注文するときに「大丈夫かな?」とかいろいろ思ったんですけど、ちゃんと聞いてくれて。あっ、夜市といえば、臭豆腐の匂いが無理で……。 翔平 いや、俺も無理ですよ。 珠 鈴 そうなんですね(笑)。せっかく台湾に行ったから、有名じゃないですか。だから1回チャレンジしてみたいなって思ったんですけど、無理でした。あれって、美味しい食べ方みたいなのあるんですかね? 翔平 臭豆腐って、2種類あるのわかりました? 汁に浸けているお鍋みたいなやつと、豆腐自体を揚げてるフライド臭豆腐があって、フライの方が意外とイケるんですよ。炒めた玉ねぎとかとあえて食べると酒のアテにもよくて。食べたときに「うわっ!クサっ!でもちょっと美味しい」みたいな。汁の方はちょっと匂いがきつすぎて、無理っすよね。 珠 鈴 お店の前を通っただけで、すごい匂いがしてくる(笑)。 翔平 台北から若干離れてるんですけど淡水(ダンシュイ)にある「大吉祥香豆腐」っていう、すごい美味しい臭豆腐屋さんがあって。そこの臭豆腐ラーメンは、俺が唯一食べられた汁系臭豆腐。まあ、逆に言ったら納豆は食べられないですからね、台湾の人。 一同 ああ〜(納得) 珠 鈴 臭豆腐ラーメン、次はちょっと挑戦してみます。揚げ臭豆腐も1回ぐらい食べてみたい! --他に、台湾に行ったら食べてみるといいってものとかありますか? 翔平 フルーツジュース。それこそいいっすよ。台湾にしかない果物とかもあるし全部フレッシュ、もう本当にオススメです。いろいろあるんですけど、パパイヤとか冬瓜とか美味しいっすよ。

珠 鈴が切り取った台湾

--ここからは、珠 鈴さんが台湾の旅で撮影した写真を見ながらお話をお伺いしていきたいと思います。

Photo by SHURI

翔平 僕、九份には行ったことないんですよね。なんか混んでるって聞いて。興味はあったからいつか行けると思ってたら、結局行かなかったんすよ。良かったですか? 珠 鈴 良かったです! 雰囲気は夜市みたいな感じで、観光地だけど猫とか犬とかいっぱいそのへんにいて、観光地のところはぎゅっと集まってるけど、ちょっとはずれたら普通に家あるんだなあって。歴史がある感じがしましたね。」

Photo by SHURI

珠 鈴 九份って、暗い時間の風景がすごく有名だからだと思うんですけど、ネオンの看板とかがいっぱいあって、台湾っぽくってかわいいなって思いましたね。

Photo by SHURI

珠 鈴 提灯がいっぱいあるエリアにはたくさん観光客の人がいるのに、ちょっと離れたこのお寺のあたりには全然いなくて。その代わり、現地の方かなっていう人がいっぱいいました。 翔平 熱心ですからね、結構。お祭りでは爆竹とかバカバカ鳴らしたり、お寺も日本と違って塗り替えますからね。 珠 鈴 すごく派手ですよね。ここの他にもお寺に行ったんですけど、とってもカラフルなところが多かったです。日本と全然違うって思いました。夜市の近くにもお寺があったんですけど、そこは電光掲示板みたいのがあって、「これ、お寺?」みたいな。

Photo by SHURI

珠 鈴 台北101に行って、登ってきました。このあたりは、すごいなんか高級そうなお店がいっぱいあって。インスタグラマーみたいな人がたくさんいました。 翔平 そういう店も多いでんすよ、映える店とか。ここに集まって遊んでるのは金持ちの彼氏・彼女とか、インスタグラマーみたいな人が多いかもしれない。台北101の下にクラブが入っている「ATT 4 FUN」っていうショッピングモールがあって、週末になると始発待ちの若者がいたるところに座ってるんですよ。面白いですよね。

Photo by SHURI

珠 鈴 これは、台北101の上からフイルムで撮りました。天気が悪かったんですよ、この日。でも意外と空いてたんで、ゆっくり見られました。台北の街って、上から見ると意外とビルが建っているのは一部なんだなって。お店が集まってるところは細々してる感じでしたね。

Photo by SHURI

翔平 それ、犬ですか? 珠 鈴 犬ですよ、デカいですよね。街中どこに行ってもリードを着けてない犬とか猫がいっぱいいて。ペットの犬もなにもつけずに飼い主さんの横をそのまま歩いてることとかあってビックリしましたね。 翔平 街ぐるみで飼ってたりしますからね。

Photo by SHURI

珠 鈴 バイクの量がすごく多くて衝撃でした。日本の自転車並みにバイクが走ってるなって。台湾だと、車とか自転車みたいに普段からバイクを使う人が多いんですかね? 翔平 そうですね。車とか自転車よりバイクが多いっすかね。単純にユルいんで、駐禁とかいう概念がなかったですね、台湾は。……バイクが停まってることに相当ビックリしてますね。

Photo by SHURI

珠 鈴 たくさんバイク撮りましたもん(笑)。走ってるバイクもすごく多いじゃないですか。私の中でそれがかなり衝撃で。それと、タクシーが黄色いことにも驚きました。 --バイクもそうですし、この看板が横に張り出してる街並みも台湾らしい気がします。 翔平 そのへんの法律とかもユルいんだと思います。何センチでちゃいけない!とか、あんまり気にしてないだろうし、デカけりゃいいみたいな。建物も増築に増築を重ねてますもんね。 珠 鈴 私が泊まったホテルもつぎはぎでした。駅近くにあるホテルなんですけど、今まであったホテルと新しく増築されたところが客室みたいな廊下でつながっていて、そこを通らないと自分の部屋にいけないんですよ(笑)。最初は受付の人が部屋まで連れてってくれたんですけど、ここ?って感じでビックリしましたね。

Photo by SHURI

珠 鈴 滞在中は、西門(シーメン)に泊まってて、夜でもすごい人でしたね。野外ステージがあって、そこで毎日ショーが開かれていて。それこそ夜市から帰ってきて、まだやってる!っていう時もあって。西門に関しては意外と日本のものとか食べものがいっぱい売っていて、大きな原宿みたいというか、全然違う土地っていう感じではなかったです。 翔平 この前仕事で竹下通りを通ったんですけど、すごく思い出しました、西門を。なんか匂いも売ってるものも一緒なんですよね、チーズハットグとかカラフルなわたあめとか。 珠 鈴 流行りのものが売っていて、若い人がたくさんいて。それと、ゴミ箱がいっぱいあるのがすごくいいなって思いました。日本だとタピオカとか道に捨ててあったりしますけど、そういうのはあんまりなくて。 翔平 台湾って、毎日ゴミ収集車が来るんですよ。それと、高級マンションとかじゃない限り基本的に建物の1階は商店だから店の前を各々がしっかり掃除するんですよね。だから通りがきれいっていうのはあるかも。路面が全部店の前だから、汚されたくないっていうか。

Photo by SHURI

珠 鈴 ここは駅前にあったタピオカ屋さんなんですけど、たくさん人が並んでて。 翔平 なんか特別な店なのかもしれないですね。「KEBUKE(可不可熟成紅茶」)」ってチェーン店なんですけど、写真のここはめちゃくちゃおしゃれ。 珠 鈴 観光客じゃなさそうな人も並んでいて、それがすごい衝撃でした。どこに行っても行列が出来ている店があって。台湾の人って、こんなに並ぶんだ!って。いろいろ歩いて戻ってきたんですけど、まだ並んでて。あ、私は並んでないです。ちょっと長いなって思って(笑)。

Photo by SHURI

翔平 麺線、おいしいっすよね。牡蠣とモツ入ってました? 珠 鈴 入ってました! 台湾に着いて初めて食べたご飯がこの「阿宗麺線」でした。みんなお店の前で立って食べてて、お箸じゃなくてプラスチックのスプーンで食べてるのが衝撃でした。すごく美味しかったです! 翔平 僕も麺線大好きです。僕、大安(ダーアン)ってところに住んでたんですけど、「陳記腸蚵麵線」っていう店に結構ハマって毎日通ってる時期ありましたもん。ここがいいのは、水がちゃんと置いてあるところ。台湾の店って水が置いてないところが多いんですけど、ここはちゃんと飲み放題のお茶があるんで、すごい行ってました。小籠包とかは日本でも食べられるからいいんですけど、麺線とかって微妙に食べられないんですよね。自分でも作れないし。 --台湾は、本当に食が充実してますよね。そういう面でも暮らしやすそうなイメージが。改めて、翔平さんは台北でどんな生活をされていたんですか? 翔平 台湾は暮らしやすいですよ、食べ物は安いし。台北で一人暮らしをしている若い人は少ないですね。僕の周りはほとんどいなかったんじゃないかな。だいたいシェアハウスです、小部屋があるような。台北は家賃がそんなに安くないので、みんなでシェア。それか付き合うとすぐ同棲しちゃう。ちなみに台湾の男性は好きになったらめちゃくちゃしつこくて。殴ったり無理やりってことじゃないんですけど、もうアピールと嫉妬がすごい。 --日本とは恋愛観みたいなものが違うんですね。 翔平 台湾の女性はそれくらいされないと好きだって信じられないんですよ。日本の男性みたいな素っ気なくしてみる、みたいなことをした瞬間に「そうなのね」って去ってっちゃうんで。逆に、熱意で乗り切れちゃう感じもあるんですよ。気をつけてください、台湾の男には(笑)。でも、すっごいレディーファーストだし、めちゃくちゃ優しいですよ。 珠 鈴 へ〜! 私、ちょうどバレンタインの時に行ったんですよ。それで女の人がみんな“ハッピーバレンタイン”ってメッセージカードがついてる花束を持っていて、男性からもらったんだろうな、いいな〜って思って見てました。台湾ではバレンタインに花を贈るんですね。 翔平 花っていうか全部です。花も贈るし、プレゼントも渡してるだろうし、レストランにも行ってるだろうし、バッグも持つし……なんでも。本当にすごいですよ、尽くし方が。 --翔平さんもやってたんですか? 翔平 別に僕はそんな感じじゃないですけど、ちょっと日本人風吹かしてました(笑)。 一同 (笑)

台湾での生活は?

--冒頭でも少しお話されていましたけど、翔平さんが現地で生活している時に触れた台湾のカルチャーについてお聞きしたくて。台北では普段どんな感じで遊んでたんですか? 個人的に、とにかくなにかと外で食べたり喋ったりしている印象があります。 翔平 それはそうかもしれないです。クラブとかに行ってもクラブの前にすっごい溜まってるし「お金払って中に入ってんのに、ずっと外にいるじゃん」みたいな。気持ちいいのかもしれないですね、外が。自分もよく外にいましたよ。僕の周りだけでいうと、クラブに行ってもほとんどみんな顔見知りなんですよ。で、すぐに紹介しあっちゃう。日本だと軽く「友達と来てんだ〜」ぐらいじゃないですか。それが「こいつは〇〇っていって、なにをやってて--」って、すごく人を紹介する文化。 珠 鈴 楽しそう!友達がたくさん増えそうですね。 翔平 増えますよ、一気に。なんか面白いんですよ、シェアハウスに住んでる友達の家に遊びに行ったのに、そのシェアハウスのほかの住人と仲良くなっちゃったりとかして。それで、そいつが呼んでた友達とも話すし、「今から俺たちグループドライブ行くけど、一緒に行く?」みたいな。最初2人で遊んでたのに気づいたら10人ぐらいになってたりして、「カラオケ行くか!」とか。友達が友達を呼んでくるし、毎日そんな感じだったなあ。 --ちなみに、コミュニケーションは? 翔平 僕は、英語と無理やり日本語で伝えてました。あと、漢字がわかるんで、本当に困ったときは漢字を書いたり。ま、今はGoogleで翻訳できちゃうし、そんなに困らないです。 --台湾の若い人たちのあいだでは、今なにが流行ってますか? 翔平 台湾は今、空前の韓国ブームですよ。そんな日本と変わらないです。ファッションも韓国のストリートっぽい格好してるし。音楽も日本とそんなに変わらないです。台湾の音楽好きな人たちのあいだでは日本のシティーポップが人気ですけど、全体的に見たらやっぱりK-POPが流行ってます。 珠 鈴 へ〜! すごいですね、K-POP。 --旅行中、台湾のカルチャーに触れる機会はありましたか? 珠 鈴 THE WALL(ザ・ウォール)っていうライブハウスに行きました。その時は、アーティスト目当てっていうより台湾のライブハウスどんな感じなんだろうって思って行ってみたんですけど、昼と夜の差がすごくて。昼間会場の近くに行った時は「本当にここ?」みたいな感じだったんですけど、夜になったら照明があってライブハウス!って感じになってて。 翔平 THE WALLも外で溜まってますよね。なんのライブを観たんですか? 珠 鈴 えっと、台湾のアーティストの方のリリースパーティみたいな感じで。日本だと結構ライブを棒立ちで見てる人っているけど、なんかそういう感じじゃないなっていうのは思いましたね。お客さんの反応とかがあったかいというか。 翔平 THE WALLのすぐ裏手にPIPE(パイプ)っていうライブハウスがあるんですけど、そことかもすごくいいですよ。ちっちゃい体育館ぐらいの規模で、THE WALLよりは多少大きいのかな。川沿いでバーカンが全部外なんですよ。ソファが置いてあって、なんか雰囲気が良くて。

--珠鈴さんは音楽活動もされてますけど、今後もしかしたら台湾でも--。 翔平 やったらいいじゃないですか。3ヶ月ぐらい住んでみたらもう音楽活動のベースぐらいできますよ。 珠 鈴 台湾の人がどんな反応をするのかっていうのが、すごく気になりますね。やってみたいです。 翔平 MV撮影とかで行くのもオススメですよ。前にiriちゃんの“Shade”っていう曲のMVに出たんですけど、それも台北で撮ってて。ザ・異国だと「行きました!」みたいな感じになって面白くないけど、ちょっと日本に近い台湾の景色だと別にわざわざ外国って言わなくてもすごいカッコいいのが撮れる気がします。あと、みんな協力的というかユルいんで、店でも「ちょっと今からあの席でカメラ回していい?」「いいよ、やってやって〜」みたいな感じで。 珠 鈴 いいですね、そういうの。路上ライブとかも普通にやってて、日本でやったらすぐに警察くるじゃないですか。いいな〜って思いましたね。 --私も、台湾は政府をあげてカルチャーを底上げしているという話を現地のライブハウス経営者から訊いたことがあります。珠鈴さん、次回台湾に行くならどんな旅をしたいですか? 珠 鈴 今回は台北にしか行かなかったんですけど、台中とか結構いいよって最近聞くので、行ってみたいなって思います。なんかどういう感じなんだろう、やっぱ違うのかなとか。 翔平 台中はなんか変ですよね。なんなんですかね、あそこは。比較的新しいんですよ、街として。もちろん古い町並みもあるんですけど、最近めちゃめちゃでかいホテルとか建ったりして。なんかね、変なんですよ。すごく寄ってくとスラムみたいになったりして。でも離れてみるとなんかキラキラして見えて、未来都市みたいな。 珠 鈴 私も、台中はキラキラしてるイメージですね。 翔平 でも、降り立つとゴミゴミしてるんですよ。台中も夜市が有名なんですけど、カジノとかもあって、ちょっと悪い街感があって、半グレみたいのがいっぱいいるんですよ。台北にもいるけど、台北はトラディショナルヤクザ、台中は新興ヤクザみたいな感じがあるんですよね(笑)。 一同 (笑)。 翔平 僕は好きで、その感じが。独特なんですよ。台南もいいですよ。ただ台南って、台北よりもスポットが分散してるから、目的地が決められる人か目的がなくてもフラつける人なら1人で行ってもいいかもしれないですね。僕は目的地を決められないから1人で行ってもつまんないんですよ。もうすぐホテル帰っちゃうんで、「あっちぃな〜」みたいな。あ、今未成年ですか? 珠 鈴 はい。 翔平 そうなんですね。成年になったら行ってもらいたいんですけど、台南はバーがいいんですよ。たとえば「大乱歩」っていうバーは、日本のカルチャーが好きな人たちがやっていて。「LOLA」っていうバーなんかはずっとYMOがかかってて、フレッシュカクテルがめちゃくちゃ美味しい。こういうところに行くとすごい話かけられるし、映画でみたバーみたいな感じで楽しいですよ。 珠 鈴 台北もまた行きたいですけど、台北以外のところにも行きたいです! 翔平 台南とか台中にも行ってほしいな。これあげます、台湾のZINE。台湾のカルチャーポップアップ(「宝島 BAODAO -Taiwan Souvenir Shop」)をやって、その時に作ったんです。レストランとかも載ってるんで、今度台湾に行く時によかったら参考にしてください。Googleリストに飛ぶんで。 珠 鈴 ありがとうございます! --二度目の台湾、楽しみですね。 珠 鈴 はい! 翔平 音楽の幅が広がればいいですよね。喋れなくたって大丈夫ですよ。だってラブハウスやクラブで友達と話した内容なんて覚えてなくないですか? 内容がないっていうことは、喋れなくても仲良くなれちゃう。 珠 鈴 もし次に行くなら、友達を作りたいですね。どんどん増えて日本より台湾の方が友達で多いってなりそう(笑)。

Text by Misaki Nonaka Photo by 三澤 亮介

珠 鈴 的 旅

Vol.1 現地の人編

Vol.2 日本と台湾の違い編

珠 鈴 2017年4月から東京にて音楽活動をスタート。 都会的でスモーキーなテクノに珠 鈴のメロディアスで透明感たっぷりのボーカルが特徴的。 サウンドはCity Your CityのTeppei Kitanoが担当している。 2019年5月29日には初のEPとなる『光の中を泳ぐ』をリリース。 等身大の10代が抱える悩みや世の中の疑問など、リアルに書いたリリックが同世代にじわじわと広がりつつある。

公式ホームページTwitterInstagramYouTube

松㟢翔平 1993年埼玉県生まれ、東京-台湾在住。 マイターン・エンターテイメント所属。 出演作に『テラスハウス TOKYO 2019-2020』『東京男子図鑑』『川島小鳥とコロンビア』『真心ブラザーズ - 愛』など。 ファッション誌"GINZA"にて『翔平のもしもし台湾』などのコラムも連載中。

Instagram

EVENT INFORMATION

<珠 鈴 的 旅>

2020.03.24(火) OPEN 17:00 恵比寿Batich DOOR ¥2,000 +1drink 学生 ¥1,000 +1drink *学生証必要 ACT:珠 鈴 GUEST:City Your City <珠 鈴 写真展-虫が光に集まる理由-> 17:00-19:00 ENTRANCE FREE TIME TABLE: 写真展 17:00-19:00 LIVE 19:00-21:00 19:00〜 City Your City 19:45〜 珠 鈴 *19:00まで写真展のみの方は入場料無料で観覧できます。 *19:00以降は珠 鈴 的 旅のENTRANCEが必要になります。 *ライブに関しては、コロナウィルスの影響で急遽中止または延期になる可能性がございます。あらかじめご了承ください チケット予約

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フッドめし – HoodFood #07 TOKYO HEALTH CLUB × Kick a Show

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし - HoodFood』。 今夜はシーズン1の#07が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

TOKYO HEALTH CLUBKick a Showを迎えお届けするフッドめし#07。 恵比寿/代官山での仕事の前に、または後にお腹を満たし軽く飲むなら「中国茶房8(エイト) 恵比寿店」というミュージシャンは多いであろう。 chelmicoの“E.S.P.”という曲の鈴木真海子のリリックにも「今宵エイトに行くのはリハの後」という一節が出てくるほどだ。私、セク山も度々利用してきた24時間フル回転のナイスな優良店である(ランチもおすすめ)。 店員に「注文は番号で」と優しく言われるDULLBOY。「エイトは番号だろ」と総ツッコミを受けるも決して怯まず、サングラスの奥の眼光は......どういう状態か全然わかりません! 北京ダックをほおばり幸せに満ちるKick a ShowとTHC。特にタメになるような話は一切していないが、彼らのあたたかい雰囲気を味わえるディナータイムである

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #07 TOKYO HEALTH CLUB × Kick a Show

フッドめし - HoodFood #06 原島“ど真ん中”宙芳 × TOKYO HEALTH CLUB

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TOKYO HEALTH CLUB

フッドめし 東京都出身のヒップホップ・グループ。メンバーはTSUBAME、SIKK-O、DULLBOY、JYAJIEの多摩美術大学の同級生4名。2010年に結成。2013年、著作権フリーの“インターネット踏み台レーベル”〈OMAKE-CLUB〉より『プレイ』でアルバム・デビュー。脱力系かつスキルフルなラップとクオリティの高いトラックで注目を浴びる。2014年の2作目『HEALTHY』ではメロディアスなフックを取り入れるなどさらなる進化を遂げる。2016年に3rdアルバム『VIBRATION』を発表。2017年にミニ・アルバム『MICHITONOSOGU』をリリース。 TOKYO HEALTH CLUB TwitterTOKYO HEALTH CLUB Instagram

Kick a Show

フッドめし 渋谷・中目黒・恵比寿を拠点とするシンガー。 相棒とも言うべきプロデューサー、Sam is Ohmとのタッグは抜群のケミストリーを生み出しており、最先端ながらもどこか懐かしさが香るメロディとトラック、USのR&B作品などにインスパイアされたというセンシュアルかつユーモア溢れるリリックが特徴的で、ストリートからインターネット上まで、コアなミュージック・ラヴァーズを唸らせてきた。 これまでに数々の客演参加も経てきており、2017年にはG.RINA、ZEN-LA-ROCKらのアルバムへ連続して参加。そして、同年、MONDO GROSSOが14年ぶりに発表して話題になったアルバム『何度でも新しく生まれる』にも参加し、MONDO GROSSOとともにFUJI ROCK FESTIVAL ‘17にも出演して話題になった。 2018年のバレンタイン・デーには記念すべきデビュー・アルバム『The Twelve Love』をリリース。多方面で高評価を得、同年に渋谷WWWにて初のワンマン・ライブも開催。そして、TOKYO HEALTH CLUBやJABBA DA FOOTBALL CLUB、eillといった気鋭のアーティストらともコラボを果たした。 CP Companyやadidasの広告イメージにも起用されたほか、MIHARA YASUHIROやヨウジヤマモト社のクリエイティヴ・チームがデザインするTHE SHOP YOHJI YAMAMOTOの限定ブランドであるS’YTEのモデルにも起用され、各方面でその才能を開花させている。 キャッチコピーは「お酒のお供にお耳の恋人」。 Kick a Show TwitterKick a Show Instagram

SHOP INFORMATION

中国茶房8 恵比寿店

24時間営業/月~日 東京都渋谷区恵比寿南1-16-12 ABC・MAMIESビル3F 03-3713-2858 詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし - HoodFood LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN/START 18:00 ADV ¥2,000 / DOOR ¥2,500(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング) ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced ※この公演は中止となりました。

シーズン1最終回を飾るゲストは......??? お楽しみに!

フッドめし #01#02#03#04#05#06

フッドめし

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【2万7000字】SCOPES Tokyoトークセッション|宇川直宏、水カン・コムアイが語るパースペクティブの多様性

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11月22日(金)〜12月7日(土)に渡り、表参道SO-CAL LINK GALLERYにてポルシェによるブランドエキシビジョン<SCOPES Tokyo>が開催中。本イベントは「Changing Perspectives -時代を牽引するパイオニアとポルシェの価値観が出会う場所-」をコンセプトに、アート、ミュージック、ファッションを中心とした多数のコンテンツを展開するブランドエキシビジョンとなっています。 本エキシビジョンでは、ポルシェのフル電動スポーツカー「Taycan(タイカン)」を真っ赤なムービングレーザーで照射し、コンセプトである「Soul, electrified. それは、電動化された魂。」をアートフォームへと昇華させた藤元翔平氏によるインスタレーション「Soul, electrified. – intangible #form - 」が展示されています。そしてPatrick Topping、HVOBといった世界の音楽シーンで活躍するDJ・アーティストが日本の伝統芸能や新しい才能とコラボレートする渋谷WOMBでのパーティーなどカルチャーと音楽が融合したイベントが満載!

SCOPES Tokyoの詳細はこちら
Soul, electrified. - intangible #form -
Created by Shohei Fujimoto
Sound: Ray Kunimoto

中でも注目すべきは、先日渋谷PARCOに<SUPER DOMMUNE>をオープンさせたばかりの宇川直宏氏や先述の藤元氏、YonYonらミレニアル世代を代表するアーティストたちによるトークセッション。24日(日)には、水曜日のカンパネラ・コムアイと宇川氏による熱いトークが繰り広げられ、その模様はDOMMUNEでも配信されました。 今回は各所で反響を呼んでいるコムアイと宇川氏による本トークセッションの一部を独占公開! このトークセッションを生でご覧になれなかった方も、あの濃密な時間を再び体感したいという方もぜひチェックしてみてください! きっとあの場で起きた -Changing Perspectives- を感じることができるはず。 そして28日(木)には、タイムアウト東京の代表・伏谷博之氏、弁護士の齋藤貴弘氏、そしてDJ/トラックメーカーとして多岐にわたる活躍を見せるSeihoの3人によるトークセッションも開催! こちらもDOMMUNEでライブ配信される予定です。今回ここで公開されたコムアイ×宇川氏のトークセッションをチェックして、気になったという方はぜひ会場へ! 会場に行けない人もDOMMUNEでの配信をお見逃しなく!

TALK SESSION 宇川 直宏(DOMMUNE) × コムアイ(水曜日のカンパネラ、YAKUSHIMA TREASURE)

司会:塚田 有那(bound bow)

塚田 有那(以下、塚田) 今日のテーマは『地球から生まれる音楽と新しい表現の時代』というすごく壮大なタイトルがついていますが、早速お二人に話を聞いていきたいと思います。それでは、宇川さんよろしくお願いします! 宇川直宏(以下、宇川) 今宵で2日連続なんですけど、<SCOPES Tokyo>とDOMMUNEで画期的なコラボレーションをやっておりまして、現在、まさに僕の登壇しているこの対談自体がいま配信されてる状況なんですよね。 DOMMUNEは、こういった形で脈打つ生の現場を日々番組としてアップデートさせるプロジェクトだということもあって、この躍動感ある<SCOPES Tokyo>のコンセプトと、『Taycan』のコンセプトである”電動化された魂”とも、重なる部分が多分にありまして、5日間連続10番組のストリーミングをコラボしていますので、みなさん是非、お楽しみください。 コムアイ こんばんは、コムアイです。YAKUSHIMA TREASUREというプロジェクトをしています。水曜日のカンパネラというユニットでも歌を歌っています。なるべく歌ったり踊ったり、インスタレーションもやっていきたいし、形にとらわれないパフォーミングアートをやっていきたいと思っています。よろしくお願いします。 塚田 よろしくお願いいたします。今日のテーマが『地球から生まれる音楽』というすごく壮大なテーマとなっております。1時間ほど、この3人で話していきたいなと思うんですが、早速コムアイさんからも紹介がありましたけれども、このDOMMUNEをご覧の皆さまも会場にいる皆さまも、コムアイさんといえば、水曜日のカンパネラというアーティストとしてすごく知られているかと思います。このYAKUSHIMA TREASUREというプロジェクトをいつから始められたんでしたっけ? コムアイ ライブは今年に入ってからで、音源を作り始めたのが2年前くらいですかね。 塚田 リスナーの皆さまが認識し始めたのが今年からだと思うんですけれども、今日はそのYAKUSHIMA TREASUREとはなんなのか、コムアイさんのどういった思いから生まれているのかという話を、宇川さんと一緒に紐解いていければと思います。YAKUSHIMA TREASUREと宇川さんのつながりで言うと今年の8月に<瀬戸内国際芸術祭>という国際的なアートフェスティバルの中で、宇川さんのビルを一棟使った現代アート作品であるサテライトスタジオのDOMMUNE SETOUCHIが開設され、そこにコムアイさんも出演されて、連続……何日間でしたっけ? 宇川 <瀬戸内国際芸術祭>の夏会期まるまる一ヶ月半やってました。皆さんご存知でしょうが、<瀬戸内国際芸術祭>は香川県中心に、瀬戸内の島々をめぐるアートフェスティバルで、高松港が重要なアクセスポイントになっているのですが、僕高松出身なのでそこにサテライトスタジオを開設して、今やナショナルジオグラフィックトラベラーの行くべき場所、世界1位となったSETOUCHIのこのスタジオに、本当に世界中からアーティストに来ていただきご出演いただいて約50番組を連日配信していたのです。そこでコムアイちゃん達YAKUSHIMA TREASUREにも出てもらったんですよ。瀬戸内で屋久島というエキゾチカ重ね(笑)。それで一ヶ月半くらい、ゲストが来るたびに毎日うどん食べて7キロ太りました。 コムアイ やっぱり瀬戸内に行ったら「うどん食べたいです、宇川さん」ってなりますね(笑)。 宇川 放送終わりの深夜2時、みんなうどん食べに行こうよ、って。一緒に行ったよね。 コムアイ 行きましたね(笑)。 塚田 商店街の中でもYAKUSHIMA TREASURE のライブもされたってことなんですけども。宇川さん早速なんですが、YAKUSHIMA TREASUREのいろんなライブ映像も用意されているんですが、YouTubeにティザームービーが上がっているとのことなので、見せていただけますか。

Official Trailer | Re:SET feat. Wednesday Campanella's KOM_I

塚田 ありがとうございます。こちらYouTubeプレミアムでも、本編映像でもっと長いフルバージョンが観れるとのことです。 コムアイ 『Re:SET』というシリーズで、ドキュメンタリーのシリーズなんです。屋久島に実際行ってみて、その環境と取っ組み合ってみるという。どこかに行ってインスピレーションを受けるというのは皆さん体験したことがあると思うんですけど。何を見て何を感じてどういう視点でそれを作品にしたいと思うのか、みたいなところをロードムービーのように結構丁寧に撮ってもらいました。で、完成形がMVと曲というアウトプットとして仕上がっています。 塚田 なるほど、すごく壮大な映像とそこにいるコムアイさんの存在を見て、多分皆さんも聞いてみたいだろうなと思うところを、今日は私から質問しますね。「なぜ屋久島に向かったのか」というところから、お聞きしたいんですが。 コムアイ それは結構適当で。なんかどこに行こうか、って思った時に、いつか行ってみたいリストで、みんな共通したのが屋久島だったので。一度は行ってみたいしここに行って何もないことはないだろうって感じで(笑)。特に、自分とのつながりを意識していたっていうわけではなかったですね。その時は、ポンと。 塚田 今みんなとおっしゃいましたが、YAKUSHIMA TREASUREは音楽家のオオルタイチさんとのプロジェクトだと思います。その「YAKUSHIMA」という名前がつく前から、何かをオオルタイチさん、ないしはチームとして製作しようというアイデアは最初から構想としてあったんですか? コムアイ そうですね。タイチさんとプロジェクトをやりたいなというのは4、5年くらい前から思っていたことなんです。屋久島に行けるかもしれない、屋久島と取っ組み合って何か紡ぐ、ってなった時に、「あ、タイチさんしかいないな」という気持ちがさらに強くなったのでお願いしました。 塚田 宇川さんもこの前の打ち合わせでも実は話していたことだと思うんですけど、水カンのコムアイがYAKUSHIMA TREASUREのコムアイになるって、やっぱりポップアイコンとして様々な活動をされてきた中で、1つすごく大きな転換になったのだなということをこちら側はすごくひしひしと感じています。宇川さんはどう見られてますか? 宇川 僕も塚田さんと同じく、コムアイちゃんにとっての大きなパラダイムシフトになるという印象を抱いていましたね。今回<瀬戸内国際芸術祭>にお呼びした理由もそこにあるのですが、やはりまずは、コムアイちゃんがこれまで手探りで獲得してきたステージというものが、僕ら側のサブカルチャーの文脈と繋がっていることに大変な可能性を感じていました。そんなオルタナティブの側からの意思をコムアイちゃんがきちんと受け継いでくれていて、地上波に乗せてくれたり、僕らの文化を世に拡散できるような、そういった輝かしいアイコンとして存在してるなと思っていたわけですよ。 その時代その時代にサブカルチャーの側からメインストリームに躍り出たオルタナティヴアイコンは存在しています。60年代ならば緑魔子さんだったり、70年代ならば秋吉久美子さんだったり、80年代だったら戸川純さんとか、90年代なら篠原ともえちゃんだったり……それぞれの時代に、マスに埋没しない周縁を媒介するイコンが存在していたわけですが、コムアイちゃんは絶対的にその系譜に位置していると思ってたんですよね。本人自身は、たまたま誘われた水曜日のカンパネラっていうプロジェクトで手探りで表現を初めて。そのプロジェクトの歌い手という役割をこれまで担っていたのだと思いますが、そこから今回のYAKUSHIMA TREASUREは、音楽マーケットにのせるためのプロジェクト表現ではなく、もっと極私的な感覚や思考を打ち出した、まさに今回の英文タイトルでもある「FINE MUSIC」に取り組んでいるなという印象を受けました。言い換えればマスに向けたデザインと、普遍的な価値をもつファインアートの違いですね。実は僕はどちらも好きなのですよ。 といいつつも、ご本人の内面には、自らに内在している創造の力を吐き出すような表現の方が、よりバランス的に欲求として強くなってきたんだなという印象があって……。YAKUSHIMA TREASUREを聞いた時にすぐ、僕たちのメディアこそ、この新たなコムアイちゃんの表現を世に伝え広めるべきだと思ったんですよ。 だからなおさらコムアイちゃんを、<瀬戸内国際芸術祭>という国際展のプロジェクトの一環としてお誘いしたいなと思いました。なぜなら純粋に現代アート的な表現だったから。ゆえに「FINE MUSIC」なのです。 コムアイ ありがとうございます。DOMMUNEにずっと遊びに行ってて、楽しんでる自分と、次の日、『Mステ』に出て歌ってる自分との乖離みたいなものがあった(笑)。楽しんでいたし、根はなるべく深く張って、そこから吸い上げたものを来週出すみたいなことに楽しみを感じてたんですけど。だんだんそれに周りのチームを引っ張って、次はこれやりたい、次はこれやりたいってやってきた時に、水曜日のカンパネラに無理をさせないでいいんじゃないかと思ったというか。 宇川 「無理をさせないでいい」って面白いね。乙女心か老婆心か(笑)。

コムアイ そこまで無理をさせるのはちょっともったいないんじゃないかなっていう気もしてたぐらい、自分のやりたいことの振れ幅がどんどん大きくなりすぎてきて。だから、よく個人的にみてくださってるお母さんみたいな人には、「そういうことやりたくなるよね」って言われます。これは自然な流れだと思われます。ブルース・ビッグフォードっていうアニメーターのおじいさんがいて。その時も宇川さんに誘ってもらいました。 宇川 そう、ブルース・ビッグフォードね。フランク・ザッパのクレイメイション(粘土アニメ)をシアトルの自宅に40年間ずっと篭って撮ってた奇人なのですよ。その人の初来日を僕はオーガナイズしていたので、その時も誘いましたね。 コムアイ クレイアニメのあの感じって、さっき見ていただいた映像に近いかもしれないですけど。こことここがはっきり切り離されてるっていう概念がない世界の作品なので。自分と他者との境界とか、人間と自然っていうものの境界。ブルース・ビッグフォードのアニメって凄くて。顔だと思ったら、今度は鼻が別の人間になったりとか。 宇川 そうそう、メタモルフォーゼしていく。 コムアイ 髪の毛一本一本がメタモルフォーゼして木になったりとか。ぐしゃぐしゃですごく楽しいんですけど。こういう目に見えて人と物の境界がはっきり見えてるっていう世界に飽きるのはみんな知ってると思うし、これがすべてではないだろうなという感覚は全員が持ってるような気がしてるので。それをスピリチュアルだって呼ぶのもいいし、面白いアートにする人もいるし、人によって表現は様々ですけどね。 宇川 そうだよね。僕が一番印象深かったのは、<瀬戸内国際芸術祭>の一環としてWeBaseというホテルとコラボして、丸亀町商店街でYAKUSHIMAにパフォーマンスしてもらったんですよ。人口減少やショッピングモールの隆盛とか、Amazon他、巨大なインターネットショップの台頭などによってリアル店舗の多くは、商店街の衰退を肌で感じながらも対策を打てず、シャッター通りと化していく風景に身を沈めている現象はどの地方にも当てはまる出来事ですよね。つまり都市機能は低下しているわけですが、なんと丸亀町商店はむしろ栄えているんですよ。 塚田 なるほど。 宇川 その商店街でコムアイちゃんにやってほしかったんですよ。なんで栄えてるかって言ったら、消費者ではなくて生活者を呼び戻そうという目から鱗の発想だったのです。つまり、人々が商店街に住みはじめたのです。どういうことかというと、商店街の一階はもちろん様々なショップなのですが、その上層階が全部マンションになってる。しかも商店街はバリアフリー。リアル店舗と共存しながら医療モールも完備され、子育てできるように幼稚園、ピアノ教室なんかも商店街の中にあるのですよ。つまり家族で商店街の上層マンションで生活し、朝、子供を商店街に預け、昼、商店街で働いて、夕方、商店街のマンションに戻ってくるみたいな。揺り籠から墓場までの全て、商店街の中でエコシステムとして完結してるんですよ。すごいでしょ。 これってもう単なる商店街ではなく、極めて今世紀的な生活施設であって、SNSの時代に、新しいリアルなソーシャルのあり方だなと思っていて。つまりリアソー(笑)。例えば80年代だったら、ドラマ『男女7人夏物語』とかに見られるように、お洒落な住居は埋め立て地で、港が見えるタワーマンションとか、そういうトレンディな世界ってあったでしょ。しかし、今、最もトレンディな住居空間は、ここ丸亀町商店街に住むということだと捉えているのですよ。ここに1000人住んでいるようです。 コムアイ ね。すごくいいマンションばっかり入ってて。 宇川 そしてミラノのガレリアのような巨大なドーム広場が商店街の交差点にある。そこでYAKUSHIMA TREASUREをやって欲しかったの。住んでる人からすれば、「おらが庭にコムアイが来た!」ってことになるでしょ。本当にみんな住居空間から降りて集まってきて。実際水曜日のカンパネラのチケットが取れなかった人とか、まさに自分が住んでる商店街の庭にコムアイが来たから、部屋着とサンダルで降りてきている感覚だった(笑)。 塚田 へえ! その時の映像も今日は見れますよね。 宇川 あるんですあるんです。早速見ます? ちょっと話しててください。 コムアイ あれはすごかった。とにかく本当に商店街が元気で。商店街は横にも縦にも伸びてて、夜遅くまで結構やってるんですよ。だからみんなで2軒目3軒目みたいなことも。商店街の中で行きたいところがいっぱいあって。 宇川 今映してますけどね。

丸亀町商店街で行われたYAKUSHIMA TREASUREのライブ映像を振り返りながら

塚田 今年の夏ですよね。 宇川 そう、今年の夏。いい夏の思い出だったよね、本当に。 コムアイ めちゃくちゃ暑かったです。 塚田 この時は「自然x商店街」というテーマでしたけど、屋久島の中にいる感覚と高松の商店街の中にいる感覚がすごく近いものがあったってお話しされたって伺ったんですけど。 コムアイ あそこって風がすごく抜けるんですよ。商店街が十字になってるから。景色は人里なんだけど、風が吹いてきた時に、そこにくる風が遠いとこから運ばれてきた感じがして。風通しがよかったんですよね。人がいっぱいいる、物騒とした感じじゃなくて。この時、2、3回目のライブくらいなんですよまだ。 塚田 YAKUSHIMA TREASUREとして? コムアイ はい。まだ何にもわからないというか、どういう風にやろうかっていう感じで手探りでやってました。この時のライブは30分くらい枠をもらってたんですけど、28分くらいまで結構決まった曲をやっていて、28分から開いたんですよ。マイク外して歌い始めたんですけど、遠吠えみたいな。おーって言ったら、天井に響くのが聞こえたんですけど、そこから開き始めた気がして終わったんですけど。なんか次の日に、この場所から移動してDOMMUNEのサテライトスタジオで。 塚田 ハイハイ、拝見しました。 コムアイ ライブをやった時は、続きっていう感じで。 塚田 開いた状態が。 コムアイ うん。決まったところから外れるって感じかな。ここから出るっていう。テーブルの上から落っこちるっていうところが多分面白いんですけど。 塚田 なるほど。 塚田 今音が流れましたかね。じゃあこれは開きかけてる時っていうことですね。 コムアイ これは、うどん屋さんのおばちゃんの声を勝手に録音して、サンプリングして。 塚田 そうなんですか! 宇川 その前の日にうどん屋さんでフィールドレコーディングしたんでしょ。ドーム広場に鳴り響くうどん屋のおばさんの声(笑)。完全に屋久島の鳥の声か虫の声と同じ感覚で採集してるよね。で、ここなんですよ。これが巨大なドームになっていて、天井もあとで映ると思うんですけど。すごかったよね、この空間。 コムアイ あそこの甘栗やさんすごいおいしいんですけど。 塚田 ルイ・ヴィトンも見えるっていう(笑)。 宇川 ヴィトンとティファニーとコーチかな。それと甘栗屋はまの。で、このはまのの甘栗屋は僕が幼稚園の頃からあった店で、この周辺では、三越と一緒に唯一原風景として残ってるんです。幼稚園の時代からずっと食べてた甘栗屋。お遊戯と甘栗とスクールバスの思い出。 塚田 今の話を聞いて、すごく面白いなと思うのが、例えば屋久島と商店街とか、前半のお話ですと『Mステ』とDOMMUNEですとか、対立したものだと思いがちですけど、歌の感覚として例えば商店街の中がぱっと見では自然ではない人工物に囲まれていたとしても風が通ってくる感覚とか、人がむしろ木の精霊のように見えてくるとか。さっきのビッグフォードでも、個と個の境界線がなくなっていくような感覚のお話にすごくつながるなと思っていて。実はここから人工の商店街で、ここからは屋久島の自然だって分けてるのは、実は人間の頭の中だけであって、その環境自体は違うのかもしれないという。そこを感じられているのかなとも思ったんですけども。 コムアイ ありがとうございます、まさにそういうことを学んだのかもしれないですね。「自然」とは相入れないんじゃないかということを。『イントゥ・ザ・ワイルド』とか。人間の憧れですよね。全然最近やれてないんですけど、昔、私がシカを解体してたことも。拾った木のみを食べるだとか、そこで生きてた生き物、動物を食べることで、山の生態系の一部になれるんじゃないかっていう憧れですね。自分がなじめないはずの生態系にやっぱり入りたい。人間の無機物的な自覚みたいなものと、有機物でありたいっていう憧れが結構長いことあると思うんですけど。 宇川 今見ていただければ、商店街の全貌が見えてますね。これ3階から撮ってる映像ですよね。懐かしいですね。 コムアイ 懐かしい。 宇川 確かこの後コムアイちゃんどんどん女神のように覚醒していったと思うんだ。これもう最後の方。これが商店街のドームの真上。 塚田 すごい、鳥肌たちますね。 コムアイ この曲が一番表に出る曲だと思うんですけど、この作品の中で。はっきり形が決まっているポップソングとしても成り立ってる曲だと思うんですよね。だからこの曲を歌った後に解放されることが多くて。 塚田 すごい祝祭的な歌ですよね。喜びを感じるというか。 宇川 ここからがすごくいいんだよね。ここから商店街のドームにコムアイの声が駆け巡る。ほらほら本当にそう。すごいですよね、ここから。 コムアイ ここから、私がライブ見てたら、「あ、入ったな。ここから面白くなってくるな」って思うタイミングだと思うんですよね。それで終わっちゃったんですけど(笑)。 宇川 前戯が長かったからね(笑)。これ最後の一曲でしたね。初めてこの日にYAKUSHIMA TREASUREのライブを見させていただきました。 コムアイ タイチさんもここすごくいいですね。 宇川 コムアイちゃんこのライブを終えて屋久島でやったライブ体験と結構近かったという話をしてくれたのですが、のちに理由がすごくわかりました。大自然って全てが動き全部が呼吸してるわけじゃないですか。つまりすべてが有機的に動いてる空間なのですが、この商店街もさっき話したように消費者ではなくて生活者がうごめいている。 塚田 生活圏としての生態系があったっていうことですよね 宇川 そのとおりです。そのエコシステムの中にコムアイちゃんが投げ出されて、ここでライブをやる真の意味に全身の毛穴から目覚めてくる。その感受性の強さが、このライヴでは滲み出ていて感動しました。

コムアイ 行ってないんですけど、<KYOTO EXPERIMENT>のステートメントに、「文化は発信するものではなくて、受容するものだ」って書いてあって。確かに文化を発信しようとして出してるものって届いてこないというか、聞く耳もてないじゃないですか。でも、この商店街が私たちを受け入れてくれたっていう感覚が強くて。 宇川 おー、嬉しいなあ。赤ちゃんのころからこのストリート、我が物顔で風切って闊歩していたから、俺。ベビーカーで(笑)。ベイビー宇川イン・ザ・フッド(笑)! コムアイ だからめちゃくちゃ丸亀商店街は私、刺さってくるんですよ。文化的な場所だったってことに。で、ここにあったいろんな店舗とか、人とか、甘栗とか。入ってくるんですよね。私たちを受け入れてくれたなあって思います。 宇川 リアル・ネイバーフッド! 「はまのの甘栗食べている奴は大体友達!」(笑) 塚田 なるほど、それはコムアイさんの中で生活者のエネルギーだったり、ここに見えてるものだけではないものを本気で受け入れた瞬間に、受け入れあえるレスポンスができたのかなあと。 コムアイ 商店街はずっと受け入れてくれたと思うんですけど、私が28分まで気づかなかったっていう(笑)。前の環境に気づいちゃいけない、っていう風に切ってると、いい即興というか音楽自体、表現にならないんでしょうね。踊りでも歌でも。 塚田 商店街とインプロヴィゼーションしたみたいな感覚なんでしょうね。 コムアイ ついついこの音が聞きたくないとか、いろいろシャットアウトしそうになるんですけど、自分自身が受け入れてることが一番重要って話をその時もしましたよね。 宇川 したねー。ここでライブをやって、翌日、これをサテライトスタジオで見ながらトークするっていう『鶴瓶のスジナシ!』スタイルの番組をやったんですよ。 コムアイ 自分のライブの映像を丸々人と見るのが一番辱めなので(笑)。 宇川 しかも昨日やったライブ、けっこうヘヴィーな罰ゲームですね(笑)。 コムアイ 見てみて、めちゃくちゃ反省して。反省してもしょうがないんだけど。何がダメかわかってきた感じで。 宇川 もっとすごいのが、その後にまたライブするんだよね。スタジオで。 塚田 でも開いた状態でできたって仰ってましたよね。 コムアイ 合宿ですよね、もう。 宇川 それ、めちゃくちゃいいですよ。見てみますか。

塚田 じゃあその間にもう1つ。今、お話を聞いていて色々な方が思い浮かぶんですけど。1つは田中泯さんという舞踏家さんがいて。泯さんってずっとその場その場の場踊りをされてると思うんですけど、泯さんの言葉で言うと「その土地の精霊と対話できるまで待って待って、ふっと降りてきた時に自分の踊りが始まる」ということをおっしゃってるのを聞いたことがあって。私も何回か拝見した時に、すごく長かったりするんですよ。ぱっと間の踊りと始まる時と、ずっと何かを探しているような時間があって。探した時に見つかる瞬間って見てる側もわかるし、「あ、開いたな」って思うんですけど。その話とリンクするなと思っていて。 コムアイ 本当そう。まず、待たないといけないんですよね。ついつい、みんな待ってるからって、歌い始めちゃうんですよね。よくないのはわかってるんだけど。 宇川 でも翌日は待った甲斐があり、しかも自分のライブを見てトークした後に、このツキヌケた前衛性。笑福亭鶴瓶も昇天(笑)。 コムアイ これめっちゃ待ちました。歌うまで20分くらいあるんで。藤田さんが水槽を演奏してるんですよ、あれから音が出てて。水のぽちゃんって音とか、カホンみたいに叩く音とかオルガンの音とかが入ってて。 宇川 水とパイプオルガンとホーメイ。 コムアイ これ藤田さんが自作のパイプオルガン弾いてるんですよ。私その後ろに座って、ずっと聞いてから歌い始めたんですけど。歌いたいって思った時には、船の上みたいな気分だったんですよ。船を漕いでる船頭さんみたいで。暗闇の中を小さな船に乗って、前に船頭さんがいて私がそこに座って歌ってるって感じ。もう、完全にそのイマジネーションの空間にトリップしてて。水がうっすら光ってて水面みたいで。 宇川 そうなの! この日のスタジオのライティングもそんな感じだったよね。早朝のイカ釣り漁船の漁火みたいな。水面がうっすら光ってて、その水を楽器として藤田くんがドラマテックに演奏してるし、そこに山川冬樹御大のホーミー使いが偶然遊びに来ていて参入、そしてオオルタイチくんも感化されて自分もホーミーをマスターし始め、男3人ホーミー VS 女アヴァンギャルドボーカリストみたいな感じで『男女4人夏物語』。 コムアイ 即興を全くやったことがなかったので、この時本当にタネから芽が出た感じというか、自分がこれからこういうことやっていきたいな、というのを皆さんに教えてもらったっていう感じです。 宇川 この日、ブッキングしたのももちろん僕なんですけど、偶然山川さんも遊びに来ていたこともあって、サウンドポエトリーの使い手が集結した感じですね。ポエトリーリーディングじゃなくて、音声をポエティカルに表現するアーティストが集合したっていう。例えばオノヨーコさんが行っているボーカリゼーションって分かりますかね。あれが音声詩です。抽象的で意味をなさない言葉を発し、そこはリズムもなくてよいし、別にグルーヴもなくても良い。ただ、内在しているエネルギーから発せられた言葉、それが音になって音楽になっているような、フラクタルなプログラムにしたかった。そこにコムアイちゃんが入ってきて、お茶の間にも響くポップアイコンの中に眠っていた即興性みたいなものが一夜にして開花した。逆にそういう体験をさせてもらいましたね、この日は、1日で。 コムアイ ありがとうございます。それもね夜中のうどん屋での会話がないと次の日ここまでいけてないですよね。 宇川 やっぱうどんは重要だよね、ソウルフードですからソウルを考えるに相応しい食べ物ですね。今日もトークが終わったあとにライヴという過酷な現場にオファーさせて頂きましたが、今日はSalyuちゃんと、内橋和久さんのウッタギッタというユニットとの共演で、かなり即興性が高いものになると思うんですけど。なので、この後皆さんぜひ、9時から。 塚田 ずっと拝見していて思ったのが、「待つ」とか「受け入れる」っていう音を出していますよね。文化を発信する側ではなく、いかに受容するかって、特にネットメディアが旺盛な時代にすごく重要なキーワードな気がしていて。例えば、宇川さんがDOMMUNEという現場を作られていることも、現場でしかできないグルーヴと散々言われていたと思うんですけど。本当に音楽って私たちはどう聞いているのかということを。私もYAKUSHIMA TREASUREをこの間<FRUE>という野外のフェスティバルで聞いた時に、音楽を聞こうとか自分から踊ろうではなくて、風が吹いてくるのと同じような感覚で音が馴染んでくる。 宇川さんもおっしゃったサウンドポエトリーって、コムアイさんが発した詩を読んで「いいな」と思うだけじゃなくて、自分の内側からポエトリーが浮かび上がってくるという瞬間だと思うんですよね。詩を発信しているけれども、それぞれの詩というのは聞いている側一人一人の中から立ち上がってくる。それがこのDOMMUNEの環境にも演者の中にも湧いてるし聞いている側にも湧いてくるし。多分同じ言葉ではなく、皆それぞれの言葉を持っているけれども、混ざっていくような。そういった連関のあり方みたいなものを見ながら感じましたね。 コムアイ ありがとうございます。 宇川 抽象的な表現であればあるほど、解釈を受け手に委ねてる部分が多いと思います。たとえばこの会場に併設されたTaycanのインスタレーション「Soul, electrified. – intangible #form - 」もまさにそうで。昨日、藤元くんとトークしましたけど。それもやっぱり、表現している抽象性を、あえてインタラクティブに展開せずに、受け手が勝手に読み取って、心の中で作品を育てていくという構図。そこにコムアイちゃんが水曜日のカンパネラってプロジェクトをやりながらも、このステージに上がってきてくれたってことがすごく嬉しいんですよ、僕らは。60年代から日本のアヴァンギャルドシーンを見てきてる我々からしてみればね。 コムアイ 「ようこそ」みたいな。お邪魔します。 宇川 「ようこそ」みたいな感じですよね。スリッパお出しします。 塚田 先ほどもおっしゃっていましたけれども、自分の中の野生をどう見つめるかってことをテーマとされてるのかなと思います。鹿を解体ってさらっと言ってましたけど、実際にその解体をされたりとか生態系の中に自分があるっておっしゃってました。例えば屋久島に行ったりとか山の中で感じる自分と、『Mステ』だったりメジャーな中でライブをしていく、パフォーマンスをしていく自分っていうのは、切り離されたものなのか自分の中にスイッチがあるのか、それとも連続しているものなのか、ご自身の中ではどういう分け方があるか。私の中では連続しているんじゃないかなと勝手に思っていて。 コムアイ 毎日違う現場ですごく不思議な気持ちになってますけど、一箇所にいることが逆にできないから、ちょうどいいなと思ってます。留まるというか、毎日同じところに出勤すると具合が悪くなるタイプなので(笑)。自分で想像がつかないくらい毎日違っても全然大丈夫なのかもしれないですね。連続しているかどうか……。自分にとっては、次々前に来るって感じで。実はあんまり作り出してるっていう感覚がなかったんですけど今まで。 塚田 その受け取り方が目の前に大木がある自然なのか、スタジオなのか、商店街なのかってことも、そこが違うカテゴリであるというのはこちら側が勝手に認識しているだけであって、その場合にどういう空気が流れているかとか、どうやって音が響くかみたいなことって実はデータのパラメータは同じな訳ですよね。その見えない部分を受け取ってるのかななんて思いますけど。後もう一つ、ライブの映像もあると聞きましたけど。LIQUIDROOMでの。 コムアイ よかったら見てください。 宇川 これ本邦初公開ということでかなり貴重な映像だと思うんです。 塚田 さっきチラッと見て衝撃でした。 宇川 あ、俺いけなかった日だ。高松でまだ連続配信していて、毎日うどん食べて日々体重が増えていたあの時期だ。 一同 笑 宇川 あ、これだ。華道家の方とやられた日ですね。 コムアイ 上野雄次さんっていう華道家の人で、ずっと知り合いだったんですけど。その人のパフォーマンスを最初見た時に、人を吊ってそこに花を生けてて。今は一緒にできないなって思って(笑)。ようやく一緒にできたのがこのタイミングです。

LIQUIDROOMのライブ映像を観ながら

宇川 これってどういうステージ構成? とんでもないよね、これ。 コムアイ これ、LIQUIDROOMってステージあるんですけど、あそこにお客さんに入ってもらって。真ん中に丸いステージを組んでもらって、家から持ってきたカーペットを敷いてました(笑)。私は結構よかったと思ってます。デコレーションも上野さんがやってくれてます。 宇川 素晴らしいですね、これ。 塚田 すごいですね〜。 コムアイ これ、実は上が動くようになっていて、後半で揺らしてたりするんですけど。山の中に入っていると、植物の表面がちらちらして別の生き物に見えたりとか。影がどんどん形を変えたりして、こっちの脳をくらますというか、目をくらましますよね。そういうのをやってみたかったんですけど。後半で土が出てきて、上野さんは大量の土を生けていきます。 宇川 土を生ける。って感覚。新しいですね。 コムアイ 屋久島の歴史の話をしてて。屋久島の土って結構薄いんですよ。一回硫黄島の噴火を受けて絶滅しかけていたところに、雨がたくさん降って苔が生えて、土ができたというのが屋久島の生態系のもとになっていて。その話をしたら、上野さんが土と苔を生けるということになりました。 宇川 まじか。相当トライバルですね。トラックメイカーのオオルタイチくんの音楽って元々、どっちかというとエキゾ感満載というか土着的な志向があったんですけど、コムアイちゃんと組んだら全然違う化学反応が生まれてますよね。お互いが野生に目覚めて高め合っていく中でエネルギーが循環してるような。そんな印象をすごく受けます。それぞれソロでやってる時も見ていますが、2人が合体したら、その関係の中でパワーが増幅して充満していくシステムが自然に生まれている感じが。本当にみていてスリリングです。 コムアイ タイチさんめちゃくちゃ自由で。一緒に話をして、リハーサルしてる時も、それ面白いねって時に失敗みたいな感覚が全くないというか。どんなに練習とかリハーサルで音を出している時も、本番と変わらない。今練習だからこういうふうにやってみるって感じじゃなくて、生まれた瞬間に完成してるって感覚もあるし。だから刺激を受けますね。 宇川 これLIQUIDROOMでやってると思えないよ。ニューギニアか、アマゾンか、ミンダナオ島か。外界と接触していない部族のようにみえる。相当トライバルだよね、昔NTVでやってた『素晴らしき世界旅行』みたいだよ。世界の部族を訪ねる番組。うわあ、明るくなったらまたやばい。 コムアイ これが上野さんですね、真ん中にいたのが。 塚田 これ儀式ですよね本当に。 コムアイ 上野さんが土を盛り始めました(笑)。 宇川 本当だ、このライブすごいね。コムアイちゃんの家のカーペットにでしょ? コムアイ はい(笑)。でもほとんど覚えてない、8月のことなんで。 宇川 うわ、これ全部8月に起こった出来事? さっきから見せてる映像。 コムアイ あれからのこれになったっていう。 塚田 お盆の時期に精霊送りをしてるって感じがすごいします。 コムアイ お盆っぽいかもしれない(笑)。機材が埋まっていくので、後半は使える楽器が限られていくっていう。 塚田 文字通り埋まって、土に還っていくわけですね(笑) コムアイ めっちゃ気持ち良くて。みんな「匂いがする」って言ってた。土の。終わった後の感想で一番多いのが「匂い」でした(笑)。 塚田 ライブを体験するってこういうことなんじゃないかって見ていてすごく思います。 コムアイ これ他の国でやりたいんですよね、上野さんと一緒に。生けるものは毎回違ってたりしたら面白いかなと思って。 宇川 なんかアフリカの<Festival Gnaoua>というアフリカンダンスミュージックの起源となるようなフェスに浅沼優子さんが今年行ったらしいですが、それにBORE-DOMSのEYEちゃんが反応してて、来年行きたいって言ってたよ。 コムアイ 浅沼さんに聞いてみる。 塚田 だんだん屋久島の土から南アフリカの土とかいろいろ混ざってく(笑)。素晴らしいな。 コムアイ この前ポーランドの<Unsound>ってフェスに行ったんですけど、最高でした。実験音楽、電子音楽ばっかりだったんですけど。 宇川 行ったんだ。<Unsound>素晴らしいですね。

塚田 ちなみに国内でライブの予定としては? まあ今日の夜がありますけど。 コムアイ そうですね、まずは今晩観ていただいて(笑)。 宇川 そう、まずは今晩渋谷PARCO9F SUPERDOMMUNEの<SCOPES Tokyo>です。 塚田 ほんとに、地球の声を吸い上げてるというか、コムアイさんないしオオルタイチさんの内側の野生も開花したりしてるんですけど。同時にここにいる観客の野性も引き出されただろうし、スピリチュアルに聞こえるかもしれないですけど、なぜこれを今コムアイさんが始めてるのかって、もっと大いなる何か意志に動かされてる気さえする。 コムアイ 動かされたい。自動運転。 宇川 生態系の有機的な相互関係とそれをとりまく無機的環境に対して、自分なりにきちんと向かい合うということを、コムアイちゃんは、シカの解体の時代から行っていましたよね。つまり水曜日のカンパネラ以前ですよね。だからむしろ彼女は本流に立ち返ったと感じています。そういった意味でもあらゆるシステムには、生産者がいて消費者がいて分解者がいる。例えば今日のこの壇上の僕とコムアイちゃんと、有那さんと、客席とストリーミングの視聴者といった生態系の中にも、表現者と受け手と紹介者が存在していますよね。そんな中、僕と有那さんは今日は分解者=紹介者になっているっていうことですね。 塚田 そうですね。でもやっぱ生態系の中で誰が重要かっていうと、その媒介する存在が必要なんですよね、メディエーターと呼ばれるような。コムアイさんは本当に生態系の中のメディエーターになってる。自然の中にもそれを感じ取ってるし、この都市の中、このLIQUIDROOMの恵比寿の中でもその媒介になっていくと、見ている側が消費者なのか生産者なのか分解者なのか分からなくなっていく。混ざって行く感じがする。 宇川 さっきの商店街の話もまったく同じで、消費者、生産者、分解者全てがあの商店街の”生活者”なんだよね。すごくない? 全て繋がっていますね。コムアイちゃんの場合は変幻自在にそれぞれのフィルターに形を変えられるっていうか。まさにブルース・ビッグフォードの作品のようにメタモルフォーゼできるというか、なかなか希少な記号を体現していますね。 コムアイ 嬉しいなあ。 宇川 なんか褒め殺しになっちゃってるね今日、食物連鎖の中で分解者が褒め殺してる(笑)。 塚田 ライブ会場でも、観客のエネルギーも絶対必要じゃないですか。観客側も聞いているお客さんではなくてあの生態系の一部に取り込まれたと思うんですよね。それは媒介者がいて、そこに循環していくみたいなエネルギー構造があったんじゃないかなって。 コムアイ 日々どうしてこういうことが起こるんだろうとか、どうしてこういうことが起きなかったんだろうって。本当にそればかりなんだけど。まだ全くわからないって感じです。それから数ヶ月ライブたくさんやったけどわからないです。 宇川 わからないってのは? コムアイ どういう仕組みで何が起こっているのかとか、なんで自分がゾーンに入ったとか、どうして人がこういう気持ちになったんだろうとか。

宇川 水曜日のカンパネラのコムアイちゃんのファンってたくさんいるじゃないですか。その人たちがYAKUSHIMA TRASUREをどう見ているかって問題は置いといて、僕が見てるコムアイちゃんは、鹿を解体している頃のイメージを今もずっと持っていたので、むしろBack to rootsというか、まだ未分化だったセントラルコムアイとの接触を感じたわけです(笑)。だから本来のコムアイこれだったよね? ってスッと入ってきたというか。 コムアイ ありがとうございます。 宇川 それと並行で水曜日のカンパネラというプロジェクトの中の役割として機能してるコムアイちゃんという存在も、並行していてほしいというファン目線も持っていますよ。 コムアイ 宇川さんは、アートとデザインのふたつあるとすれば、デザインにお前は絶対戻ってくるだろうって。両立するんじゃないかって言ってくれましたよね。私はまだピンときてないんですけど(笑)。 宇川 きてないというのは、やっぱりパフォーミングアーツ側に突入しようとしているからでしょ?  コムアイ 今突入中だからかもしれない(笑)。 宇川 そうだよね。僕、元々グラフィックデザイナー出身でDTP第一世代なんですよ。大先輩の横尾忠則さんと同じく、流れで現代アート側に突入しましたが、ただ転校はしてなくて、つまり両刀使いになったわけですけど。それもやっぱりデザイナーとして消費と向かい合ってる自分とその機能もディシプリン的に心地良くて。 もう一つはやはり長くやっていると現代アーティストとしての自分という存在も世に認められるようになった。いつも言いますが、その理由が、デザイナーは医師であってアーティストは患者である。そしてデザインは薬であってアートは毒である。もう一つはデザインは答えであってアートは問いであるっていう。この振れ幅を持つことは大切で、自分が答えになったり問いになったりできるわけです。 しかし、問いばっかり投げかけていたら、見失ったりもするわけですよ。でも「問い続ける自分」という確固たる質問者、問題提起者になれば、それはそれで一つの作風として永遠とやっていけるわけなのですが、そうじゃなくて、ふとしたきっかけで答えを出したくなる時がある。その答えがデザインなんですよね。毒ばっかり盛っていたら、その毒を精製して薬を作りたくなったりするわけですよ。 コムアイ 面白いなあ(笑)。 宇川 その両軸を持っていれば、大変楽になれると思いますよ。毒を作っているコムアイから、また薬を作ってるコムアイに戻ったときの、そこで生まれた特効薬たるや。癌も治るかもしれない(笑)それぐらいの効能を秘めてる可能性もあるだろうと。 コムアイ 長い道のり……見守ってください(笑)。 宇川 いやでもコムアイちゃんならできるのでは。 塚田 私もいつも簡単にブリッジが見つかるんじゃないか、って期待を込めて思っているんですけど。あとは水カンのファンがいたとしても、突然コムアイさんがアート側にいってしまったっていうよりも、水カンファンの中にあった野生を引き出してくれる存在なんじゃないかなとも思うんですよね。 コムアイ ライブの映像をみると、やっていることが結構つながっているような感じもすごくしますね。ライブ同士でみてみると、去年やってたことと今年やってたことはすごい近いのかもしれないですね。 宇川 YAKUSHIMA TREASURE発祥の映像さっき見てもらいましたけど、あそこで言っていたように、武道館という一つの高みに登った水曜日のカンパネラがいたでしょ。ある種の到達点ですよね。マーケットに作用する音楽をやってる人で武道館目指してる人は多いのでは? そのあとは東京ドームで、次は5大ドームツアーだ! みたいな。音楽マーケットの中での表現というのはやはり、動員の上でのマスとしての評価がある意味重要じゃないですか。その達成感、充足感というものも片やあるわけですよね。『Mステ』に出てるコムアイっていうのは確かにそこに存在していたのだと思います。しかし、数ではなく質を共有できる人たちも、コムアイちゃんは同時にずっと求めていたと思うんですね。もちろん、水曜日のカンパネラは質の高いプロジェクトですが、クオリティーという意味の質ではなく、アーティストに内在している本質の問題のことです。それを彼女は音楽ではなくて、当時から発言でもやっていたような気がしています。コムアイちゃんの発言は様々なところで刺さっているのですが、総じてすごくイノセントだと思いますよ。でもほら、地上波でイノセントっていってもね、きちんと台本があってその中で守られるべくコンプライアンスもあり、ポリコレも存在していて、そのステージの上で、言葉を選びながら、本質的な部分を語っているなと思っていたわけです。だからむしろそれが、今回音楽のベクトルに入ってきただけで、彼女は実は水カン時代からYAKUSHIMA TREASUREをやっていたともとれますよね。何が言いたいかというとDOMMUNEと『Mステ』の間に『ワイドナショー』があったっていうことです(笑)。 コムアイ 戦場に花を置くような気持ちで行ってました。 宇川 すごい初耳、そのたとえ、面白いね(笑)。

塚田 あと、自然回帰というか野性という言葉も今日キーワードだと思うんですけど。消費者の中にも潜在的に眠ってるんじゃないかという話から続けていうと、私の個人的なテーマとしても、いわゆる自然対人工の二項対決って考え方自体が古いなと。そこを乗り越えてテクノロジーの時代に自然と人間も機械も混ぜこぜになっていくような肌感覚って既に芽生え始めてるし、コムアイさんはそれをいち早く受け取っているなと思っていて。そうした時代のインテリジェントの野生というか。野生というと本能的に身を任せるだけで何かやっているようにみられがちだしそういう言葉に捉えられがちなんですけど、実はそこに対してものすごく現代的な感性ないしは知性を持った上での野性感というものが吹き出しているというか、花開いているんじゃないかなと思っていて。 コムアイ 嬉しい、ありがとうございます。いつでも野生に回帰してる人っているんでしょうけど、岡本太郎とかもすごくそうだし。縄文とか、室町にいろんなものが固まっていく、とか、もっとそれより前にあったものというか。でもそういう日本の元文化みたいなのに戻りたいというのは、今更に強い感情がありますね。これから先何もないって、臨界点だなと思います。登っていく先にないってことはみんなわかっていて、じゃあどうしようというのは一つじゃなくてみんなそれぞれで研究してるんじゃないかと思うんですけど。 宇川 なるほどね、この先登っていくべきものがない。 コムアイ この数字が増えていく世界はもう終わるというか、先がない、面白くないなとは皆感じてるから。じゃあその後どうしようというのは全世界的に、特に北半球で考えてる人はいっぱいいますね。 塚田 結局幸せとか未来が良くなって行くみたいなことがXY軸の右肩上がりになっていくという考え方自体が、限界点に来ているというのは世界中で起こっているという風にすごく感じますね。 コムアイ 好きなことやっていくだけですよね。本当に。 塚田 確かに、これからは。そんなところでぜひ会場からも何か、この機会に質問や感想でもいいんですけども。何かあればと思いますが、いかがでしょうか。あとはDOMMUNEご覧の方からも何かあればと思ってツイッターも同時に見たいなと思います。 今ぱっと開いたらTwitterからDOMMUNEで、「野性と化学はそもそも対立する項じゃないっていうのはビョークの問題意識としても共通していますね」という話があって、私も今日のライブ映像見ながら、最近のビョークの向かっている方向もそうですよね。彼女は元々そうですけど。その表現方法はコムアイさんと違うんですけど、共通するところもあるなとすごく思いましたけど。 コムアイ AIについてかVFXについてだったか忘れてしまったんですけど、科学技術を使うことに関して、バイオリンを弾くことに置き換えてて。発明されたときは不思議なものだと思われていたけど、これだけ時間が経ったらバイオリンもオーガニックな楽器として受け入れられている。その発明された瞬間に立ち会ってるみたいなことを彼女が言っていて。 塚田 言いそうですよね。私たちが生きていく限りで、すでにテクノロジーって完全に切り離して、屋久島でスマホも持たずに生活できるかって考えたら、不可能ではないけれども自然な形ではなくなっているということは確かなはずで。今日も何度かキーワードとして挙がっていますが、私たちにとっての自然な形って何かという話において、対立項ではないってところは一つありますよね。 コムアイ 街の作りって苔の作りとかに似てたりしますもんね。屋久島に行って帰ってきたら、木が全部大きな苔に見えて、ずっとルーペの中を覗いてたんですよ。そこ覗いてたときは小さな椰子の木とか杉の木とかにそれぞれ見えてたんですけど、帰ってきたら都会の植物が一本一本、こんな小さい苔が大きくなった、みたいに。最近興味があるのは、自分が小さくなる方かも。<虫展>見に行った時もそうですし、小さいものの暮らしとか世界観に入っていると落ち着く感じがして。 宇川 はい、タイムラインからの質問を拾っていきますね。「コムアイさんボーカリゼーションには元々興味があったのでしょうか、全く憑きの感じが全然ないのが良い」 コムアイ 憑きの感じがない……よくあるって言われるんだけど(笑)。 宇川 本当に? 何かに取り憑かれてるって感じがしないので、環境を浮遊している感じなのでは? と思っていました。 コムアイ なるべく空っぽを目指してて。元々まずボーカリゼーションには興味がなくて、カンパネラで誘われてから歌を始めたんですけど。ライブでよくわからないで声を出しているうちに、空気を吸い込んで吐くっていうのをたくさんやっていると、それ自体が脳に酸素がいかなくなるというか。結構気持ちいい瞬間が来るんですよね。それもあるのかな。不思議な、自動で体が動いてるみたいな時間が訪れたりするので。それから歌が面白くなってきたんですけど。自我が消えるのが良い時ですけど。 宇川 でもあれでしょ、ここで書いてる憑きというのは。例えば、恐山で潮来が死者の霊を降ろして、体内に一度入れてその人がさも発言しているかのようにメディアとして体を受け渡すという。媒体・媒介者としての身体みたいな発想ですよね。まるっきり違うと思うんですよ。環境といかに融合するか、そんな連帯意識の方に多分、コムアイちゃんの表現は向かってると思うので。そこが自然に感じるんですよね。 コムアイ そうですね、それを研究していきます、もっと。 宇川 それがやっぱり、コムアイの魔法だと思いますね。 コムアイ 個に対してどっかの個にアクセスするのではなく、受容するってことですよね、周り全てをね。 塚田 東京に帰ってきて、東京すらも苔山の一部に見えることも、ポルシェの企画自体も、『Changing Perspectives』というテーマですけど、まさにパースペクティブを変えていくことで、生態系もどのエリアを見ていくかによって見方が変わって行くじゃないですか。イタコ的な憑きではなく、自由自在に自分のパースペクティブを変えられるというか。例えば恵比寿・表参道を歩いている時の今の自分等身大の視点で見るのか、鳥瞰図的に見るのか、またはおっしゃったように自分がもし小さくなったらと想像した時に見えるパースペクティブってまったく違うはずで、そこで変えられる視点がね。身体的センスが凄くあるんじゃないかなって。 コムアイ 嬉しいなあ。そうしないと飽きちゃうしね(笑)。

宇川 この番組を見ながらさっきビョークの話に重ねてタイムラインにUPしている人がいます。WIREDのビョークのインタンビューで、「ユートピアは幻想じゃない、必需品」という発言が結構話題になったんですよ。どういうことかいうと、ユートピアは現代社会とか集団の中で理想郷の探究としていつの時代にも存在している。にもかかわらず必需品と言ってるのは、テクノロジーによってユートピアを0から生み出すクリエイションが私の理念である、と。だから「時代の側が私に追いついてこい」という覚悟なわけ。ユートピアは自己のアイデンティティの中にあるという発想。集団の中での理想郷づくりというのは60年代からやられてきたわけですよね。 それはヒッピーイズムやサイケデリックカルチャーが源流になってると思いますが。当時はベトナム戦争が背景にあって、そこに対してアンチを掲げて、銃を捨てて花を掲げて、コミュニティを作って集団生活をしていき、自給自足をしていこうと。だから完全に自分たちのユートピアを作り、社会から逸脱していこう、ドロップアウトしていこう、という発想だったわけなんですけど、それがどんどん破綻して行くわけですよ。なぜかというと、新たに作ったユートピアの中に政治が生まれてくるから。だからそれ以降「指導者なきコミュニティ」が有効化しましたよね。いまコレクティヴと言われている存在の本質はここにあると僕は思います。トランプ時代の悪夢の中で、ビョークが唱えているのは集団じゃなくて個なんですよね。個の中にユートピアがあるという発想、面白いですよね。 塚田 今の話を聞いていて思い出したのが、ユートピアないしはどれだけ自ら個のアーティストの中からファンタジーを描けるかだと思っていて。ル=グウィンという『ゲド戦記』を描いた小説家がすごく良いことを言っているんですけど、「ファンタジーは現実からの正当な逃避である」ということを言っているんですね。今宇川さんもおっしゃったように、なんらかの時代背景・社会背景があるなかで、次何を目指すのか、簡単にディストピアを思い描くことは簡単だと。ディストピアってある意味ですごくポルノ的にもなる。悲惨な未来を描いてそれに警鐘を鳴らしていくこともすごく重要ですけど、恐怖心だけをポルノ的に消費するのではなく、本気でファンタジーを描くということが、作り手に託されている使命なんだということを言っていて。今のビョークの話だったり、コムアイさんの引き出そうとしているもの、LIQUIDROOMでのライブがまさにですけど、次をもう示してるんじゃないかななんて思いますね。 コムアイ 本当にそうで、最近やりたいのって結構アンビエントなんですよね。 宇川 いいねえ。 コムアイ あとインタラクティブじゃないものっていうのにも興味があって。 宇川 昨日藤元くんとの対談でも全く同じ話してたの。あの『Taycan』のインスタレーションもインタラクティブじゃなく、作家性をそのまま打ち出すその抽象性を受け止めて自分の中で発育させて欲しいという発想なんです。ビョークが言ってたのも、テクノロジーが私に追いついてこいという格言は、テクノロジーの目新しさだけに囚われるのはよくないと。そこにいかに人間らしさを機能させることができるか。そしてテクノロジーの中に情感を刷り込むことができるのかということ。その一点を考えれば、テクノロジーも味方になる。そういう発想だと思うんですよね。だからトレンドではなくて普遍性の方だよね。 塚田 かつ、バイオリンを使うようにいかにテクニックを磨いていくかということもなるのかな、なんて思いますけど。そろそろ時間ということで、まだまだお聞きしたいところなんですが、このあとコムアイさんライブの準備もあるかと思うので。今回このポルシェのイベント自体が『Changing Perspectives』というテーマなんですけれど、『Changing Perspectives』について何か一言いただけますか? コムアイ 今話していた中でも結構変わってきたし。それしかないだろうなという気もするんですよ。理解できない相手とか、嫌いな人を好きになることはできないとして、何ができるかというと、『Changing Perspectives』しかなんじゃないかと思っています。ヘイト強まる時代のなかで、分断がどう埋まるのかというとみんなの意見が一致することではなくて。<Unsound>のテーマは『Solidarity』で、共鳴だったんですけど、理解し合えない相手同士で、視点を変えるという。理解までいかないかもしれないけど、それしかないんじゃないかと思いますね。やっていけることは。 宇川 昨日もまったく同じ話してた。すごいよこの共鳴(笑)。だからミレニアル世代が考えている着想はここにあるのだなと強く感じました。タイムラインも結構賑わってますよ、コムアイちゃんの今回のプロジェクトに深く感銘を受けてるビューワーが沢山湧いてきました。 コムアイ ありがとうございます。 宇川 RJTBUさんから「呼吸とか歌唱とかのメカニズムに基づいてる快楽に関する話って、感激する」というコメントが。 塚田 おー、結構深いコメントが。 コムアイ 歌ってる人なのかなあ。 宇川 呼吸とか歌唱のメカニズムからくる快楽。水曜日のカンパネラってね、ポッププロジェクトでもあるけど、コムアイちゃんの特殊技能を発揮できてた、奇特な表現レイヤーでもあったと思うんですよ。それは何かと言うとあの複雑なリリックを覚えられるってことがまず一つ。 コムアイ (笑)。できますよ、誰でも。 宇川 饒舌に、噛まずに、それを歌唱として形にできる、あのリリックを空気中に放り投げ続けられるっていう。そういう技巧をあのプロジェクトでは発揮できる仕組みになっていたなと思って。 コムアイ 結果マントラ的だったのかもしれない(笑)。 宇川 そう結果”マントラ的早口ことば”なんだよ(笑)。ああいうポップミュージックのあり方ってよく考えるとなかなかなくて。水曜日のカンパネラか、「ドリフの早口ことば」か、MONO NO AWARE「かむかもしかもにどもかも!」か(笑)。この文脈をオルタナティブなアートとしていかに批評できるかも結構重要ですね。例えば佐々木敦さんなら、JPOPとかノイズミュージックも電子音楽も同じテーブルに乗せて批評できるじゃないですか。そういう批評家が水曜日のカンパネラを深く掘り下げて論じれば、まだ見えてない地平が見えると思いますね。水カンは、そんな特殊なプロジェクトだと思うわけですよ。 コムアイ ありがとうございます。 宇川 さっきRJTBUさんが書いていた、呼吸と歌唱のメカニズムについては、独自のメカニズムの中で、水曜日のカンパネラの”マントラ的早口ことば”の呼吸法を生み出していた。と、言っていいですよね。 コムアイ 無意識に。 宇川 しかし「シャクシャイン」なんてカラオケ入ってても過呼吸になって誰も歌えないでしょ(笑)。 コムアイ いやー、結構歌えると思うんだけどな(笑)。もう私も途中で忘れたらまったく覚えてなくて、要は文章としてはどれも覚えてないんですよ。 宇川 あ、そっかカラオケはリリックが出るから歌えるんだ。 コムアイ じゃなくて、文章としてどういうことを言っているかということは多分私は記憶をしていなくて、トラックが来た時に自動で出るようになっているって感じで、じゅげむですね。 宇川 じゅげむじゅげむ五劫の擦り切れ…… コムアイ じゅげむって途中で止まったら最初っからしかないじゃないですか。それとまったく一緒だと思います。 宇川 海砂利水魚の水行末……あの感じだよね。あ、ほんとだ。水曜日のカンパネラ、じゅげむだった、今考えたら。 コムアイ どの順番とかわかってないんですよ、歌詞の順番とか。ただ、流れたら出てくるっていう。歌って面白いですね。

宇川 やばいね。話は逸れますが、『おはようこどもショー』(NTV)っていう番組が60年代〜70年代にあったんですよ。つまり僕が幼稚園の頃見てたんですけど。『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)に先駆けた朝の子供番組だったのです。そこで「みんなの歌」みたいなコーナーがあるわけですよ。そのあと『カリキュラマシーン』って番組が始まるんですけど。そこで「グヤグヤの歌」というサイケジャズのような曲が週間でヘビロテされて…...。いまも45年くらい頭からはなれない(笑)。そのフレーズが「キジケンケンココニャンニャン ワンケンコンニャン キジケコニャンニャンワーンワン」っていうフレーズがあって。これがずっと俺の脳内に刷り込まれていて、幼稚園の頃から。今年51歳なのにいまだにふらっと出てくるの。これってじゅげむマントラでしょ(笑)。「キジケンケンココニャンニャン ワンケンコンニャン キジケコニャンニャンワーンワン」秘密の真言です。 コムアイ これ言葉だったら覚えれてないですよね。メロディというか形? 音の形で覚えてる。 宇川 これ、今の水曜日のカンパネラのメカニズムですよね。すごく面白いですよ。それが、快楽に基づいてるっていう話が感激するって視聴者は言ってるのですね。歌っていて、覚醒していったり、気分が高揚していったりする体験は何度もされてるんじゃないですか? コムアイ はい、快楽主義者なので。どんなに考えてもこっちの方が気持ち良いという社会があったらそっちの方があってると思ってます。声に当てはまる以外にも全部に対して。だからなるべくどっちが気持ちがいいかなっていうので決められる状態にした方がいいと思うんですけど。頭で考えてもやっぱりそれには絶対勝ててない、その正しさに勝てないような感じがして。 塚田 そこはすごい重要ですね。 宇川 重要ですね。禁欲からくる快楽みたいなものもあって。ディシプリンといいますね。日本語だと、鍛錬とか克己(こっき)ですかね。例えば、グラフィックデザインは締め切りを守ってそこまでにクライアントのオーダーを聞きながら完成させないといけないという、そのプロセスに身を投じることは禁欲的なんですよどちらかというと。内に秘めた表現を大解放しない、爆発させない、にもかかわらず擦り込ませるっていう。だからすごい表現を禁じてるんですよ。内から沸き起こっている高揚とかをカモフラージュする。なのにそこにその高揚を擦り込ませる偏執狂的快楽というのもあって。締め切りを守らないといけない、表現を自己規制しないといけない、予算も限られているというルールの上でゲーミフィケーション的な快楽もあるわけですよ。それとは別に、現代アートみたいに大解放してもいい。土を投げても許される、みたいな。そういう二律背反的なステージに身を置くとめちゃくちゃ楽になるよ。 コムアイ 何来ても大丈夫、どっち来ても大丈夫。 宇川 土を舞台に生けるならば、あの先生みたいに撒き続ければそれがオリジナリティになるのですが、土を撒いた後に何か別のものを撒かないといけない場合、また新しいエクストリームなハードルというか。過激さという意味合いにおいても、斬新さという意味合いでも新たなハードルが押し寄せてくるから、それがまた違う苦悩に変わってくるわけ。だからむしろ、解放しないで禁欲の中から見出した快楽というものにも注目できたら更にやばいことになるんじゃないかな。 コムアイ DOMMUNEはそれでやって来れてるんですか? 宇川 そうね、さっきコムアイちゃんが言っていたような、「毎日同じところに通うなんて苦痛、耐えられない」とは当時の自分も言ってた(笑)。 一同 (笑) 宇川 つまり俺もそうだったのよ。なのに10年前から毎日同じ時間に通って、毎日配信するって決めてもう10年間近くやっている。 コムアイ スイッチングずっとやって。 宇川 そういうサドゥーみたいな表現を自分のものにすると、その後発芽してきます。 塚田 へー。 コムアイ おー、そうね。大解放にも飽きてくるんですよね。 宇川 そう、大解放に飽きてくる。 塚田 ある種、それで禁欲の時間ないしは何か制限を課すことによって、快楽の質だったり、解像度が上がってくる。快楽という言葉一つとってもね、いくつもレイヤーがあるじゃないですか。その次のレイヤーが上がっていく状況って、しかもそれを見ている側も引き上げてしまう。 宇川 本当に塚田さんのいう通りで。解像度が高い表現を打ち出したら、見る側の解像度も上がってるから、そこからビットレートが低いものは、コンセプトがないと見てくれなくなっちゃう。それが常態になるからね。 塚田 それが『Changing Perspectives』とも言えるのかななんていうふうに思いますが。そろそろ時間ということで残念なんですが、まだまだ話したいですね。 コムアイ ねー、続きしましょう。 塚田 続きもしましょう。というところで一旦こちらのトークショーはこちらで示させて頂きたいと、思います、この後21時からですね、是非ライブの方は楽しみにしていただければと。 宇川 宴もたけなわですが、渋谷PARCOの9階のSUPERDOMMUNEの現場にも今からまだ来れますよ。チャンネルそのままで21時にまたお会いしょう! コムアイ お願いします。 塚田 では改めて、コムアイさん、宇川さんでしたありがとうございます。皆さま、大きな拍手でお送りください。ありがとうございました。

引き続き、<Scopes TOKYO>では、Seihoや☆Taku Takahashi(m-flo)、DJ松永(Creepy Nuts)といった注目のアーティストが登場し、様々なテーマでトークセッションを開催&DOMMUNEでの配信を予定! トークセッションの後にはオープンしたばかりの渋谷パルコ9Fに開設されたSUPER DOMMUNEで繰り広げられるライブ、DJの模様も配信される予定です。 こちらも合わせてチェックしてみてください!

コムアイ

アーティスト。1992年生まれ、神奈川育ち。ホームパーティで勧誘を受け歌い始める。「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして、国内だけでなく世界中のフェスに出演、ツアーを廻る。その土地や人々と呼応して創り上げるライブパフォーマンスは必見。 好きな音楽は民族音楽とテクノ。好きな食べ物は南インド料理と果物味のガム。 音楽活動の他にも、モデルや役者など様々なジャンルで活躍。2019年4月3日、屋久島とのコラボレーションをもとにプロデューサーにオオルタイチを迎えて制作した新EP「YAKUSHIMA TREASURE」をリリース。同名のプロジェクト「YAKUSHIMA TREASURE」として各地でライブやフェスに出演中。 HPTwitterInstagramFacebook

PROGRAM INFORMATION

SCOPES Tokyo × SUPER DOMMUNE

2019.11.28(木) 「Rules can be changed」ナイトエコノミーはカルチャー再生の救世主となるか 18:00-20:00 SCOPES Tokyo @SO-CAL LINK GALLERY 出演:Hiroyuki Fushitani、Takahiro Saito、Seiho

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「Berlin x Tokyo 2019:Creating Togetherness in Club Culture」 21:00-24:00 SCOPES Tokyo x DOMMUNE @SUPER DOMMUNE|渋谷パルコ9F MC:Yuko Asanuma TALK:Naz Chris|Chicks on a mission(from Tokyo)、Sapphire Slows(from Tokyo) DJ DASCO(from Berlin)、DJ Sarah Farina (from Berlin) DJ:Sapphire Slows(from Tokyo)、DJ DASCO(from Berlin)、DJ Sarah Farina(from Berlin)

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2019.12.01(日) 「Rise of Millenials artsts」Next Wave Talk 18:00-20:00 SCOPES Tokyo @SO-CAL LINK GALLERY 出演:☆Taku Takahashi、Yon Yon、Naz Chris

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「EXPERIMENTAL TECHNO INVENTION」PRE - GAN-BAN NIGHT 21:00-24:00 SCOPES Tokyo x DOMMUNE @SUPER DOMMUNE|渋谷パルコ9F DJ:石野卓球(電気グルーヴ)LIVE:THE ALEXX VJ:DEVICEGIRLS

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2019.12.02(月) 「Back to basics」不便が切り拓く、世界への道 18:00-20:00 SCOPES Tokyo @SO-CAL LINK GALLERY 出演:DJ Matsunaga、DJ KOCO a.k.a shimokita、ANONYMOUS、Naohiro Ukawa、NONKEY

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「SCOPES with DMC JAPAN 'Turntable FETISHISM'」 21:00-24:00 SCOPES Tokyo x DOMMUNE @SUPER DOMMUNE|渋谷パルコ9F DJ:DJ 松永(Creepy Nuts|2019 DMC WORLD CHAMPION)、DJ KOCO aka Shimokita、 ロベルト吉野、DJ 諭吉(2017 DMC WORLD SUPREMACY CHAMPION)、 ANONYMOUS (2019 DMC JAPAN CHAMPION)、DJ SHOTA(2015 DMC JAPAN CHAMPION)、 DJ BUNTA(2008 & 2010 DMC JAPAN SUPREMACY CHAMPION) supported by DMC JAPAN

詳細はこちら

SCOPES Tokyo night Closing

2019.12.06(金) 出演:machìna x Shohei Fujimoto HVOB LICAXXXほか

SCOPES TokyoDOMMUNE

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はなむけしゃしん – Ye&Nana「落花流水」

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はなむけしゃしん

Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第1弾は、東京工業大学に通うYe&Nanaのはなむけしゃしんです。

Ye&Nana「落花流水」

卒業した学校名:東京工業大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:やっとの思いで卒業。ありがとう。これからもパートナーの存在を力に、生きてゆきます。遠く離れた土地に居ても、心は繋がってるからね 未来の世界へ:みんなが幸せになる世界が実現しますように…… でも、ちょうど平成生まれがみんな死んでからな気がして残念。だから、私達の幸せはこれからも、私達自身が築いていこうね。

はなむけしゃしん
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はなむけしゃしん

INFORMATION

はなむけしゃしん

中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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ニューアルバムをリリースするサンダーキャットが「サウンドファイターズ」に登場!舞台裏&撮影密着レポート

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サンダーキャット

世界最高峰のベーシストであり、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)やマック・ミラー(Mac Miller)といった名だたるアーティストたちとも共演を果たしているミュージシャン・サンダーキャット(Thundercat)が今年4月、ついに日本に帰ってくる! 彼は、カマシ・ワシントン(Kamasi Washinton)やジョージア・アン・マルドロウ(Georgia Anne Muldrow)、ロス・フロム・フレンズ(Ross From Friends)など多岐にわたるジャンルのアーティストたちを輩出し、LAミュージック・シーンを支えてきたレーベル〈Brainfeeder〉の看板アーティストとしても知られています。

サンダーキャット

ハードコア・バンド、スイサイダル・テンデンシーズ(Suicidal Tendencies)のベーシストとしてキャリアをスタートさせ、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)や盟友フライング・ロータス(Flying Lotus)のアルバムにゲスト参加し、その名を一躍世に広めると、2011年にソロアルバム『The Golden Age of Apocalypse』をリリース。2013年に発表された2ndアルバム『Apocalypse』は日本でも大ヒットを記録し、彼の存在を知らしめる要因となりました。さらに2017年発売の3rdアルバム『Drunk』は、サンダーキャットが水辺から顔を突き出しながら、こちらをにらみつけているというその印象的なアートワークも話題に。一方で、本作は超越したテクニックが持ち味だった彼のベーシストとしての印象をガラッと変えてしまうほどの豊かな音像に、誰もが驚いた作品でもありました。今年4月3日(金)には全世界が待望する3年ぶりのニューアルバム『It Is What It Is』をリリースする彼。 そんな彼が、NHK Eテレの知的エンターテインメント番組『シャキーン!』の人気コーナー「サウンドファイターズ」に出演することに!(4月2日(木)、3日(金)朝7時から放送) 「サウンドファイターズ」はふたりのアーティストが楽器を演奏、スピーカーの振動でリングを振動させ、紙相撲のように勝負する名物コーナーとして知られています。毎回豪華なゲストが出演し、白熱したファイトを繰り広げることから、子供にも大人にも大人気! この度、Qeticでは「サウンドファイターズ」に出演するサンダーキャットに密着し、普段の彼の様子や番組の裏側、さらに共演する中村佳穂さん、休日課長さん、吉田一郎さんという日本が誇る3組のアーティストとの交流に迫りました!

NHK Eテレ『シャキーン!』 「サウンドファイターズ」に出演するサンダーキャットに密着!

撮影当日、今か今かとサンダーキャットの到着を待ちわびていると、ピカチュウのスウェット、リュックという全身ピカチュウづくめの格好で颯爽とサンダーキャットが撮影スタジオに登場! リュックに下げている黄色のスピーカーから流れる音楽を聴いて、口ずさみながらとてもリラックスしているようです。大のネコ好きである彼は、なんとシャネルのブローチをつけたネコミミ付きの耳あてもファッショナブルに着こなしていました。
サンダーキャット

早速収録の準備に取り掛かった彼が手に取っているのは爪やすり。ベースを弾くのに重要なのか、念入りに爪を研いでいます。そしておもむろにハードケースから取り出したのは、目にも鮮やかな真っピンクのベース。世界有数の技巧派ベーシストとしても知られる彼のベースには、6つもの弦が張られています。ボディには「DON’T OVER THINK SHIT(くだらないことを考えすぎるな)」と虹色の文字で書かれたステッカーが。ユーモアあふれる彼の哲学も垣間見えました。

サンダーキャット
サンダーキャット

本番前のトレーニングを始めた彼の指は目にも留まらぬ速さで動き続けます。素人目にもわかるそのテクニックに、思わずじっと見続けてしまいました。「いつも同じ内容のトレーニングをしているわけじゃないけど、本番前は欠かせないね。今はスケールを弾いてるよ」と話しながらもその指は止まりません。時折鼻歌を口ずさみながら、終始陽気にベースを弾き続けていました。

サンダーキャット

自身の出番前に中村佳穂さんと休日課長さんのバトルを見守るサンダーキャット。リラックスしながら収録風景を見つめ、ときには笑顔を見せていました。「こういう番組ならいつまでも続けられるよ」と、とても楽しそうな様子。そんなときでももちろん指は動き続けています。

サンダーキャット
サンダーキャット

「サウンドファイターズ」に登場するファイター(紙人形)は、アーティスト自身で顔の絵を描くのが恒例です。サンダーキャットはベースを弾くときとは違い、左手で描き始めました。するどく睨みつけるような目とインパクトある大きな鼻が特徴的なファイターを丁寧に描き上げていきます。「今まで隠してたんだけど、実はイラストレーターもやってるんだよ」と語る彼の絵はとても本格的。

サンダーキャット
サンダーキャット

対戦相手、中村佳穂さんも後ろで描いている様子を驚きの表情でじっと見つめています。この絵について「(任天堂のキャラクター)ワリオをイメージして、自分の顔を描いたんだ。わかんないけど」と説明してくれました。描き終えた彼は「もう勝ったね」と自信満々な様子。

サンダーキャット
サンダーキャット

ファイトの時間が近づいたので、機材の準備にとりかかります。DigiTechのペダルWhammyとMoogのペダルMoogerfooger Low-Pass Filter、そしてAguilarのベースアンプとおなじみの機材をセットアップしていくサンダーキャットの表情はどこかゴキゲンです。中村佳穂さんが奏でるキーボードの音に合わせてチューニングする場面も。

サンダーキャット

準備が完了すると、自己紹介の演奏シーンの収録へ。5秒ほどで、とお願いされていたにもかかわらず、1度目は熱くなってなんと20秒も演奏してしまうサンダーキャット。少し恥ずかしそうに笑みを浮かべながら撮り直していました。

サンダーキャット

いよいよファイト本番! この日は吉田一郎さん(吉田一郎不可触世界・元ZAZEN BOYS)、中村佳穂さん、休日課長さん(ゲスの極み乙女。)との3本勝負です。 最初の対戦相手吉田一郎さんはサンダーキャットを見るやいなや「かわいい〜! キュート&クール」と連呼。サンダーキャットに終始メロメロな様子でした。

サンダーキャット
サンダーキャット

頭の上に自身のファイターを乗せているサンダーキャットを見ながら、ベースを弾く吉田一郎さん。その音に合わせてサンダーキャットが頭を揺らすと、紙相撲勝負さながらにポロっとファイターが落ち、思わずふたりで笑い合う、なんて和気藹々とした瞬間もありました。

サンダーキャット
サンダーキャット
サンダーキャット

続いては中村佳穂さんとの対戦。お互いに自身の楽器を弾き始めると、途端に真剣な表情に変わったサンダーキャットの超絶技巧がさえ渡ります。キーボードの美しいハーモニーと持ち前の歌声で負けじと対抗する中村佳穂さん。一進一退の攻防の結果は果たして?

サンダーキャット
サンダーキャット

実は、サンダーキャットが2017年に敢行した京都メトロでの単独来日公演を見に行っていた、という中村佳穂さん。対決後にはふたり仲良くセッションしていました。

サンダーキャット
サンダーキャット

最後はゲスの極み乙女。のメンバーとしても知られる休日課長さんとのベーシスト対決に。「やるだけやってみます」と意気込んでいる休日課長さんを尻目に、「おなかすいた」と飄々としているサンダーキャット。それでも対決となるとやはり白熱の展開に。

サンダーキャット
サンダーキャット

休憩中にはふたりでベース談義をする光景も見受けられました。休日課長さんはサンダーキャットのシグネイチャーモデルであるタバコバースト柄の6弦エレクトリック・ベースを試奏したことがあるそう。

サンダーキャット
サンダーキャット

すべての対決を終え、シャキーン!ポーズを決めるサンダーキャット。対決相手と4人揃って記念撮影するときも含め、終始和やかなムードでした。

サンダーキャット
サンダーキャット
サンダーキャット

撮影を終えたサンダーキャットに、撮影中の最も印象的だった瞬間を聞くと「最初は大きな音が出せなかったから少し残念だなって思ったけど、やり始めたらすごく楽しかったし、思わずハマっちゃったよ」と話してくれました。また番組全体の印象を伺うと「完璧だね。いまは(ゴキゲンだから)ネコミミも着けてるし」とネコ大好きなサンダーキャットらしいコメントで締めくくってくれました。

サンダーキャット
サンダーキャット
サンダーキャット

いかがでしたでしょうか? 今回の密着では、ステージ上の洗練されたクールな姿だけではなく、お茶目でかわいらしい一面ものぞかせてくれました。そんな彼に魅了された方も多いはず。深淵をのぞかせる彼のニューアルバム『It Is What It Is』もぜひご堪能あれ!

Photo:中村寛史 Text:Kenji Takeda

サンダーキャット

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FAKY・Mikako|take life easy by PALLADIUM

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春夏シーズンを軽快にしてくれる女性に向けたPALLADIUMのフラットスニーカー、EASYシリーズ。 ファッション性の高いコットンツイル使用し、シルエットがきれいに見える春らしいスニーカーを、 FAKYのMikakoさんが自身のファッションアイテムと合わせてスタリング。 思わず冒険に出たくなる春にぴったりの気楽なスタイルを提案してくれました。

take life easy by PALLADIUM

“BLACK×男子小学生”

最近散歩をしている時に、制服姿で下校する小学生の男の子たちを見て、 そこからインスピレーションを受けました。 絶妙な丈のパンツを履きたいのと、あえてビックサイズで着たい!と思ったので、 メンズものをゲットして自分でパンツはリメイクをしました。

お気に入りの一足

EASYシリーズは、手に持った時にビックリするくらい軽くて驚いたのを覚えています。 そしていざ履いてみると、履いているのか分からなくなるくらい軽くてすごく歩きやすかったです。 スニーカーが大好きなのでお気に入りの一足になりました。 この靴を履いてランニングをしたいです。 今の時期桜だったり、段々とあたたかくなってきたので走ったり、 散歩をするのも気持ちのいい時期なので行く宛を決めずに歩いていたいです。

“STAR WHITE×オールホワイト”

EASYシリーズのホワイトを見たときに、《オールホワイトで合わせたい!》という自分の直感に身を任せて、 丈が片違いだったりカッティングが珍しいカーディガンをメインにスタイリングしてみました。

自分らしくこれからも冒険を楽しんでいきたい

私の人生は毎日冒険です。 25年間今まで真っ直ぐ、しっかり、人にも、自分にも、時間にも向き合ってきました。 それは今現在も変わらなくて、毎日生きてるといいことばかりじゃなく、 いろんな壁があって、その良い壁も悪い壁も私は同じ熱量で立ち向かっていきたくて、 その“立ち向かう”ということが“冒険”だと思っています。 誰が何を言おうと、私の人生は私が主役だと思っているので、 自分らしくこれからも冒険を楽しんでいきたいです。

“BLACK×男子小学生” set up : Dries Van Noten (vintage) ※Mikakoさんの私物 “STAR WHITE×オールホワイト” cardigan : PERVERZE inner : UNIQLO ※Mikakoさんの私物 Photo:Asami Nobuoka Model&Styling:Mikako(FAKY) Comment by Mikako(FAKY)

EASY LACE イージー レース ※Mikakoさん着用シューズ(カラー:STAR WHITE) PRICE:¥5,800(+tax) SIZE:22.5 – 25.0cm COLOR:BLACK/VAPRO/STAR WHITE/ECLIPSE/PEACH PEARL/POP CORN 詳細はこちら

EASY MULE イージー ミュール ※画像右 PRICE:¥5,300(+tax) SIZE:22.5 – 25.0cm COLOR:BLACK/STAR WHITE EASY SL イージー スリッポン ※画像左 ※Mikakoさん着用シューズ(カラー:BLACK) PRICE:¥5,800(+tax) SIZE:22.5 – 25.0cm COLOR:BLACK/STAR WHITE 詳細はこちら

Mikako(FAKY)

黒髪ボブへアと美肌、 ショートパンツに映える美脚が Mikako のトレードマーク。華奢なスタイルとクールなまなざしが際立つ彼女は異質な存在感を放っている。ファッションコーディネートを得意とし、 メンバーのスタイリングをコーディネートすることも。FAKY のダンスプラクティスビデオの衣装は Mikako が全メンバーのスタイリングを手掛ける。 一度決めたことは、最後までやり遂げる芯の強さを持っており、メンバーの中ではリーダー的存在を果たしている。プライベートでも 「マラソンは週に4日、10km くらい」「体形調整は撮影の1カ月前から」と話すなどストイックな性格の持ち主。ガールズ・ユニオンFAKYのメンバーとして活動中。

Mikako InstagramFAKY Official SiteFAKY Instagram

  PALLADIUM PALLADIUMはフレンチミリタリーをオリジンに1947年以来、機能的なシューズを開発。 現在は「CITY EXPLORING – 都市探検 -」を追求。

PALLADIUMTwitterInstagramFacebook

パラディウムのオフィシャルストア S-Rush(エスラッシュ)原宿店 東京都渋谷区神宮前3-24-1 インザストリームビル 1F・B1F TEL 03-6455-4125 営業時間 11:00~20:00

詳細はこちら

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「いつかひとつになれると信じている」ライブドキュメンタリーシリーズ「Keep A L1ve」釈迦坊主インタビュー

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釈迦坊主

Qeticが新たにローンチするライブドキュメンタリー動画シリーズ「Keep A L1ve」。その第1弾として、異色のラッパー釈迦坊主が登場する。オープニングCGは、釈迦坊主のイベントにレギュラー出演するVJ、球根栽培が担当。彼のライブの魅力が凝縮された動画の公開と合わせて、この度インタビューを敢行した。 トラップを主軸にしながらも独自に音楽性を拡張させていく、釈迦坊主の妖艶で謎めいたラップスタイルは、ヘッズからギャルまで多様な人々を魅了させる。彼がオーガナイズするパーティ<TOKIO SHAMAN>は毎回満員になり、昨年は1,000人規模の恵比寿LIQUIDROOMで実施するまでに成長した。徐々にヒップホップ・シーンを侵食していく釈迦坊主本人にライブへの思いを聞かせてもらった。

Interview:釈迦坊主

釈迦坊主

釈迦坊主としての初ライブ

━━今回公開される「Keep A L1ve」の第一弾として撮影されるまでの流れを教えていただけますか? きっかけは恵比寿Baticaの店長の鈴木さんがQeticを紹介してくれたことからです。僕はメディアと繋がるのが苦手なんですが、鈴木さんに導かれました(笑)。元々4年前にSoundCloudから出演オファーをいただいてから知り合って、<TOKIO SHAMAN>の前身となるイベントは一番最初渋谷nostyleで始めたんですが、途中から恵比寿Baticaで開催することになって、もう4年以上の付き合いです。 ━━今や<TOKIO SHAMAN>はLIQUIDROOMという大きな規模で開催するに至っていますが、時を戻して、初めてライブしたときについて聞かせていただけますか? 釈迦坊主として活動する前にバンドをしていましたが、ライブの機会はありませんでした。スタジオに入ってオリジナル曲を演奏するだけで、人前で披露する前に解散しちゃいました。釈迦坊主としては、2012年に御茶ノ水のKAKADOという小さいクラブでの出演が初です。いろいろな曲をカバーするシンガーソングライター、他にもうひとり、釈迦坊主の3人というよくわからないイベントで、完全に駆け出しの頃って感じですね(笑)。 ━━初めてのライブはどうでしたか。緊張しました? 緊張したけれど、やはり楽しかったですね。その時にライブをすることで本当の自分でいられる瞬間を掴み始めたというか、釈迦坊主として内なる自分を爆発させ始めたような。でも今まで自分を隠して生きてきたので、裸の自分を見てもらう機会がなく、丸裸すぎて恥ずかしいという意味で緊張をしていました。その時のライブの内容は、アンビエントなトラックにポエトリーリーディングをするスタイルだったので、今とはぜんぜん違うんですよ。 ━━そこから今のスタイルに繋がっていくようなライブはありましたか? 始めてから6年間はお客さんがいなかったので、来てくれるようになったのは最近です。お客さんが自分のリリックをかぶせてくれるようになって、お客さんが来るようになってからライブの形が変わりましたね。今まではお客さんと繋がらなくていいという感覚でライブをしていましたが、最近はお客さんと一体になる楽しさもあるんだなって。こういうライブにしていこうと考えていませんが、自然にそういうライブの形になりました。 ━━明確な方向性はないけれど、お客さんを沸かせたいと。 一番興味がなかった部分ですが、そうなっていますね。最初の頃はお客さんをどれだけシーンと、唖然とさせられるか、をテーマにしていて。お経を唄ったりしていました(笑)。最近、お客さんが大勢来るようになっても昔から来てくれてる人はずっと来てくれていて、それは芯となる音楽的なブレない部分があるからかなと考えています。女の子のお客さんが来るようになったのも最近ですね。途中からストリート系やヘッズの子がくるようになって、女の子もいるし、ビジュアル系や服飾系の人たちなど、クロスオーバーにいろいろな人たちが来るイベントになって、それが面白いです。 ━━お客さんの数が増えてからライブの心構えは変わりましたか? 変わらないと言いたいところですが、変わりますね。自分の中では、人が大勢いるところで伝えたいことと、人が少ないからこそできる伝えたいことが違うんです。それはMCで喋る内容にも表れてます。例えば、Baticaでライブした時は、オカルトの日月神示やマヤ暦の話もできる。小さいクラブに来るのはコアなお客さんが多いので。ただ、リキッドルームのようないろいろなお客さんが来る場所ではそういう話はやめておこうかなと(笑)。

釈迦坊主
釈迦坊主

何事も直前に決まるライブ

━━自宅からライブの現場に向かう際に持ってくものはありますか? なんですかねぇ。携帯電話と財布ですかね。 ━━トラックの音源はDJに託しているんですか? 音源のファイルは事前に送っていて。いろいろ成り行きで成り立ってる。ブッキングやタイムテーブルも結構直前に決めるんです。事前に計画するのが一番苦手です。周りの人には迷惑かけているけれど、そうじゃないとできないっていう変なこだわりがあって。 ━━なるべく当日に近い雰囲気を出したいという? そうですね。曲も完成したら次の日に出したいぐらいです。だから、物事をあたためるのが苦手なのかもしれない。 ━━バックDJの方と打ち合わせたりしますか? ほぼしないですね。曲順も直前に決まるんです。これも怒られるんですが、「こういう大きいイベントは事前にセットリストを送らなきゃいけないんだよ」と言われていても、わがままはわかっているけれどギリギリじゃないとできないスタンスで押し通していますね。直前に“降りてくる”感覚を優先したいんですよね。なので、バックDJのHIGH-TONEにも、ライブ中に曲順を変えてもらうこともありますが、わがままを聞いてくれますね。 ━━信頼関係があるんですね。 だいぶありますね。ちなみにHIGH-TONEは僕のバックDJだけでなく、色んなたくさんの友達のバックDJもしているんです。僕、クラブでよく携帯と財布なくしがちなんですが、HIGH-TONEは「釈迦さんそこです!」ってすぐ見つけてくれる。安心感がありすぎますね(笑)。それとHIGH-TONEは<TOKIO SHAMAN>が終わった後とかに、ロマンチックな言葉を言ってきますね。「みんなの背中を俺は後ろから見て本当に色々思うことあるよ」とか勝手にアツくなる。そういう気持ち悪いところも愛してます。 ━━情熱の掛け方がラッパーとDJだと違うんですね。 みんなのことを考えてくれていますね。あとHIGH-TONEはいろんなクラブにめっちゃ知り合いいます。みんなに会いにいつもクラブで遊んでます。そういう可愛いやつですね。

釈迦坊主
釈迦坊主

注文ゼロのオーガナイズ

━━他にライブ中にコラボレーションする人はいますか? フィーチャリングのラッパーかな? あとはVJを球根栽培さんに頼んでいて、視覚的にもかましたいというコンセプトがあるので呼んでいます。球根栽培さんとの初めての出会いは、たしか2013年頃にmixiで。たまたまマイミクになって当時は一緒に活動しませんでしたが、最近はよくお願いしています。不思議な関係でセンスがだいぶ好きですね。 ━━映像に関して、釈迦坊主さんから「ここをこうしてほしい」っていう注文はしていますか? 何も注文していないですね。それだけでなく、イベントの出演者全員に「好きにしてください」ということを言ってます。「こういう風にして」「こういうのはやらないで」と言ったことはない。「好きに各々散らかしてくれ」というのがコンセプト。注文ゼロ。だから、VJもDJも含めた出演者には、イベントの空気を読まなくていいと話してます。各々が自分のセンスを個人的に爆発させているだけなので、みんなライブの雰囲気はバラバラ。まとまってなさ過ぎていて、逆にまとまっているように思える瞬間もある。それでいうと、今回の『Keep A L1ve』も、球根栽培さんとカメラマンのitaruさんにお願いしてますが、こうしてほしいということは何も伝えてないです。 ━━釈迦坊主さんは<TOKIO SHAMAN>では出演者を選んでタイムテーブルを決めるぐらい? ただそれだけです。オーガナイザーとして良くないんですが、面白いイベントを作ろうとか考えたことがなくて。基本的には自分たちでライブができる場所を作りたいだけなので、エンターテインメント性が低いかもしれない。始めた頃から、こういう風にしてお客さんを呼ぼうとか、今流行ってるゲストを呼んで集客しようという考えがゼロなんです。なので、自分もイベントを運営しているというより、自分がライブする場所を作っているだけで、そこに賛同してくれる奴らがいるだけ。

釈迦坊主
釈迦坊主
釈迦坊主

各々にとっての自分の居場所

━━ライブ終わった後にファンが集まってくるの見てるとやっぱりビックリしますね。 そうですね。こんなことになるとは思っていなかったので嬉しい。ありがたいです。デモ音源を渡すためだけに大阪から日帰りで来た奴もいましたね。でも、デモ音源を送ってくる人の中には「自分も<TOKIO SHAMAN>に出るのが夢なんです」という人もいますが、そうじゃねえんだよなあと。そもそも<TOKIO SHAMAN>の出演者は、自分から出たいと絶対言わないような奴ばかり。ブッキングは僕が無理矢理誘って、「うーん、出ますよ……」と言われる関係性で、僕が勝手に見つけたり友達の紹介で繋がった人ばかりです。 ━━では、自分のスキルを磨くしかないですね。 この前地方の遠征で、既存のヒップホップ・シーンの上下関係が面倒くさいから若い子たちが自分たちで作った、っていうイベントに出させてもらって。初めてのイベントだったけれど、若い子たちでパンパンで、すごく盛り上がってて、楽しかったんですよね。その子らが「俺らは<TOKIO SHAMAN>を見て、自分たちの居場所は自分たちで作ろうと思ったんですよ」と言ってくれて、めっちゃ嬉しかったんです。だから、既存のイベントに出たいと思うより、各々で自分たちの好きな場所を作ればいいと思いますね。 ━━お互いに居場所を作って交流して、自分の知らないコミュニティやシーンに参加できると面白い。 そうなんですよね。それが一番面白い状況だと。「<TOKIO SHAMAN>を見て、そういう風にやろうと思ったんです」っていう人から、ちらほら連絡来るんで本当に嬉しいですね。自分たちは言葉よりも体現していることで伝えたいので、そういうのが伝わってるなあと思って。若い子たちはそういうところを一番見てくれるのかなとも感じました。 ━━いろいろ言いすぎて説教臭くなるのも良くないですからね。アウェイのイベントに出る時の心構えはありますか? いや、ないですね。滑っても呼んだやつが悪い(笑)。いつも通りの釈迦坊主をやらせてもらっています。基本的に全部アウェイなので、俺はもう気にしないですね。

釈迦坊主

Photo by Masato Yokoyama

釈迦坊主

Photo by Masato Yokoyama

釈迦坊主

Photo by Masato Yokoyama

海外で堪能するトリップ感

━━明日からイギリスに行ってライブをする(インタビュー当日の3月17日は開催予定だった)という超アウェイが待ち構えてますが、なにか思いはありますか。どういったイベンントですか? 初イギリスで、今回10日間行ってきます。詳しくは聞いていないんですが、トラップとかが流れるアングラでコアなイベントです。以前Tohjiも出ていたイベントで、イギリスで活動しているバンドBo NingenのTaigen Kawabeさんの経由で出演することになりました。 自分のラップは、昔から何言ってるか聞き取れねえって言われていてそれでも成り立ってるんで、イギリス人がリリックが聞き取れなくてもいいと思っています。中学生の時に洋楽聴いた時に歌詞がわからないけどめちゃくちゃ泣いた経験があるんですけど、音楽は究極そういうことだと思ってるんです。歌詞がわからないけれど食らってくれるような音楽を体現したい。イギリスの空気感は全く見えないですけど、いつも通りやってお客さんの反応を見たい。 ━━去年はインドに行っていましたが、旅行が好きなんですか? 好きになりかけていますね。トリップが好きなんです。インドに行った時も毎日飛んでるような状態だったので。今回のイギリスの旅も、ただトリップしたいだけなのかもしれないですね。なので旅行が好きっていうよりは、トリップが好きです。

釈迦坊主

釈迦坊主らしさを固定しないスタンス

━━では、最後に今後の活動は? 今アルバムを作っていて、今までやったことないことばかりチャレンジしています。生音を入れてみたり、全然関係ないいろいろなアーティストとのクロスオーバーがあったり。ちょっとネクストだよ、みたいなアルバムです。 ファースト・アルバムの『HEISEI』は、本当に平成だったわって感じで、もはや過去ですね。非公開にしてもいいぐらい粗が見えてしまう(笑)。細かい部分の粗が気になってるだけなので芯の部分では気に入ってるんですけど。次のアルバムは粗が見えないようにして。 それと釈迦坊主っぽいものを作りたくないんですよね。自分が飽きちゃうしパッケージ化したくないっていう。多面的でありたいですね。 ━━多面的、いい言葉ですね。 SNSひとつとってもそうですけど、ひとつの側面だけで人を判断する世界は退屈で狭いです。面白くない。人間はもっと多面的なんで。「”Black Hole”みたいな曲作ってよ」とか、過去に作った曲を作って欲しいと言われるんですけど、そういうことを言われれば言われるほど絶対作りたくない! って思いますね。性格がひねくれているんで(笑)。求められると求められた事をやっちゃいけないなと考えてしまうんです。 自分はラッパーだけど、俯瞰的なんです。自分の主張が正しいと思いすぎないようにしてる。やはり一神教になっちゃうと、自分の考えに沿わない人間が全員悪になってしまうので。そういう考え方が活動にだいぶ影響を与えています。「誰の方がスゴい」「こいつの方がイケてる」とかがない世界に行きたいですね。こいつはこいつでいい。 ━━そういう事を言うラッパーはなかなかいないですよね(笑)。 もしかしたらラッパーじゃないかもしれないですね(笑)。めんどくさいからとりあえずラッパーにしておこう、なんでもいいやって感じです。 ━━最後にオマケで聞きたいのですが、Instagramのライブやゲーム実況などの配信をよく行っていますが、そこに対する思いはありますか? 配信は話をしたくなったタイミングで始めていますね。意図はないんですけど、子供の頃からゲームをしてる時も「みて!みて!」みたいな子で。学校のスピーチもみんなの前で喋るのが好きすぎる奴だったので、喋りたい欲求を満たすためにやっています。なので、配信中毒ですね(笑)。 あと、自分の中に自分が二人いるという感覚がいつもあるんです。高校中退して歌舞伎町でホストを3年やって、金と女とドラッグを覚えてしまって(笑)。その後、ネットラップという全然別ベクトルなアンダーグラウンドに参加しました。ネットラップは、ラッパーなのに引きこもりばかりというアングラな世界で、虐げられてきた闇の中で自分たちの葛藤を表現していて。歌舞伎町の闇とそのネットラップの闇ってベクトルが真逆ぐらい違うんですけど、同じ人間の共通するテーマはあると思っています。自分は、歌舞伎町でホストやってた頃は週7で歌舞伎町で遊んでたくらい家にいたくない奴だったんです。でも、ホストやめた後はその反動で引きこもりになりました。毎日家に籠って曲を作ってましたね。極端すぎるっていう(笑)。なんで、インスタライブをするのが好きな自分もいれば、そういうのが嫌いな自分もいるんです。友達と遊ぶのが大好きなラッパーの自分と、友達どころか人とすら関わりたくないトラックメイカーの俺がいつも喧嘩してます。 それもあって、ファンの中ではインスタライブをやめてアーティストっぽく立ち振る舞ってほしいと言う人もいたり、逆に配信してほしいというファンもいて、それがごちゃごちゃになっています。ファンとファンが言い争っているのを見てると、最低なんですけど楽しくなっちゃう時がある(笑)。でも、いつかひとつになれると信じているんで。今は言い争っているけれど、俺の音楽性もスキルも上がって大きくなっていったら、わだかまりもなくなっていつかはわかりあえると信じています。

釈迦坊主

Keep A L1ve - 釈迦坊主

Text:高岡謙太郎 Photo:Leo Youlagi Live Photo:Masato Yokoyama

INFORMATION

釈迦坊主

shaka bose 釈迦坊主

和歌山県御坊市出身。ラッパー、トラックメイカー、ミックスエンジニア、 またある時は映像作家としても活動する東京在住のマルチアーティスト。 TwitterInstagram

RELEASE INFORMATION

釈迦坊主

DRAGON

Now On Sale shaka bose 釈迦坊主 Label:Tokio Shaman Records All Tracks Produced by shaka bose. Mixed and mastered by shaka bose. Artwork by Ryu Nishiyama Format:配信 Track List 01. Dragon 02. Shinjuku 03. Poo 配信はこちら

釈迦坊主

NAGOMI

Now On Sale shaka bose 釈迦坊主 Label:Tokio Shaman Records All Tracks Produced by shaka bose. Mixed and mastered by shaka bose. Artwork by Ryu Nishiyama Format:配信 Track List 01. Hideout 02. Supernova 03. iPhone 9 ft.OKBOY,Dogwoods 04. Bill Gates ft.Anatomia 05. 999 ft.Iida Reo 06. Alpha 配信はこちら

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はなむけしゃしん – HINAKO「sakura」

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はなむけしゃしん

Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第2弾は、早稲田大学に通うHINAKOのはなむけしゃしんです。

HINAKO「sakura」

卒業した学校名:早稲田大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:学生からの卒業。これは22年間大きな愛情で育ててくれた両親の卒業でもあります。 ここまで大きく育ててくれてほんとうにありがとう。 18年前、幼稚園の入園式で写真を撮った目黒川でまた3人で写真を撮れて本当に嬉しかった。 また来年も一緒に桜を見ようね。 未来の世界へ:これからは、一人の大人として、両親と社会に恩返しができるよう頑張っていきます。 自分の本当にやりたいことは何か、自分にできることは何か、学生時代に抱いた感情を忘れずに生きていきたいです。

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INFORMATION

はなむけしゃしん

中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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はなむけしゃしん –菜瑠「卒業」

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Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第3弾は、青山学院大学に通う菜瑠のはなむけしゃしんです。

菜瑠「卒業」

卒業した学校名:青山学院大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:青山学院!素晴らしい日々をどうもありがとう! 未来の世界へ:未来の自分へ! 毎日が楽しければ、それでオーケー! 自分で自分を1番幸せにできますように!

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中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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はなむけしゃしん –竹漫&gk「竹漫は卒漫します2020🌸feat. gk」

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Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第4弾は、日本大学芸術学部に通う竹漫&gkのはなむけしゃしんです。

竹漫&gk「竹漫は卒漫します2020🌸feat. gk」

卒業した学校名:日本大学芸術学部 卒業にあたり伝えたいメッセージ:育ててくれた、支えてくれた江古田の街へ。 今までありがとう。もう大人になります。 またね 未来の世界へ:いま抱いてる希望を忘れないで! この先、どんな辛い事があっても腐るなよ!

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INFORMATION

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中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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はなむけしゃしん –ぶるじょあ会「渋谷は日本のTOKYO」

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はなむけしゃしん

Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第5弾は、青山学院大学に通うぶるじょあ会のはなむけしゃしんです。

ぶるじょあ会「渋谷は日本のTOKYO」

卒業した学校名:青山学院大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:結婚しても、ママになっても、おばあちゃんになっても渋谷でスト缶一緒にのも~ね 未来の世界へ:タイプも趣味も違うのに、何故か仲良しなのは運命なのかなあ(笑)! 出会ったのは1年生の頃なのに卒業時いちばん大切なのはみんなでした。この関係がずっとずっと続きますように。 ありがとネ

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取材協力:SHIBUYA SKY

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中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。

また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催

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MIZがアコースティックギターで織りなすベトナムの情景―玉置周啓と加藤成順のロードムービを辿る

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MONO NO AWAREの玉置周啓と加藤成順の2人によるアコースティックユニット、MIZの1stアルバムが完成した。その名は『Ninh Binh Brother’s Homestay』。ベトナムの田舎町にあるゲストハウスの名が冠されている。そこは彼らが本作を録音した特別な場所だ。2人は2本のアコースティックギターと2本の声をもってふくよかな想像力を駆り立てる装飾をまとわないミニマムな歌と、現地に息づく生活音を天衣無縫な様相でここに閉じ込めた。 2020年、春。得体のしれないウイルスによって街の喧騒がかき消され、ネット上には魑魅魍魎が跋扈する混沌の時代の中で、このアルバムはどのように受け止められるのだろう? 東京に史上初の緊急事態宣言が発令された夜、MIZの2人にオンラインインタビューを実施した。

INTERVIEW:MIZ

過去に見た風景と、そのとき聴いた音楽がリンクする

玉置周啓(以下、玉置) どうも、MIZといいます。よろしくお願いします。 加藤成順(以下、加藤) よろしくお願いします。 ──このご時世にあって、部屋にいる生活時間もナチュラルに彩ってくれるような音楽が鳴っていて。シンプルにすごく心地いい音楽作品だと思います。 玉置・加藤 ありがとうございます。 ──時系列を追って訊いていきたいんですけど、MONO NO AWAREとは別軸でMIZというユニットが立ち上がったのはどういう経緯なんですか? 加藤 最初は4年前の10月ですね。僕が八丈島の写真をモノクロで撮ってそれを渋谷のダイトカイという場所で展示する機会があったんですけど。八丈島に行ったことのある人はその人の中でモノクロ写真に色をつけたり、行ったことがない人も何か自分の思い出が喚起されるようなことがあればいいなと思ったんです。で、そこに音楽もつけたいと思ったんですよね。 玉置 俺も島で育ったからそのモノクロ写真を観て実際の色を思い浮かべられるんだけど、島に行ったことのない人は実際の色はわからないじゃないですか。島に行ったことがある人もない人もそれぞれで普遍的な捉え方ができるなと思って。 ──それはモノクロ写真の特性でもあるし。 玉置 あとは前にフランスへ旅行に行ったときにTGV(高速鉄道)の車窓からスイスの景色を見たことがあって。まさに「アルプスの少女ハイジ」みたいなその風景を、旅行に行った2年後くらいにキングス・オブ・コンビニエンス(Kings of Convenience)の曲を聴いたときに想起したんですよね。 ──ああ、キングス・オブ・コンビニエンスのムードはまさにMIZに通じるものがありますね。 玉置 そうそう。そうやって過去に見た風景と、そのとき聴いた音楽がリンクすることが起きたのって人生で初めての経験で。そのことを成順にMIZを始める前に伝えていたんですよね。「すごいことが起きた!」って。 加藤 そう。そのエピソードがめちゃくちゃおもしろいなと思って。そういう音楽を2人でやってみたいなって。 玉置 で、実際に曲を作り始めたのが4年前の11月ですね。 加藤 周啓の家に行ってアコギをちょろちょろ鳴らすことから始めました。最初にできた曲が“パジャマでハイウェイ”と“君に会った日は”ですね。

──最初に曲を作ったときの感触は? 加藤 とにかくユルかったです(笑)。僕がリード(ギターのフレーズ)をつけるのも初めてだったんですけど、本当に気がラクでしたね。 玉置 途中でバンドのほうが忙しくなったので、2人で集まってデモを作ることを徐々にしなくなって。なので、会ったときに「今日やるか」みたいな感じでどちらかの家に行ってiPhoneのボイスメモでデモを録った曲も多いですね。 ──今作にはベトナムでフィールドレコーディングした自然や生活の音も随所に入ってますけど、それもMIZの成り立ちと同一線上にある感覚なんでしょうね。 加藤 そうですね。僕が海外でレコーディングしたいと思ってたんですけど、エンジニアの奥田(泰次)さんがフィールドレコーディングのアイデアを出してくれて。そもそもレコーディングスタジオで録ってもMIZのアコースティックな感じが活かされるかというのは疑問に思ってたし、自然な環境でレコーディングすることを極端にやりたかったんですよね。ライブ自体も最初からライブハウスではやりたくないと思っていて。美容院から居酒屋までその空間ごと感じて、聴いてもらえるような場所でやってるんですけど。レコーディングもその延長線上でしたね。

「あ、これ気持ちいいな」という方向にただただ流れていく

──当然、(玉置)周啓くんも曲作りとレコーディングとライブの感覚はMONO NO AWAREとはまったくベクトルが違うでしょう。 玉置 違いますね。ライブハウスではない場所でやるライブもそうだし、MONO NO AWAREの制作中にやけにMIZの曲ができたりしたこともあって。MONO NO AWAREが去年リリースした『かけがえのないもの』というアルバムは自分的にもけっこう難産だった曲もあったので。行き詰まったらMIZの曲を作ったりしてましたね。そういう意味でも心の支えになってた部分もありました。 ──『かけがえのないもの』はMONO NO AWAREの音楽性の核心をいかに凝縮しながら拡張できるかというチャレンジをし、実際にそれを形象化した素晴らしいアルバムだったと思うけど、MIZの場合は自分から出てくるものをあくまで素直にキャッチするということなんだろうなって。蛇口をひねって水を出して、そのままコップに入れて飲むみたいな。 玉置 そうっすね。だってノリでベトナムに行ってレコーディングするくらいですから(笑)。MONO NO AWAREほど考えなくてもいいし、音の重なりも最小限だし、歌詞を書くときのマインドも違う。MIZは部屋の中で2人で生のギターと鳴らして、歌って、なんの加工もせず、「あ、これ気持ちいいな」という方向にただただ流れていくみたいな感じで作ってるから。浄化されながら作ってる感じがあります。

──歌詞の文量も全然違う。 玉置 極端に言えば、MIZのアルバム全曲で、MONO NO AWAREの1曲分くらいですよね(笑)。 ──あとはサビの概念とかにも縛られてないしね。人によってはAメロをサビに感じてもらってもいいくらいメロディがシームレスで。 加藤 そういう余裕がありますよね。 玉置 僕の生活自体がそもそもそんなにサビがあるものじゃないというか。 ──(笑)。 玉置 笑うところじゃないんですけど(笑)。むしろJ-POPが背負ってる宿命って、サビのある生活をしてない人にとって爆発的な瞬間を提供するようなものだと思うし、ライブハウスの音のデカさにテンションが上ったりすることもそういうことだと思うんですよね。人生ってグーッとアウトフォーカスしていったらめっちゃ平坦だと思うので。MIZの曲は自然とそういうふうになると思うんですよね。

──最初の話に戻るけど、今、部屋にいていろんな情報を見聞きして気持ちが疲弊したり、あるいは情報量の多い音楽を聴くのもしんどいという精神状態の人もいると思うんですよね。そういう人にもこのアルバムはたとえば食事したり家事をしながらでもスッと入ってくるような性格を持ってるかもしれないなと 玉置 だとしたらうれしいですね。ネットニュースで見たんですけど、この状況だからサブスク全体の再生回数が上がってると思いきや、新型コロナウイルスの影響を強く被ってる国ではヒットチャートに上がるような曲の再生回数はかなり下がってるという数字が出ているらしくて。代わりにクラシックやフォークの再生回数はコロナ以前より上がってるらしいんですけど。それを考えると今メッセージ性のある音楽自体も厳しいというか、それどころじゃない状態に陥ってる人も多いのかなと思いましたね。それを考えたらこのアルバムのレコーディングもギリギリだったんですよね。1月頭にベトナムでレコーディングしたので。その1 、2ヶ月後くらいには各国がロックダウンしたり、ベトナムにも3月下旬には入国できない状態になったので(一方で、ベトナムは本稿を書いている現在、新型コロナウィルス感染による死者数ゼロをキープしている)。今回アルバムタイトルにもなっているNinh Binh Brother’s Homestayというゲストハウスがあって。そこにいる人たちが今どんな暮らしをしているか気になるというか。個人的にはそういうことを考えるきっかけ──海外に友だちがいる人のほうが、今の海外の状況を気にかけたりするのかなって思ったし。

──具体的に知っている人の顔が浮かぶのは大きいよね。 玉置 たぶん1月にベトナムに行ってなかったら、この状況でベトナムがどうなってるんだろう?って考えなかっただろうし。このアルバムを作って気にかけたい人が増えたという事実があるなって思いましたね。 加藤 だから、それこそこのアルバムを聴いて地元を思い出したりしてくれたらうれしくて。実際にその道を散歩しなくても思い出せる風景を浮かべられる余白のある曲たちができたと思ってるので。小さなスピーカーで全然いいし、このアルバムを流しながら一息ついてもらえればいいかなって。

わかりやすく情景が理解できるような言葉よりは、音が気持ちよくて、意味もギリギリわかる言葉

──作曲クレジットはMIZ名義のものが多いんですけど、(加藤)成順くんが作曲でクレジットされてる曲も2曲あって。M4の“パレード”とM9の“舟”。両方とも独特のエトランゼ感というか、異国情緒のある曲だなと思いました。 加藤 “パレード”は最初に一人で作っていて、ハタチとか21歳くらいのときに最初のリフができたんですけど。アコギを持って八丈島に帰ったことがあって。夜一人で部屋の窓を開けて庭のほうに向かってギターを鳴らしながら〈ヤンヤンヤヤーン〉って歌いながらできた曲なんです。そのデモを周啓に送ったときに何も言ってないのに島言葉の歌詞を乗っけてきて。 ──この歌詞、すごいと思った。 加藤 僕もマジですごいと思ってビックリしました。僕が島でギターを弾いてるときの空気感を感覚的に察知したのかなって。一人寂しく〈ヤンヤンヤヤーン〉って歌っていたのは、山の奥のほうから誰も知らない祭りの音や声が聴こえてくるみたいなイメージだったので。それをまさに周啓が感じ取って〈祭りだら〉というワードを乗っけてきたから。それってなかなかない経験だし、本当にこういうことってあるんだなと思いました。

──周啓くんはこの曲を成順くんから受け取ったときのことを覚えてますか? 玉置 細かくは覚えてないんですけど、MIZとも関係なく成順はちょくちょく弾き語りで曲を録って、それをたまにSoundCloudに上げていたときもあって。この曲を聴いたときに「孤独なやつだな」って思ったというか。普段は社交的だし友だちも多いんだけど、本質的には孤独なやつだなと思って。でも、誰しも孤独な瞬間って絶対にあって。(加藤)成順はそれをギターのフレーズに乗せるのが上手いなと思ったんですよね。ギターを聴いてるだけで成順が一人でつまんなそうにギターを弾いてるのがすごく伝わってくるというか。その感じがいいなと思って。 ──うん。 玉置 僕は常々──これはMIZに限らずMONO NO AWAREでも表現したいと思ってますけど──人は孤独な生き物であるということをすごく感じていて。さっきのモノクロ写真の話もそうですけど、自分が見た景色や感覚、その色味とかも100%人に共感してもらうことって不可能じゃないですか。同じ現実に対しても人の数だけ受け止め方があって。MIZは音数も少ないし、リスナー側の主体性がかなり大きくある音楽なんじゃないかと思って。やり始めたときはそんなこと考えてなかったけど、徐々にそう思うようになったんですよね。それもあって成順のデモに歌詞をつけるってなったときに普通じゃちょっと理解できない言葉を使うのは面白そうだなと思って。 ──なるほど。 玉置 わかりやすく情景が理解できるような言葉よりは、音が気持ちよくて、意味もギリギリわかる言葉はないかなって考えたときに──僕の中での祭りの原体験は小さいころの島の盆踊りとかなので、そこがつながって島言葉がいいなってなったんです。響きがちょっとフランス語っぽいなと思っていたりもして。

──話を聞いていて思ったのは周啓くんの根底にあるのは、自分と他者の感覚を100%は共有できないけど、互いの想像力でその差異や距離を縮めたい、それが音楽、歌の面白味であり醍醐味であるということだと思うんですね。その視座はMONO NO AWAREにもMIZにも共通しているんだけど、アウトプットの仕方が違う。MONO NO AWAREは文学的な言葉の筆致とオルタナティブな音楽性で、MIZはそれこそモノクロ写真的なミニマムなサウンドスケープとどこまでもシンプルな歌で伝えようとしているなって。 玉置 MIZの場合は歌詞も考え込んで伝えたいことを伝えきるために躍起になるというよりは、ちょっと脳内に浮かんだ映像を写真的に切り取って平面で見せられたらいいなという感覚で書いてるから。 ──成順くん、さっき周啓くんが「孤独な人だなと思った」と言ってましたが、それを受けてどうですか? 加藤 みんなそうっすよね。酒を飲んでベロベロになって夜に一人で音楽を聴くときは暗い曲ばかりだし(笑)、インストも多いし。 ──今の東京に対す(し)る違和感みたいなものが“空砲”という曲に顕著に表れていると思うんですけど、この曲は成順くんも歌っていて。周啓くんが成順くんにこの曲の言葉を預けてる感じもすごくいいなって。 加藤 ありがとうございます。 玉置 あの曲はMONO NO AWAREでも一時期ちょっとアコギで曲を作っていて、そのときにできた曲で。4年くらい前の曲なんです。だから今よりももっと自分の中で東京と八丈島との対比が明瞭にあった時期で。あえて言うなら、“空砲”は他の曲に比べて際立って文学的だと思います。 ──《構えた銃には的が無かったの(と)さ》というフレーズは今このときもリアルに響くなと。 玉置 このフレーズは4年経っても色あせないと自分でも思っていて。もはや都会の対比を超えて普遍的に感じるじゃないかという。それこそ、今の世の中の状況的に《構えた銃には的が無かったの(と)さ》という無力感をいろんな場所でいろんな人が感じてるのかなとも思うし。成順が歌うのも成順が提案してくれたんですよね。

レコーディングも「この時間帯になったら録ろうか」って生活の一部という感じ

──資料には周啓くんがかつてベトナムに旅をしたときに、一昔前の日本にあった情景をシンクロしたというようなことが書かれてあって。あらためて、そのことについても聞かせてください。 玉置 5年前、21歳のときに東南アジアを旅したことがあって。そのときはベトナムではハノイとホーチミンとホイアンに行ったんですね。今回、どこでレコーディングするかってなったときにベトナムに日本の昔の姿を感じたので提案したんです。たとえば漫画や映画で観たような、戦前から50年代とか60年代くらいまでの日本のイメージ。トタン屋根で造られた家と、簡易的なコンクリートで造られた街が広がってるみたいな。完成しきったとは言えないくらいの街の空気感。そして、湿度が高くて都会なんだけど街路樹が鬱蒼と生えてる感じ。ハノイに行ったときにそれを感じて。 ──意図的な整備がされすぎていない感じ。 玉置 そうですね。ヘタなことは言えないですけど、僕の感覚ではおそらくハノイの街は日本の東京のような大都市ほど成熟しないまま機能する社会になったんじゃないかなと思って。日本は建物が古くなったらバンバン取り壊して立て直すけど、ハノイはお店一つとっても外装はそのままで内装を上手く改装したりしていて。1曲目に吹いてる笛もハノイで買ったんですけど。日本の楽器屋よりも雑多に楽器が置かれていて、どの店も直接的で開放的なんですよね。5年前にもそこに感動して。情景としてわかりやすいメッセージがある。あとは、僕は小さいころ島にあるひいばあちゃんの家によく遊びに行っていたんですけど、そこは森の中に建てられた木造建築の家で、苔が生えてる井戸があったりしたんですね。明治時代初期に建てられたらしいんですけど。そこで遊んでいた記憶が強く残っていて。ベトナムに行ったときに泊まったホテルの近くの家を見ると、そのひいばあちゃんの家にそっくりで。 加藤 で、今回もハノイでレコーディングするつもりだったんですけど、ハノイに着いて予約していたホテルに行こうとしたら、ホテルのホストの人が逮捕されて泊まれないってなって(笑)。 ──マジか(笑)。 玉置 事件だったよね(笑)。 加藤 宿を見つけないとヤバいってなって。でも、そもそもハノイは交通量もめちゃくちゃ多いからとてもフィールドレコーディングできる環境じゃなかったんですよね。それで「もう、田舎のほうに行こう!」ってなって。たまたま「こっちのほうに自然がありそうじゃない?」ってポイントを出したところがニンビンだったんですよね。 ──ロードムービーみたいな展開だね。 加藤 まさに(笑)。アルバムのジャットにもなっているNinh Binh Brother’s Homestayというゲストハウスをネットで見つけて、ベトナムに着いた次の日にバスで23時間くらいかけて移動しました。だから、本当に偶然にたどり着いた場所なんですよね。ベトナムには1週間滞在したんですけど、基本的に一発録りだし、曲もできていたんでけっこうゆっくりとレコーディングできました。ゲストハウスの窓を開けたら田んぼがあって、山羊とか牛がいて。めちゃくちゃリラックスできたし、レコーディングも「この時間帯になったら録ろうか」って生活の一部という感じでしたね。

玉置 ちなみに最後の曲“バイクを飛ばして”だけベトナムで作ったんです。 ──この曲でアルバムを閉じることで、次の街に向かう、それこそロードムービーの続きのような画が浮かぶなと思った。 玉置 僕の中でのベトナムは、ニンビンの牧歌的な風景だけじゃなく、湿っぽくて煙たい、湿度を帯びた街──僕の中にあるひいばあちゃんの家みたいなイメージもあったので。だから、ハノイのイメージも曲にしたいと思って。それでこの曲だけは都会の音をフィールドレコーディングして入れたいと奥田さんにお願いしたんです。

──2年後か3年後かわからないけど、MIZが次の街に移動してレコーディングするというライフワークが続くのはロマンがありますよね。 加藤 それはもう、やりたいっすね。 玉置 やりたいね。 加藤 今はコロナでこういう状況ですけど、東京でも空間としていい場所があることも提示していきたいし。そういう場所を求めてる人も多いと思うんですよね。 玉置 僕はプールサイドに監視台を2つ置いてその上でライブしたいですね。 ──プールならではのリバーブがかかって面白そう(笑)。 玉置 そうそう(笑)。それ、マジでやりたくて。せっかくアコギ2本でフレキシブルな形態でやってるので。それを生かして今までなかった音楽の聴き方を模索するのはありだなと思います。

Interview by 三宅正一 Photo byエリザベス宮地

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MIZ 2016年11月結成。MONO NO AWAREの八丈島出身、玉置周啓(Vo.)と加藤成順(Gt.)によるアコースティックユニット。聞き手のある場所の思い出、匂い、音にリンクするような楽曲をコンセプトに制作している。ある音楽を聴いて、風の吹く草原を思い浮かべる人もいれば、かつて住んでいたアパートを思い出す人もいる。それは、耳にした場所が旅先なのか、平日の最終バスなのかというのも関係しているかもしれない。だから、MIZは、さまざまな土地を訪れて写真を撮ってもらったり、もっと誰かの生活に寄り添うような空間で演奏をしてみたりする。そうすれば、僕らの音楽を聴いて思い浮かぶ映像が、めくるめく変わっていくと思うのです。

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RELEASE INFORMATION

Ninh Binh Brother’s Homestay

2020.04.22(水) MIZ Track list 01. Afternoon in Ninh Binh 02. 春 03. 君に会った日は 04. パレード 05. 空砲 06. 夏がきたら 07. 夏のおわり 08. パジャマでハイウェイ 09. 舟 10. バイクを飛ばして

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来日公演を見据えるスクエアプッシャーが語る新作『Be Up A Hello』での原点回帰と新たな見地

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スクエアプッシャー

前作『Damogen Furies』からおよそ5年ぶり、鬼才トム・ジェンキンソン(Tom Jenkinson)によるソロ・プロジェクト、スクエアプッシャー(SQUAREPUSHER)による通算15枚目のアルバム『Be Up A Hello』がリリースされた。その間トムは、ショバリーダー・ワン(Shobaleader One)のアルバム『Elektrac』とのツアーをはじめ、BBCの番組『Daydreams』のサントラ制作や、オルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニー(James McVinnie)のアルバム『All Night Chroma』への楽曲提供など精力的な活動を行なっている。 それを経ての本作は、トムの学生時代からの親友が急死したことがきっかけとなり、制作がスタートしたという。彼と90年代に使っていたような古いシンセサイザーやミキサー、エフェクト・ユニットなどを駆使して、直感に従いながらほぼ1週間で仕上げたという本作には、初期スクエアプッシャーのサウンドの質感を持ちながらも、プログレッシヴかつアヴァンギャルドな楽曲が並んでいる。 このインタビューは、本来ならば4月に予定されていたスクエアプッシャーの来日公演に合わせて行われたもの。新型コロナウイルス感染症の影響により、残念ながら公演は延期となってしまったが、話の中でライブに向けての意気込みや、前回の<SONICMANIA>(ショバリーダー・ワン)で起きた驚きのエピソードなど、日本にまつわる話をたくさんしてくれたので、それをそのままお届けしたい。近いうちにまた、彼の素晴らしいステージを目にする日を願って。

INTERVIEW:SQUAREPUSHER

スクエアプッシャー

『Be Up A Hello』を制作する動機となった親友との別れ

──今作『Be Up A Hello』は、学生時代からのあなたの友人が亡くなったことが動機となって生まれたと聞きました。 彼の名前はクリスというのだけど、90年代の初期は本当によく遊んでたんだ。ただ仲良しだっただけじゃなくて、一緒に音楽を聴いたり、ライブやイベントに足を運んだり。そのうち一緒に音楽を作るようになってね。ちょうどエレクトロニック・ミュージックを制作するための機材が手に入りやすくなった頃だったから、2人で色んなハードウェアを手に入れては「これ、どうやって使ったらいいんだ?」って格闘していた。彼は機材のテクニカルな側面にとても興味を抱いていたし、色んなアイディアを話し合って長い時間を過ごしたから、僕自身の音楽活動の初期段階……1992年か1993年頃にはとても大きな役割を果たしたと思う。 それから月日が経つにつれ、一緒に何かに取り組む機会は減っていき、各々で作品作りをするようになった。彼は僕の一つ年上だから、亡くなった時はまだ44歳。それって、あまりにも若過ぎるだろう? だからこそ今回のアルバムはある意味、彼自身を「祝福」するものにしたいと思ったんだ。なおかつ、僕との一緒の時間をも祝福するようなね。レコーディングで使用する機材も、彼と90年代に使っていたような古いものにしたんだよ。 ──ハードシンセやハードミキサー、フィジカルなエフェクト・ユニットなどを用いた、と。 うん。スクエアプッシャー名義でリリースした前作『Damogen Furies』では、ほぼ全てというくらいソフトシンセを使っていたのだけど、今回はそれとは正反対というか。まあ、多少はデジタルを混ぜてはいるけど、アナログ機材がメインなんだ。 ──『Damogen Furies』の反動、という側面もありますか? ある意味ではそうだね。あと、つい最近パイプ・オルガン用の作品『All Night Chroma』(トム・ジェンキンソンが作曲し、オルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーが演奏したアルバム)を作ったのも大きい。フィジカルな機材を用いた作品作りに関心が向いていたんだよ。

Stor Eiglass

James McVinnie and Tom Jenkinson – Voix Célestes

──楽曲そのものも、友人のクリスに捧げるような内容にしたかった? そもそもの段階では、彼への謝意を込めたトリビュート作品にしたかった。なので、彼とよく聴いていたダンス・ミュージック……つまり実験的でエッジの効いたスクエアプッシャー的な音楽ではなくて、もっとフロア寄りの楽曲を“楽しみながら“作っていた。最初から「レコードを1枚作ろう」という気持ちではなくて。とにかく作業に没頭している感じで始まった。 でも、続けていくうちにそれらの音源がどんどん「他の何か」に発展していってね。そうなってくると、俄然スクエアプッシャー・モードになって(笑)、どんどん肉付けしていった。しかも、そこに行き着くまでのスピードはかなり早くてさ、「じっくりと腰を据え、深く考え込みながら曲を作る」というよりは、とにかくこう(コン・コン・コン、とテンポよく指でテーブルを叩きながら)直観に従って作業を進めた感じ。「うーん、これはやるべきなのかな、どうかな?」なんてグダグダ悩まず、「これで決まり。はい、次!」という感じで敏速に決断を下しながら作っていったんだ。 ──じゃあ、作り始めてからはトントン拍子に作業は進んでいったのですか? 曲を書いて仕上げるまでに1週間もかからなかったんじゃないかな。ほら、アナログ機材を使っているから、一度設定したパラメーターを後から完璧に再現するのって不可能じゃない? 一旦その曲に取り組み始めたら最後までそれをやり抜き、その日のうちにレコーディングして次の作業に取り掛かるしかないんだよ。ある意味、日記に近いのかもしれない。 ──まさにその瞬間のジャーナル(日誌)であり、レコーディング(記録)ということですよね。ちなみにタイトル『Be Up A Hello』の由来というか、ニュアンスはどんなものなのでしょうか。 うーん、これって説明するのもなんだか妙な感じなんだよね、仲間内で使っていたフレーズというか。まあ、別に“他の人には通じない、自分たちだけの合言葉“とも違うんだけどさ。まあ、こうやって(と、こぶしを突き上げて振りながら)、“楽しもうぜ~!“みたいなニュアンスかな(笑)。 ──なるほど、ありがとうございます。制作中はどんな音楽を聴いていましたか? 90年代初期に自分で買った、古い12インチを集めたコンピレーション・シリーズを息抜きによく聴いていたね。

制作の礎となった名機「VIC-20」

──アルバムのアートワークはどのようにして決まりましたか? あれはコモドールジャパンが80年代に開発したホーム・コンピューター、VIC-20で描いたイラストだ。僕は子供の頃にこれを1台持っていてね。初めて使うコンピューターで、ちょっとしたプログラムを組んでゲームを作ったり、ドラムマシーンを作ったりしてたんだよ。なので、僕の最初期の音源には、VIC-20で組んだドラムマシーンの上にベースギターを乗せたものも結構ある。11歳の頃だったかな、今でも家にあるし、なかなかのクオリティだよ? ──いつか聴いてみたいです(笑)。 (笑)。で、今から2、3年前に「あのVIC-20を音源にしたら面白そうだぞ」と思いついたんだ。VIC-20には、独特の音色が色々入っているからね。それで、VIC-20をMIDIで制御できるようにシステムを組み立てることにした。そして、実際にVIC-20は今作『Be Up A Hello』に収録された、いくつかの楽曲の中に登場する。かなりの数のトラックにフィーチャーされているから、アルバムにおける主要ボイスと言ってもいいくらい。だったら、VIC-20をシンセとしてだけでなく、グラフィックを制作できるように、ソフトウェアに取り込んだんだ。 そうやって制作したアートワークが今回のアルバムと、次にリリースされたシングル「Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)」のアートワークの土台になった。さらにVIC-20のプログラムをベースにしたものが、ライブ・ショウで使用するイメージの一部にもなっているよ。 ──今回のプロジェクトではVIC-20が大活躍しているのですね。 そう。しかも、従来の使い方とは全く違う方法でVIC-20をフィーチャーすることが出来た。少なくとも自分はまだ見たことのないイメージを自分は作れたと自負しているんだ。すでに使い古された機材で、どれだけ新しいことができるか? というチャレンジに今はものすごくハマっているんだろうね。 “Terminal Slam”のミュージック・ビデオでも、VIC-20で作ったイメージのいくつかを用いている。電車の中のシーンとか、よく目を凝らしてみて欲しいな(笑)。

Squarepusher - Terminal Slam(Official Video)

──あのMVは、あなたの名前や写真が東京のあちこちに散りばめられていて楽しいですよね。今回、スクエアプッシャーとしては5年ぶりの来日が予定されていますが(このインタビューは3月19日に行われたもの)、日本公演で印象に残っているエピソードはありますか? 真っ先に思い出すのはショバリーダー・ワンで前回来日したとき……2017年の8月に開催された<SONICMANIA>だね。それにバンドで出演したのだけど、日本に到着した時に僕の機材が一つも見当たらなかったんだ。 ──えええ!?(笑) 笑えるよね(笑)。いや、今でこそ笑い話にできるけど、あのときはとんでもなくストレスを抱える瞬間だったよ。というのも、あの時のショウはショバリーダー・ワンにとって1万人という最大の規模で、かつ重要なものだった。にも関わらず、到着したその日は機材の多くが行方不明のままで、「明日、到着します」と航空会社から確約はもらえたものの、機材なしでサウンドチェックをやらざるを得なかったわけ。しかも、明くる日になっても機材は到着しなかった。航空会社は二度のミスを犯したっていうね……。もう、僕のストレスは頂点に達したわけだよ。 ──ですよね……。 僕の機材周りはさ、「アンプにギターを繋いで音を鳴らす」といった具合にはいかないというか。とても高度で入り組んだセットアップだし、機材にはハンドメイドも含まれているから現地調達もできないわけで。そんな中、どうにかしてあのセットアップを日本で再構築しなければならない。ショップやレンタル会社から機材を借りつつ、ケーブル等々の備品も新たに購入するしかないぞ、となって。 で、一旦そうと決まったら、フェスの関係者からレコード・レーベルのスタッフまで、誰もが協力し合ってそれこそ東京じゅうを駈けずり回り、僕のセットアップを作り直すのに必要な機材すべてを探し出そうとしてくれたんだよ。 ──え、そんなことがあったんですか! しかも最終的に、僕ら無事にライブをやりおおせてね。全く驚異的な話だよ。「不可能、絶対に無理」なシチュエーションから、「なんとかやれる」の状況にまで持っていったんだから。実際、自分の本来の機材があったらやれたであろうことの、95%をこなせるセットアップを実際に組むことができたわけだからね。あんな離れ業ができるの、世界中どこ探しても日本以外にはない。あのとき関わってくれた人たち全員に、すごく、すごく賞賛の念を抱いているよ。

スクエアプッシャー
スクエアプッシャー
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Photo by Masanori Naruse

新たに芽生えたスクエアプッシャー像

──あのライブではヴィジュアル・セットをライゾマティクス・チームが担当していました。 ダイト(真鍋大度)とは、本当にいい関係性を築けている。2013年のスクエアプッシャー x Z-MACHINESのプロジェクトで、“Sad Robot Goes Funny”のための素晴らしいビデオを作ってくれたのが最初で、今作でも“Terminal Slam”のミュージック・ビデオをダイトが監督してくれている。これからも色々とコラボレーションできたらいいな。 ──そういえば、2010年代のスクエアプッシャーは様々なコラボレーションに挑戦していましたよね。 確かに。この10年間でコラボの量がグッと増えた。ダイトとのコラボもそうだしオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーとの共演もそう。バンド(ショバリーダー・ワン)を組んだのだってそうだ。 ただ、意識的にそうしていたわけではなくて、こればっかりは相応しい相手とのタイミングが訪れるか否か、とにかくそこが重要だね。要するに「コラボをやるため」だけに、それが目的で誰かとコラボレーションをするつもりはない。ほとんどの場合、いいタイミングに恵まれ、かつ運がよければ実現するという話であって。もちろん、上手くいかないことだって往々にしてあるし、こればっかりは成り行きを見守るしかないんだ。 ──さて、今回の来日公演は、新たなライブセットで行われるとのことですが、その内容を話せる範囲で教えてくれますか? さっきも話したように、自作のVIC-20ソフトウェアで作ったイメージをベースにしたビデオの要素は使うね。同時に、もうちょっと一般的なソースも一部では使う予定だ。僕が持っていく機材に関しては、まさに今どうしようか見極めているところ。『Be Up A Hello』のサウンドスケープを再現するにはどうしたらいいか? ということだけど、あれを完璧に再現することは不可能だ。僕のスタジオから生まれた「生き物」のようなアルバムだし、もしそのままやるならスタジオごと日本に運ばなきゃならなくなるからね。とはいえ、アルバムで用いたセットアップの一部の要素、もっとモダンで安定性のある機材は持って行くし、それらを使って、今回のアルバムの一部やそれ以外のピースをリクリエイトするつもりだよ。 それと、今回のショウにはたっぷり幅を持たせるつもりでいる。つまり、毎晩インプロで変化させていくような余裕のあるものにしたいんだ。サウンドチェックや本番で新たなアイデアを取り入れ、それを次のステージでまた試すという具合にね。過去2回くらいのツアーに較べても、結末がカチッと決まっていない自由な内容になっているはず。『Damogen Furies』と『Ufabulum』のツアーはアルバム音源をベースにしていたからね。もちろん、あれはあれで満足していたけど、今回はもっとオープンなもの、かつより即興に依ったものにしたい。 ──ところで、来日の時に楽しみにしていることはありますか? 最近、ランニングにハマっていてね。どこか行ったことのない街をうろうろと探索するのにランニングはうってつけなんだ。地図を確認してもいいし、地図を見なくてもいい。とにかくホテルの部屋から出て、あれこれ移動してみる。走ると、かなりのエリアを短時間で動き回れるからね。去年の11月に日本にDJをやりに行った時は、京都で鴨川沿いを走ってね。1時間くらい、川沿いの土手を行ったり来たりしたのは楽しかった。川縁で何か楽器を演奏している人がいたり、スポーツをやっている人々を見かけたり。夕方の早い時間のあの雰囲気はとても素敵だったな。川には橋がかかっていたり、ちょっとした滝になっていたり、とても絵画的で美しかったよ。 ──健康にも良さそうだし一石二鳥ですね。 そうなんだよ、車移動ばかりじゃ不健康だしね。東京は代々木公園とかも良さそう。また日本で「いい走り」をやれたらいいな!

スクエアプッシャー
スクエアプッシャー
スクエアプッシャー

Photo by Masanori Naruse

Text:Takanori Kuroda

INFORMATION

スクエアプッシャー

SQUAREPUSHER JAPAN TOUR

大阪公演 2021年2月16日(火) 梅田 CLUB QUATTRO チケット販売:2020年6月20日(土)よりイープラス、チケットぴあ(Pコード:183-835)*English available、ローソンチケット(Lコード:55574)、BEATINK 他にて INFO:SMASH WEST 06-6536-5569 名古屋公演 2021年2月17日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO チケット販売:2020年6月20日(土)よりイープラス、チケットぴあ(Pコード:184-240)、ローソンチケット(Lコード:42831)、LINE TICKET、クアトロ店頭、BEATINK 他にて INFO:名古屋クラブクアトロ 052-264-8211 東京公演 2021年2月18日(木) 新木場 STUDIO COAST チケット販売:2020年6月20日(土)よりイープラス、チケットぴあ、ローソンチケット、BEATINK、岩盤 他にて 主催:シブヤテレビジョン INFO:BEATINK 03 5768 1277 OPEN 18:00/START 19:00 前売 ¥7,000(別途1ドリンク代) *未就学児童入場不可 詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

スクエアプッシャー

Lamental EP

2020.03.20(金) Warp Records/Beat Records Squarepusher 国内盤CD ¥900(+tax) BRE-59

詳細はこちら
スクエアプッシャー

Be Up A Hello

2020.01.31(金) Warp Records/Beat Records Squarepusher 国内盤CD ¥2,200(+tax) BRC-624 国内盤CD+Tシャツ ¥5,500(+tax) BRC-624T 国内盤特典: ボーナストラック追加収録/解説書封入/NTS MIX音源DLカード封入 *Tシャツセットには限定ボーナストラックDLカードも封入 詳細はこちら

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フッドめし – HoodFood #08 Kick a Show × FNCY

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし - HoodFood』。 今夜はシーズン1の最終話、#08が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

Kick a Showからバトンを受け取ったFNCYの3人が待ち受ける『フッドめし - HoodFood』最終回。 学芸大学駅前の鳥料理・水炊き専門店「しもつけ」が今回の舞台となる。 「いよ、いよ、いよぉぉぉ〜!」というZEN-LA語全開で謎の乾杯を景気よく済ませると、名物のお通し「黄身が2つの双子煮玉子」が登場。水炊きパーティーのスタートだ。 さすがベテランの3人だけあって、食べ方がどことなく上品である。 百戦錬磨の地方営業の功績が、箸はこびや食事レコメンドスキルに如実に表れている。 先輩方のいちいち癖のある会話を持ち前の処世術でかわいく受け止めるKick a Showにも注目だ。

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #08 Kick a Show × FNCY

フッドめし - HoodFood #07 TOKYO HEALTH CLUB × Kick a Show

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INFORMATION

Kick a Show

フッドめし 渋谷・中目黒・恵比寿を拠点とするシンガー。 相棒とも言うべきプロデューサー、Sam is Ohmとのタッグは抜群のケミストリーを生み出しており、最先端ながらもどこか懐かしさが香るメロディとトラック、USのR&B作品などにインスパイアされたというセンシュアルかつユーモア溢れるリリックが特徴的で、ストリートからインターネット上まで、コアなミュージック・ラヴァーズを唸らせてきた。 これまでに数々の客演参加も経てきており、2017年にはG.RINA、ZEN-LA-ROCKらのアルバムへ連続して参加。そして、同年、MONDO GROSSOが14年ぶりに発表して話題になったアルバム『何度でも新しく生まれる』にも参加し、MONDO GROSSOとともにFUJI ROCK FESTIVAL ‘17にも出演して話題になった。 2018年のバレンタイン・デーには記念すべきデビュー・アルバム『The Twelve Love』をリリース。多方面で高評価を得、同年に渋谷WWWにて初のワンマン・ライブも開催。そして、TOKYO HEALTH CLUBやJABBA DA FOOTBALL CLUB、eillといった気鋭のアーティストらともコラボを果たした。 CP Companyやadidasの広告イメージにも起用されたほか、MIHARA YASUHIROやヨウジヤマモト社のクリエイティヴ・チームがデザインするTHE SHOP YOHJI YAMAMOTOの限定ブランドであるS’YTEのモデルにも起用され、各方面でその才能を開花させている。 キャッチコピーは「お酒のお供にお耳の恋人」。 Kick a Show TwitterKick a Show Instagram

FNCY

フッドめし 2018年夏、突如センセーショナルに発足したZEN-LA-ROCK/G.RINA/鎮座DOPENESSからなる新ユニット「FNCY」(ヨミ:ファンシー)。​ 楽曲のみならず、90年代へのオマージュが散りばめられたファッション・MV・オフィシャルグッズなど、その懐かしくも最先端な世界観すべてが話題を呼んでいる。​ 2019年リリースの1stAL『FNCY』に続き、2020年初となる作品『TOKYO LUV EP』を5月1日にリリース FNCY TwitterFNCY Instagram

SHOP INFORMATION

しもつけ

火~土 18:00~24:00 日 18:00~23:00 定休日:月 東京都目黒区鷹番3-9-6 小倉ビル 03-3793-5535

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし - HoodFood LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN/START 18:00 ADV ¥2,000 / DOOR ¥2,500(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング) ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced ※この公演は中止となりました。

フッドめし #01#02#03#04#05#06#07

フッドめし

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昆虫食から環境問題まで。“ビースト”と呼ばれた男の探究心──ボブ・サップ、インタビュー

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ボブ・サップ

かつて「ビースト」と呼ばれ、格闘家として活躍。さらにバラエティー番組やテレビCMなどにも出演し、大きなアイコンとなったボブ・サップ。彼は今も度々日本に訪れており、CMなどに登場している。 最近の活躍としては、+WEEDのウェブCMに出演。これまでにないリラックスした表情を魅せている。

+WEED|吸うCBD「ジム篇」:ボブ・サップ【公式】

また、昨年4月にはEBISU BATICAというライブハウス/クラブにボブ・サップが来店。その目撃情報がSNSを賑やすことになる。そして目撃情報から辿って行くと、どうやら現在、ボブ・サップは昆虫食に没入しているとの噂を聞きつけた。 話を伺いに行くと、昆虫食の話はもちろんのこと、TVでは知ることができなかった一面が明らかに。本記事では、教授のように語り、子供のように笑う姿が印象的だった彼のインタビューをお届けする。

INTERVIEW:ボブ・サップ

ボブ・サップ

──どのくらいの頻度で日本に来ているんですが? 2ヶ月に一度くらい来日していて、毎回一週間くらい滞在しているよ。今回は+WEEDのCMを撮ったんだ。 ──日本ではどのように過ごしていますか? 食でいうと、「すしざむらい」はよく行くよ。週に何回も行くいくこともある(笑)。イカや海老、ツナ、ユッケ、トロ、すべて素晴らしい。あとは焼肉や馬肉かな......。馬肉のあるお店は見つけるのが少し難しいんだ。あとは友人と外に出たりしてるね。六本木や銀座に行ったり、クラブで遊んだりしてる。でも、日本ではあまりできることが多くないんだ。 音楽はヒップホップやダンスミュージックが好きだよ。リラックスして音楽を楽しめるクラブに行くことが多いかな。クラブはどんなダンスが流行っているのかとか、知らなかった音楽を知る機会にもなる。クラブのセッティングも観察してるよ。 ──EBISU BATICAという小さなクラブにいたことがSNSで話題になりましたよね。 友人が誘ってくれたんだ。ステージではDr.Takasu(高須克弥|高須クリニック院長)にシャウトを送ったりしたよ。楽しかった。

高須クリニック スッピンCM ボブサップ篇#1

──アメリカではどのような生活を送っているんですか? アメリカの生活について話すと、家にはテレビもない。外出して遊ぶこともない。毎日勉強している。だから日本に来たら少し羽を伸ばして、新しい情報に触れる。情報に触れるのは、僕にとってある意味「仕事」に近いことが多い。例えばTVでスポーツを観るのは仕事に感じてしまうからやめた。映画を観るにしても、どこか「仕事」に感じてしまうんだ。自分が関わっていたことから離れないと、それは「仕事」だと捉えてしまう。それだと情報過多で疲れてしまうよね。一方で、アドベンチャー系のビデオゲームをやることは仕事だとは思わない。それに家で勉強するもよし、動物と戯れることもよし、昆虫の料理を習うのもそれの一つだ。 ──なぜ昆虫食に注目することになったのでしょうか? アジア圏内には長いこと住んでいるし、昆虫を食べる文化も知っていた。でもそれがビジネスになるということは知らなかったんだ。例えばタイでは昆虫を食べることは有名な文化の一つで、かなり盛んなことだよ。まだ制作途中なんだけど、宣伝映像も作っているんだ。僕の友達のMikeがラップしていたり......。いつか昆虫食の料理番組をやって、世界中に広めるビジネスをやりたいな。 ──最初に昆虫食を試した時はどのような感想でしたか? 例えば甲殻類にアレルギーがある人は、控えた方が良いかもしれなかったり、その辺はクリアにしなければなと考えてるよ。僕はアレルギーはなかった。 あと、とにかく美味しくなかったら、いくら栄養があれど意味がないよね(笑)。だから楽しめて、美味しい昆虫食を考えていきたい。そこから新しい食体験につながり、新たな文化や価値観が開けると信じているよ。 ──また、環境問題にも積極的に取り組んでいらっしゃるとお伺いいたしました。現在、アフリカで活動されていると。 アフリカで井戸や水資源の無い市域でその環境を整えることがの重要性は分かるよね。それで浄水器などを現地に調達して、学校や必要な施設で整備している。実際、日本も含め世界中でこのような活動を行ってきたけど、アフリカはまだ行ったことがなかったんだ。それでアフリカに向かったら、子供達が快く受け入れてくれた。もちろん素晴らしい経験だったし、それでアフリカに足を運ぶことに決めたんだ。次はルワンダに行く予定だよ。 でもアフリカではかなり大変なこともあった。友人が誘拐されたり、まるで映画のようなことが起こったんだ。他国にいるときも、常にスマートでなければならないことを学んだ。

ボブ・サップ

──なぜ環境問題に興味を持ったのでしょうか? 新しい世代のために常に問うていくことで、自分に何ができるか、そして何をすべきなのか考えているんだ。僕は大きなアイコンであることも理解しているから、それを生かして何かをしたい。 あと、僕は今の世代の人じゃないんだ。例えばラップを聴くとしても、ドラッグの売人が大きなテーマだったのに、今は売ることじゃなくてハイになることがトピックになってる。そういうラップはあまり聴いたことがなかったんだ。奇妙なことだとも思う。でもそれは革命的な出来事であり、(ラップが)その時代に適応していく様は新鮮で驚きがある。僕もそれと同じことをしていかなければいけない。 ──他に予定のあるプロジェクトなどはありますか? 衣食住の中では、「住」の部分で、リサイクルなどゴミをいかに処理するかを解決するかを考えていきたいな。あとは昆虫食をエンターテイメントにすること。 ──様々なキャリアで深めてきた知識を活用しながら新しいプロジェクトに挑んでいくボブさんが、これまで得た知見について教えてください。 自分自身で制限しないことかな。どんなルールがあり、何を信じているか、自分を縛っていることを再考すると、自分自身をどれだけ制限しているのかが分かるはずさ。 他人から「彼はあの試合に負けた」と言われるかもしれない。でもカレッジフットボールからNFL、さらにハリウッドの映画に出て、世界中を旅している。誰もできない経験をしていると思う。試合に負けても死んでいなければ“勝ち”でもあるんだ。 ──情報過多の世界で、何が正しいのか分からないことが多くなっています。お話を聞いていて、あなたは常に自分のことを信じて行動に移しており、その自信が伝わってきました。 その根拠や責任は常に自分にある。自分がボスで、自分が何をするのかを決める。睡眠時間から学習時間を管理する。僕は毎日を週末のように過ごすこともできるし、24時間働き続けることもできる。つまり自分の活動にもあらゆる制限を外すことだ。「80歳になったら億万長者になれる」なんて話よりも、僕はもっと冒険して生きていきたい。

ボブ・サップ

Photo by Yohji Uchida Interview by BULLSEYE

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HARLEY-DAVIDSONとの限定生産コラボモデル発売! GraphersRockの多彩なデザインワークを振り返る

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GraphersRock

テクノ・デジタルレイヴカルチャーをベースにしたグラフィックで活躍するアートディレクター、GraphersRock/岩屋民穂。 その最新ワークとして、ハーレーダビッドソンとのコラボレーションバイクが10台のみの完全限定生産で発売された。フュエルタンクにオリジナルのグラフィックがペイントされた〈STREET ROD® “FREEDOM” EDITION design by GraphersRock〉は、これまでのハーレーのイメージを刷新するデザインに仕上がっている。 なぜGraphersRockとハーレーダビッドソンが出会うことになったのか。 コラボレーションに至るまでの多様なデザインワークを紹介しながら、その軌跡を辿っていこう。

GraphersRockの根幹をなす音楽のデザイン

まずは音楽シーンにおけるデザインに注目してみたい。岩屋にとって、音楽の仕事は特別なものだという。 「中高生のころから音楽が生活の中心にあって、漠然とそれに関わる仕事がしたいと思っていました。デザインに興味を持ったきっかけも信藤三雄やデザイナーズ・リパブリック、ピーター・サヴィルなど、音楽と密接なデザイナーへの憧れが強かったので、音楽ありきでこの仕事についたと思っています。」 ネットレーベル、Maltine Recordsが2010年にリリースした『MP3 killed the CD star?』は、音源のダウンロードコードと空のCD-Rが付属するという、ネットレーベルにとってのCDのあり方を問いかけた一枚だ。刺激的なアルバムタイトルを、遊び心あるタイポグラフィで表現した。

GraphersRock
「2000年代、通信速度の向上やプラットフォームの進化をきっかけに個々のアーティストたちがWeb上に音源をアップし始めていて、それを発掘していくことが楽しみでした。」 その中で活動し始めたばかりのMaltine Recordsを知り、まだ高校生だったtomadtofubeatsと出会ったという。 「マルチネがCDという形で全国流通するにあたって、単なるコンピCDを作るなんてありえない。20歳前後が集まっていたマルチネメンバーたちの若さや悪ふざけ感も出したいという意図を込めました。」 2013年、tofubeatsのメジャーデビュー作『Don’t Stop The Music』は、イラストレーターの山根慶丈によるイラストを前面に打ち出し、懐かしさと新鮮さを両立させながらポップに仕上げた。以降、tofubeatsのジャケットの多くはこのメンバーで制作されているが、岩屋から見た2人の共通点について聞くと「時代性があるものをフラットに捉えているところ」だという。
GraphersRock

「イラストレーターや写真家の作品を中心に据えてデザインする際は、作品をどう盛り付けるかに徹します。細かくディレクションすると発想に制限がかかってしまうような気がして、基本的にはイメージの大枠だけを伝えてお任せしていますね。僕は上がってきたものを最良の形でしっかりデザインに落とし込む役割です。」 「聖闘士星矢のクロスのおもちゃで遊んでいた記憶がギミックの元ネタ」と語るのは、でんぱ組.inc『サクラあっぱれーしょん』(2014)のメンバー盤ジャケット。ケースを開け、グラフィックが印刷された透明フィルムを外すとメンバーの写真だけが見える仕掛けだ。 メンバーにカオスなグラフィックを纏わせる大胆なデザインは、アイドルのセオリーを覆していくでんぱ組.incの姿勢ともマッチしている。

GraphersRock
GraphersRock

最後はサンプリングしたようなビジュアルが印象的な、あっこゴリラ『TOKYO BANANA 2018』の配信ジャケット。 「自主制作盤の『TOKYO BANANA』をセルフオマージュした楽曲ということもあって、元ジャケットの素材を使ってリファインしたいと本人から提案されました。元がガーリーなコラージュだったので、それを僕なりにやり直したら……というのがデザインの大枠です。自分にはない行動力やまわりを惹きつける熱量が、彼女の最大の魅力だと思います。」

GraphersRock

リスナーとしても、上で取り上げたような若手アーティストのシーンには普段から注目しているという。 「何か新しい音楽が生まれる瞬間に立ち会いたい。今後シーンを騒がせるようなアーティストをいち早く発見したいという単純なファン心理からです。野球ファンが高校野球をチェックするような感覚かもしれないですね。」

PUMAとのコラボ、独自の視点による表現の追求

もちろん、GraphersRockのデザインは音楽だけにとどまらない。続けてファッションやアートへの広がりについてもその一部を取り上げたい。 近年、特に注目されたのはPUMAとのコラボレーションだろう。2016年の第一弾では、PUMAの90年代を象徴するランニングシューズ「DISC BLAZE」と「R698」をベースに、グラフィックとの融合を試みた。細かいマーキングでガジェット感が強調された外見と、インナーに敷かれた賑やかなグラフィックのギャップが楽しい。

GraphersRock

「商品開発の話をいただいてからドイツ本社の承認が下りるまで1年ほどの期間があり、その間、自分でもマニアの視点に立ってみようと実際に買い漁ってWebで最新情報を追い、スニーカーカルチャーに没頭しました。スニーカーが他のアパレルと決定的に違う部分は“自立”している点だと思っていて、そこが観賞性やコレクト性を高めていると考えています。そのため、身につけていなくても彫刻的、フィギュア的にイケているかという部分を強く意識しました。」

GraphersRock

さらには、クライアントワーク以外の作品制作にも取り組んでいる。 2017年には赤坂のWIRED Lab.で個展「GROUP SHOT」を開催した。会場に置かれていたのは、シリアルやジャンクフードの空き箱、日用品のパッケージに植えられた植物たち。人工的な照明のなか、量産品と生ける草花が視覚的に心地よいリズムで配置され、それらの写真とともに展示された。

GraphersRock

「一時期、狂ったように事務所内で植物を育てていたんです。その記録写真を撮り始めた際に、事務所に転がっているおもちゃやパッケージと一緒に並べてみると、なんとも言えない雰囲気が浮き上がり、この作品を作るきっかけとなりました。」

GraphersRock

作品に使われた各国のスーパーやドラッグストアに並んでいるようなパッケージは、自身がデザインの参考資料として日々収集しているものだ。「普通はゴミとして捨てられてしまうパッケージでも、集まることによって何かしらの体系が見えてきたり、意図して作られたものではない価値が生み出されていくことが非常に楽しい」という。 GraphersRockのクリエイティブは、既存の文脈を揺さぶり、ときに異質ともとれる力強いビジュアルを提案する。しかし、その異質さは見る人やファンに背を向けてしまうようなものではない。それはカルチャーを愛し、日々あらゆるデザインに興味を向け、それらがもたらす価値を真摯に考えながら取り組んでいるためだろう。 その姿勢は、次なるフィールドとしてハーレーダビッドソンとのコラボレーションにつながっていく。

ハーレーダビッドソンの歴史と新たなシーンを接続する

ハーレーダビッドソンとGraphersRockのコラボモデルは、2019年のプロジェクト、〈SEEK for FREEDOM〉で制作されたアイアン1200に遡る。昨年は「テクノロジー&ワイルディ」をテーマに、カスタム可能なあらゆるパーツにペイントを施した1台限りのコンセプトモデルを完成させた。

GraphersRock

このプロジェクトが目指したのは、ただアートピースを作り上げることではなく、ハーレーが持つ歴史と新たなシーンとの接続だ。 映画「イージーライダー」に代表されるような1960年代アメリカの自由を求める気風、1970年代のカスタム文化を色濃く受け継ぐアイアン1200を、GraphersRockのグラフィックが彩る。さらにお披露目では、tofubeatsや長谷川白紙をゲストに招いたエキシビジョンイベントを開催し、クラブミュージックや現代の若い感性とのリンクを印象づけた。 そして両者のコラボレーションは、2020年〈RE_SEEK for FREEDOM〉として再始動。冒頭でも触れた完全限定生産モデル〈STREET ROD® “FREEDOM” EDITION design by GraphersRock〉へと展開された。ハーレーの車種の中でも、スポーティで機動性に優れたストリートロッド。ブラックを基調としたダークカスタムの車体に、GraphersRockデザインのフュエルタンクが鮮やかに浮かび上がり、視線を引きつける。 岩屋によると、パワーの可視化に焦点を当てたテーマ「テクノロジー&ワイルディ」は踏襲しつつ、昨年のヒョウ柄に対して、人体の毛細血管をモチーフに選んだという。 デザインの意図や制作背景については〈RE_SEEK for FREEDOM〉特設サイトのインタビューでより詳しく語られている。ぜひそちらもお目通しいただきたい。

平面のグラフィックを越えて、ファッションからバイクまで――次々に新たなフィールドへと活動を広げるGraphersRock。未知の分野へ挑戦するとき、どのようなことを大事にしているのだろうか。 「なぜ、挑戦したことのない分野のクライアントがオファーをしてくれたのか、その意味と意図を考えます。そして徹底的なリサーチと対象を愛すること。また矛盾するようですが、リサーチし過ぎないこと。知りすぎると発想の伸びしろが薄くなると感じています。」 最後に改めて、〈RE_SEEK for FREEDOM〉特設サイトではGraphersRockがデザインした〈STREET ROD® “FREEDOM” EDITION design by GraphersRock〉の詳細なルックが見られるほか、実物を注文することも可能だ。販売期間は5月19日(火)まで。歴史に残る一台を、その目に焼き付けてほしい。

Text by 野口尚子[PRINTGEEK]

INFORMATION

GraphersRock

現在、公式サイトで、GraphersRockオリジナルデザインの壁紙とWeb ZINEが無料でダウンロード可能。

詳細はこちら RE_SEEK_for_FREEDOM 公式サイト

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【フォトダイアリー】アウスゲイルが7度の来日をオフショットとともに振り返る。STAY HOME特別企画

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アウスゲイル

2012年にリリースされ、北欧の様々なアワードを受賞したデビュー・アルバム『Dýrð í dauðaþögn』と、ジョン・グラント(John Grant)が歌詞をサポートしたその英語詞版『In the Silence』(2014年)をリリース後、2017年の『Afterglow』でさらに世界の様々な場所へと活躍の舞台を広げ、日本でも人気を博すアイスランドのシンガーソングライター、アウスゲイル(Ásgeir)。彼が通算3枚目となる最新アルバム『Bury The Moon』(アイスランド語詞版アルバムは『Sátt』)を完成させた。

Ásgeir - Youth(Official Music Video)

デビュー・アルバムでのアコースティックギターの響きと歌を中心にエレクトロニックな要素をそっと加えた簡素ながら温かみを感じるサウンドを経て、前作『Afterglow』では打ち込みのビートやコーラスアレンジなども加えながら、プロダクション面でのさらなる実験を追求した彼は、今回の新作で一度原点回帰。アルバムに向けてまっさらな状態から制作をはじめた楽曲に加えて、曲として完成していなかった過去のアイディアも活かしながら、ふたたびギターと声を楽曲の中心に据えた、そぎ落とされた“歌のアルバム”に仕上げている。 とはいえ、『Bury The Moon』は、ただデビュー作の頃の作風に回帰したアルバムかというと、そうではないだろう。今回の収録曲には、冒頭の“Pictures”や“Youth”“Breathe”などを筆頭に全編にわたってたびたび登場するホーンアレンジをはじめとして、様々な場面にかなり繊細なタッチでアレンジ面での工夫が詰め込まれていることが分かる。つまり、『Bury The Moon』は1作目のシンプルな歌心と、2作目でのアレンジ面での工夫が、絶妙なバランスでひとつになった作品であり、そうした要素が緻密に重なり合うようにして、誰かの生活や人生の機微を浮かび上がらせていくような雰囲気は、まさにアウスゲイルならではだ。

アウスゲイル

そして彼の楽曲の魅力は、レコーディング作品以上に心震わせる歌の力や、ライブでも顕著なアコースティック/エレクトロニックな音の融合などによって、音源以上にライブでこそ真価を発揮する。彼はこれまでに2014年2月に新木場スタジオコーストで開催された<Hostess Club Weekender>での初来日以降、6年間に7度来日。同年7月の<FUJI ROCK FESTIVAL ‘14>ではホワイトステージの大自然をバックに初の日本でのフェス出演を成功させると、2015年1月には東京・大阪で初の単独公演を開催。翌2016年には<Summer Sonic 2016>の深夜帯<HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER>に、ジョン・グラントとともに出演した。そして2017年には、7月の<FUJI ROCK FESTIVAL '17>と、11月の東京・大阪での単独公演で2度来日。2020年5月18日(月)に開催予定だった来日公演は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響を受けて中止となったものの、状況が整う頃には、ふたたびあの素晴らしいライブが観られることを、楽しみにしている人も多いだろう。 そこで今回は、アイスランドにいる彼に過去の来日時の記憶の中で印象的だったことを、コメント付きのフォトダイアリー形式でまとめてもらった。新作『Bury The Moon』を聴きながら、彼の日本での思い出や、日本のリスナーとの6年間に思いを巡らせてみてほしい。

text by 杉山仁

PHOTO DIARY

2014年2月 Hostess Club Weekenderでの初来日

アウスゲイル

駐日アイスランド大使館で無料ライヴ この日のことはよく覚えているよ。たくさんの素敵な人たちと出会い、とても楽しい時間を過ごした。特に柔道の世界チャンピオンだって言う人に会ったことが印象的だった。彼はすごくクールでね。この日はすごい雪が降っていて、大使館に行く道中にも写真を撮ったんだけど、日本の雪はすごく柔らかくて、ゆっくり舞い落ちてくるので口でキャッチするのが簡単だった。実は大使館のロビーで雪まみれになって撮った写真もあるんだよね。

アウスゲイル

焼肉 この来日以来、焼肉に行くことが最も好きなことの一つになったんだ。日本に来る際にはいつも同じ焼肉店に行くんだけど、そこは店内で喫煙ができるんだよね。すごく僕にとっては驚きだったんだけど、当時は多くのメンバーが喫煙していたから嬉しかったよ。今ではもう何年も吸ってないから、次来店した時はどう感じるのか、ちょっとわからないけど。

2014年7月 フジロックフェスティバル初出演

アウスゲイル
アウスゲイル

フクロウカフェ訪問 この経験はよく覚えているよ。大体ツアーに出てる時って毎日同じことの繰り返しだから、この様にドライブしてフクロウカフェに行けたのはすごく新鮮で嬉しかった。僕を含むアイスランド人メンバー全員にとって初めての体験だったので、全てのことを吸収して帰ろうとしたよ。色んな色やサイズのフクロウがいて、コーヒーを飲みながら抱っこしたりできるんだ。とりわけ記憶に残っているのが、ドラマーのヘルギが気に入ったフクロウがいたんだけど、その子が彼の頭の上に座って、帽子の上に糞をしてみんなで大爆笑したことだね。

アウスゲイル
アウスゲイル

縁日体験 これはどこかで行なわれていたお祭りのようなもので、すごく天気の良い日で気持ち良かったのを覚えているよ。手で金魚をすくうなんていう初めての経験をたくさんしたんだ。

2015年1月 初単独来日ツアー

アウスゲイル

東京公演前の楽屋での様子 出番の前にシャツにアイロンをかけているのかな。きっと初の東京公演前ですごく緊張していたんじゃないかな。あの時ステージのセットアップを手伝ってくれた人たちが、これまで出会った中でもすごくプロフェッショナルだったのを記憶している。すごくきっちりしていて的確なんだ。でもそれってほとんどの日本人の特徴でもあるんだよね。

アウスゲイル

音楽機材ショッピング これは何度か訪れたお店で、僕らが大好きなヴィンテージのシンセサイザーのコレクションが豊富なんだ。確か愛用しているRoland SH2もここで買ったんじゃなかったかな?

2016年8月 Hostess Club All-Nighterでの来日

アウスゲイル

日本のファッション誌用の撮影風景 これはファッション誌用の撮影で、メイクさんやクルーなどすごくたくさんのプロの方々に囲まれた現場だったのを覚えている。確か来日したてで睡眠不足だったんじゃないかな。でもこの水を使った撮影のアイディアはすごく気に入ったんだ。

2017年4月 プロモーション来日

アウスゲイル

桜が満開の最高の季節での来日は素晴らしかったよ。これまで見た事がないぐらいすごくカラフルだった。

アウスゲイル

寿司 日本にいる時は基本的に寿司を食べている。日本人は毎日寿司を食べることはしないんだって? でも僕たちは毎日食べる。普段寿司を食べないメンバーでさえ、日本にいる時は毎日寿司を食べるんだ。

2017年7月 フジロックフェスティバル再出演

アウスゲイル

出番前の楽屋 出演時間までこのホテルの楽屋で過ごしたんだ。素敵な景色とケータリングのスナックが印象的だった。

アウスゲイル

フジロックフェスティバル会場 確かインタビューと写真撮影で自然の中を散歩したんだけど、すごくキレイだったよ。

アウスゲイル

ハリネズミカフェ コーヒーを飲みながらハリネズミを触るなんて、初めての体験だったね。今後の人生でもそうできる経験じゃないと思うけど、すごく面白かったよ。

2017年11月 再単独来日ツアーでの宝探し企画&その勝者

アウスゲイル
アウスゲイル
アウスゲイル

これは日本のツアー会場で実施した宝探し企画。世界に一つしかないレコードが会場のどこかに隠されていて、それを見事探し当てた勝者との記念撮影。みんなのハッピーな顔を見られて楽しかったよ。これまで僕の音楽をサポートしてくれた人達とあの瞬間を共有できたのは素晴らしかった。

2020年5月 アイスランドでの最近の様子

アウスゲイル

自宅近くの林の中へガールフレンドと出かけた際に、友達が貸してくれたすごく良いカメラを持っていってこの写真を撮影したんだ。

 

Comment by Ásgeir

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アウスゲイル

Bury The Moon

Ásgeir (アウスゲイル) 2020.05.13(水)※歌詞対訳、日本盤ボーナス・ディスク付、(直輸入盤仕様) One Little Indian / Caroline UICB-1009/10 ¥2,700(+tax) <トラックリスト> [DISC 1] 1.Pictures 2.Youth 3.Breathe 4.Eventide 5.Lazy Giants 6.Overlay 7.Rattled Snow 8.Turn Gold To Sand 9.Living Water 10.Until Daybreak 11.Bury The Moon [DISC 2]1. Lazy Giants (Japan Version) 2. Rattled Snow (Japan Version) 3. Clear Sky 4. Hope オフィシャルサイトアルバム『Bury The Moon』配信中!

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ラップする理由──MEGA-G、ロング・インタヴュー

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MEGA-G

音楽ライターの二木信が、この困難な時代(Hard Times)をたくましく、しなやかに生きる人物や友人たち(Good Friends)を紹介していく連載「good friends, hard times」。国内のヒップホップに軸足を置きながら執筆活動を展開してきた二木が、主にその世界やその周辺の音楽文化、はたまたそれ以外の世界で活躍、躍動、奔走するプレイヤー(ラッパー/ビートメイカー/DJ)、A&Rやプロデューサーなど様々な人物を通じて音楽のいまと、いまの時代をサヴァイヴするヒントを探ります。 第3回目に登場するのは、昨年11月にオリジナル・ファースト・フル・アルバム『Re:BOOT』をリリースしたMEGA-G

「俺は『Re:BOOT』を置き土産にラップをやめるつもりで、すべての気持ちを注ぎ込んで作ったんです」。MEGA-Gは、インタヴュー開始から数分で驚くような発言をした。が、その発言の真意は、以下のインタヴューを読んでもらえれば、伝わるにちがいない。ヒップホップを深く愛し、ヒップホップ・カルチャーの現状に対して確固とした意見と優れた批判精神を持つ1981年生まれのラッパー、MEGA-Gに前々からじっくり話を聞きたいと考えていた。そして昨年取材を申し込んだタイミングで、ソロ・アルバム『Re:BOOT』のリリースを知らされた。 2019年は、USヒップホップにおいて、ベテランの充実した作品が出た年でもある。ギャング・スター(Gang Starr)『ワン・オブ・ザ・ベスト・イエット(One Of The Best Yet)』とブラック・ムーン(Black Moon)『ライズ・オブ・ダ・ムーン(RISE OF DA MOON)』がその代表例だろう。翻って国内をみると、そうした世代のUSヒップホップに影響を受けたラッパーの充実した作品が発表されている。たとえば、B.I.G.JOE『Tenderness』や田我流『Ride On Time』などが挙げられる。MEGA-Gがみずからプロデュースを務めた『Re:BOOT』も間違いなく、そうした素晴らしい作品のなかの1枚だ。DJ SCRATCH NICEやZKA、MASS-HOLEらの強靭かつソウルフルなブーム・バップを基調に、レゲエ/ラガがあり、MEGA-Gなりのトラップへのアンサーもある。エンジニアはI-DeAが務めた。 昨年11月30日から約1週間、東京・蒲田駅東口から歩いて数分ほどの、呑川沿いにあるマンション1階に設けられた特設会場でMEGA-Gのポップアップショップが開かれた。MEGA-Gが客演参加した作品のCDの視聴ができ、アルバム・ジャケットの原画なども飾られ、オリジナル・デザインのグッズやアパレルが販売された。地元の仲間たちも集まっていた。取材はそのタイミングで行っている。いろいろ訊きたいことがあった。『Re:BOOT』についてはもちろん、彼が愛する〈ダック・ダウン(Duck Down Records)〉への想い、これまでのキャリア、いまのヒップホップについて考えること、そして「ラップをやめるつもり」という発言の真意と“ラップする理由”について。

MEGA-G
MEGA-G
MEGA-G
MEGA-G

MEGA-Gもまた、多くの表現者がそうであるように、満を持して発表した新しい作品を引っ提げてライヴを精力的にこなしていこうという矢先に新型コロナウイルスのパンデミックに襲われ、ライヴを思うようにできないでいる。しかし、MEGA-Gは不屈の魂で必ずや「再起動」するだろう。その根拠は、以下の1万2千字をこえるロング・インタヴューにある。

INTERVIEW:MEGA-G

──まず、『Re:BOOT』の制作をいつからはじめたのか聞かせてもらえますか? 4曲ぐらい入っている、いちばん最初のデモCDに2016年って書いてあったから作りはじめたのはそれぐらいの時期ですね。DJイヴィル・ディー(DJ Evil Dee)に直接会いに行ってビートの交渉をしたのもそのころ。VIKNが店長を務めるJUICE BAR WAVE(現:JUICE BAR ROCKET)でAKAIのMPC Renaissance(サンプラー)を使ったビート・メイキングのワークショップ(2016年12月22日)をやったんですよ。“病む街 3000”をいっしょに作ったOMEN 44がイヴィル・ディーとのあいだに入ってくれて、さらにそのワークショップがはじまる前にVIKNから交渉する時間をもらって。そこで挨拶をして自分のアルバムを渡して、「俺はあなたの大ファンだ。いっしょに1曲作ってもらえないか?」と伝えた。そしたらOKの返事もらえて、さらに何曲かやろうと言ってもらって、結果2曲作りましたね。

病む街 3000 - Omen44 feat. Mega-G, Shadow The Great Produced by Lord 8erz, Scratches by Dj YOHEI

──イヴィル・ディーは2019年に16年ぶりとなる最新アルバム『ライズ・オブ・ダ・ムーン』をリリースしたNYブルックリンのグループ、ブラック・ムーンのメンバーであり、数々のヒップホップ・クラシックを生み出してきたビートメイカー・デュオ、ダ・ビートマイナーズ(Da Beatminerz)の一員です。さらに、そのブラック・ムーンは、ブート・キャンプ・クリック(Boot Camp Clik)というコレクティヴに所属している。そのブート・キャンプ・クリックの作品を中心に、数多くの重要な作品をリリースしているレーベルが〈ダック・ダウン〉です。MONJUのMr. PUGはレーベル〈DOGEAR〉を設立するとき、〈ダック・ダウン〉をひとつのモデルとして考えていたと語ってくれたことがあります(『ele-king vol.18』特集「いまヒップホップに何が起きているのか?」2016年)。MEGA-Gくんは、ブート・キャンプ・クリックや〈ダック・ダウン〉の魅力をどこに感じていますか? 90年代にUSでもインディ・レーベルが乱立した時期はあったけれど、いま生き残っているレーベルがどれだけあるかと言えば、ほとんどないじゃないですか。そんななか、そういうインディ・レーベルの先駆的存在である〈ダック・ダウン〉はスタンスを変えず25年も活動をつづけている(〈ダック・ダウン〉の設立は1995年)。そのブレなさが彼らの素晴らしさです。自分たちの手の届く範囲に音楽や作品を届けた上でツアーもやり、応援してくれるファンや地元のために地域密着型のバーベキュー・パーティーやフリー・ライヴもやってみんなを喜ばせている。愛してくれる人たちやコミュニティにそういうかたちで愛を返しているのがすごくステキだし、見習いたいですね。音楽においてもちろんビジネスも大事だけど、音楽をライフとして楽しむことはもっと大事ですよね。そういうことを彼らから教わってきました。俺が最も憧れる人たちが変わっていないから、俺もブレずにやろうと思える。バックショット(Buckshot|ブラック・ムーンのラッパー/〈ダック・ダウン〉の設立者のひとり)はいつ聴いてもバックショットのカッコよさがあるし、ショーン・プライス(Sean Price|ヘルター・スケルター【Heltah Skeltah】のラッパー/2015年に亡くなる)は死んでからも何枚もアルバム出しているじゃないですか。そういうタフさも魅力ですね。

Black Moon - Creep Wit Me

──アルバム・タイトルの『Re:BOOT』、またMEGA-Gくんが主宰するレーベル〈BOOT BANG〉にも、ブート・キャンプ・クリックの「BOOT」が組み込まれている。タイトルやレーベル名にはどんな意味合いを込めているのでしょうか。 「REBOOT」には「再起動」という意味があるじゃないですか。当初の計画ではこのアルバムを平成のあいだに出して、そこから自分の人生をラッパーとしても社会人としても「再起動」するつもりだった。それでこのタイトルにした。ところが制作中に足を骨折して長期入院まですることになってしまった。退院はできたけど、こうして足を引きずっているし、いまも酒が飲めないぐらいの重傷だった。アルバムが9割ぐらいできていたのに考えていたプランが全部流れちゃったんですよ。もう本当に心が折れかかりました。そんななか、お見舞いに来てくれた人が励ましてくれたり、Twitterでファンの人からの応援の声に触れたりして、もうちょっとだけ頑張ろうって思えて作品をなんとか出すことができた。俺にとって『Re:BOOT』はジェイ・Z(Jay-Z)の『ブラック・アルバム(Black Album)』(2003年)のようなものです。ジェイ・Zはあの作品を最後にラッパーを引退するつもりだったじゃないですか。その後復活しましたけど、あの作品を聴けば、本当に引退するつもりですごい集中力を込めて1曲1曲作っているのがわかる。だから、聴き流さずちゃんと聴き込めば、いろいろ感じ、考えることができる。俺も今回のアルバムを、全体を通してメッセージのある作品にしたかった。そういう意識で、全曲全力でラップしていますね。しかも、いままでやってこなかった、パーソナルな部分や、ヒップホップを通して俺の考えている意見や主張をどれだけ発信できるかを重視したんです。 〈BOOT BANG〉というレーベル名には2つの意味があります。ダブル・ミーニングです。まず、〈BOOT BANG〉って日本語の発音に置き換えると、“ブート盤(海賊盤)”になるじゃないですか。これにはそもそものレーベルのはじまりが関係しています。2010年にMUTAと『WHITE BOX』、そしてその直後にMUTAとDJ 49とともに『BASIC TRAINING』という2枚のMIXCDをリリースした。当時はSEEDA & DJ ISSOの『CONCRETE GREEN』も勢いがあったし、俺もMIXCDでいろんなチャレンジをしてみたかったんです。前者は、その前年に発表したJUSWANNA『BLACK BOX』のラップを同年のUSのヒップホップのビートとブレントしたもの。後者では、90年代の日本語ラップ・クラシックのビートに、俺やMSC、いろんなラッパーの既存のラップと書き下ろしのヴァースをブレンドした。 両者とも既存のヒップホップのインストを使うビート・ジャックがコンセプトです。つまり、〈BOOT BANG〉は“ブート盤(海賊盤)”からスタートしている。そこに、ブート(BOOT)で撃ち抜く(BANG)という意味をかけている。そして、いつか俺なりの本物のヒップホップを詰め込んだファースト・アルバムを出す、そこまでのヴィジョンを意識して〈BOOT BANG〉というレーベルをはじめたんです。それから、〈CPF〉というレーベルのクラウドファンディングの会員限定で何枚かソロ・アルバムを出しましたけど、こうして誰もが聴ける一般流通でのオリジナル・フル・アルバムははじめてです。だから、俺にとってはレーベル設立以来、9年越しのオリジナル・ファースト・フル・アルバムになる。

MEGA-G
MEGA-G

ここでMEGA-Gのディスコグラフィーを簡単に整理しておこう。2006年にラッパー、メシアTHEフライとDJ MUTAらとのグループ、JUSWANNAとしてEP『湾岸SEAWEED』(本作収録の“東京Discovery”と“ブストゲスノエズ”は16FLIPが最初に世に出したビート)を、2009年、同グループのファースト・フル・アルバム『BLACK BOX』を発表。2012年にクラウドファンディングの会員限定流通作品としてファースト・ソロ『JUSWANNA is dead』を、翌2013年に同じく会員限定でセカンド・アルバム『ORIGINAL SOUNDTRACK FROM THE M.E.T.S. LIFE』を発表している。ちなみにソロ作品の両者にはそれぞれ一般流通のリミックス盤が存在する。では、ここで、MEGA-Gのバイオグラフィーについてもたずねてみたい。取材は、東京都大田区西糀谷にあるカナエ産業の町工場で行われた。最寄り駅は浜急行電鉄空港線の糀谷駅。そこではスケボーの板を使用した椅子作りなどもしているという。目の前には、さまざまな金属の部品や機械が置かれている。ここがMEGA-Gの地元だ。『Re:BOOT』には、同じく城南出身のKM$とT2Kをフィーチャーした“Southern Hospitality”という城南をレペゼン(代表)する曲がある。地元はどんな土地なのだろうか。 大田区は見てのとおり、京浜工業地帯の一角で、工場が多い地域です。いまは元気がないけど、まだまだ町が活気のあった俺らの子供のころは、それこそメシアの「光化学スモッグどんづまる」(“大焚湾景”『湾岸SEAWEED』収録)っていうリリックにあるとおり空気も悪かった。俺にとってもここがスーパーネイバーフッドで、自転車で5分くらい行けば実家。うちも車の整備工場で、俺はそこの倅。ガッチャンガッチャンやっているところで育ちましたね。そういう町工場で、もう亡くなってしまったラジオ好きのおじさんが働きながらいつも音楽をかけていて。だからなんとなく小さいころから音楽っていいなあっていうのはあった。 俺が中学高校時代(1994年~2000年)はストリート・ダンサーとスケーターがとにかく多かった。このあたりはストリート・ダンサーとスケーターが支配していましたね。蒲田駅西口の東急ストアのガラス張りの壁の前で練習しているダンサーに憧れて観に行ったりしていたし、同級生や先輩にはスケーターがたくさんいましたね。そのなかのひとりがメシアだった。俺は蒲田で、メシアは隣町の大森が地元だった。ヤツは、俺が出会った16歳ぐらいのころにすでに地元の超有名人だったんですよ。ラップもしていたし、高校もすぐにフェイドアウトして腰ぐらいまであるドレッド姿でコンビニの深夜アルバイトしていましたから。まあ悪いコンビニだったんですよ(笑)。メシアとかスケーターの友だちに連れられてクラブに遊びに行くなかでヒップホップっていうカルチャーを少しずつ認識していった。 それ以前に、ラン・DMC(Run-D.M.C.)がラップしている『ゴーストバスターズ2(Ghost Busters II)』(1989年)のメインテーマを聴いたり、昔のアメリカ映画を観たりするなかでラップという音楽をなんとなく認識はしていたし、『浅草橋ヤング洋品店』(通称「浅ヤン」。テレビのバラエティ番組)に出演したダイアナ・キング(Diana King)がウーハーを積んだ車の上で“シャイ・ガイ(Shy Guy)”(1995年)を歌う企画に食らったりもしていた。“シャイ・ガイ”はブラック・ミュージックとの最初の出会いですね。また、「ギルガメッシュないと」っていうエロ番組でリセット・メレンデス(Lisette Melendez)の“グディ・グディ(Goody Goody)”(1994年)の超ダサい日本語カヴァーを聴いたあとにオリジナルを聴いてぶっ飛ばされて、そういう曲がのちに遊びに行ったパーティでかかってうれしくてどんどんハマっていった。

Diana King - Shy Guy

そういうクラブに連れて行ってくれるのがスケーターだったから、当時のスケーターのビデオとかも観るじゃないですか。そうすると、ビースティ・ボーイズ(Beastie Boys)といっしょにハード・ロックやパンクも使われている。そういう音楽にも関心があったし、日本のロックも聴いていました。イエモン(THE YELLOW MONKEY)なんて高校のころにバイトした金でチケット買って横浜アリーナにライヴを観に行くぐらい超大好きだった。同時に、TM NETWORKや初期から電気グルーヴを聴いているようなテクノ好きの姉ちゃんがいたから、“虹”(1995年)とか“Shangri-La”(1997年)も聴いていた。それでもやっぱりヒップホップが好きだったから、このカルチャーに携わるにはどうしたらいいんだろうって考えた。金もないガキだから機材を買うのに金がかかるDJはまず無理だと。そうなると、残された選択肢はダンスかラップなんです。でもダンスは体型的に絶対無理だから諦めようと(笑)。そうすると、ラップしかないわけです。そんなことを考えている矢先に、俺がヒップホップを聴いていると知った超やんちゃなDJの先輩に呼び出されるんです。それが15、6歳、中3の終わりぐらいのことです。 ほぼ知り合ったばかりのその人に『お前、ヒップホップが好きらしいな。だったらラップやれよ!』ってなかば強引にラップをやらされることになって。でも、ヒップホップを聴きはじめたばかりだからラップのやり方もわからないわけですよ。そしたら、その先輩のDJから「ビギーを聴け! 日本語ラップは聴くな」とひたすらビギー(The Notorious B.I.G.)を聴かされて洗脳されました。そんな“日本語ラップ否定派”のやんちゃな先輩が唯一俺に聴いていいと許可してくれたのがMICROPHONE PAGERだったんです。だから俺はMICROPHONE PAGER、特にTwiGyさんにめちゃくちゃ影響受けているんです。

MICROPHONE PAGER - 改正開始

──それからラッパーとしてどういう活動を展開していくんですか。 俺は最初、ラッパーとしてジャイアンって名乗っていました。藤子・F・不二雄先生を冒涜するかのように、ジャケットにドラえもんのジャイアンを使い、イントロでドラえもんの曲を丸々使う、というとんでもないデモテープを作りましてね。まだ18歳になる前でした。そのデモテープを渡すために、〈EL DORADO〉(DEV LARGEが1997年に立ち上げたレーベル)が渋谷のクラブ・FAMILYでやっていたイベントに行ったり、学校をサボってMASTERKEYさんとMAKI(THE MAGIC)さんがラジオの公開収録している現場に行ったりしていました。すげえ勢いで飛び込んでいくんであちこちでけっこう苦笑いされましたね(笑)。でもとにかく、自作のデモテープを聴いてほしくて渡り歩いていました。 ──MEGA-Gくんは正式なメンバーではなかったそうですが、ZEEBRAが90年代後半に立ち上げたクルー、URBARIAN GYM (UBG)の準メンバー的存在で、DJ KEN-BOの運転手やレコード持ちをやっていた経歴もあるそうですね。 18、19歳ぐらいのころは、ZEEBRAの“真っ昼間”のMVとあの曲が収録された『THE RHYME ANIMAL』(ZEEBRAのファースト・アルバム/1998年)に刺激を受けまくっていた時期なんです。そのジブさんが「デモテープがあるヤツはガンガン持って来い」って<THE LIVE ANIMAL'98 JAPAN TOUR>のビデオで発言していたのを真に受けて突撃したんです。1999年のB-BOY PARKで当時、UBGに所属していたOJ & STのOJくんと出会い、その流れでSTさんやD-Originuさんともリンクした。そうして、1999年末に川崎のCLUB CITTA'であったイベントのときにバックヤード(楽屋)に入れてもらって、ジブさんにフリースタイルを仕掛けるという(笑)。そういう勢い突っ込んでいた時期ですね。まだ2ちゃんにもヒップホップのスレッドがないころに、「サグ(THUG)板」や「友情BBS」、「韻化帝国」というヒップホップの掲示板がネット上にあって、そこに書き込んで情報をゲットしたり、議論したりしていた名もなき戦士、名もなきB・ボーイでしたから。だから、クラブにももっと行きたいじゃないですか。でも金がない。じゃあ、どうするか。「クラブで働いている人かクラブでDJやっている人についていけばいいんだ」っていう発想になる。それでKEN-BOさんの運転手やることになった。だから、俺にとってヒップホップのDJの原点はKEN-BOさん。プレイを観てDJの勉強をしていました。でもいろいろきついこともありましたけどね。三宿のPARADISEってクラブで5時間のロング・セットをやるときに鬼のようにレコードバッグを持って行くんですよ。マジで肩がぶっ壊れるかと思った(笑)。

ZEEBRA - 真っ昼間

LICENSE TO ILL/MEGA-G feat. DJ MUTA(beat by NAGMATIC)

──2019年5月2日にこんなツイートをしていますね。「僕の中で業界の門を開けてくれたのはOJ&ST、初めてスタジオでマイクの前に立たせてくれたのはZEEBRA、そして業界の内側を教えてくれたのがD.Lなんです」と。そして、〈BOOT BANG〉のHPの「Feat. Works」の欄のいちばん古い楽曲が、2004年8月4日の“RICE/侍 Feat. L-VOKAL & MEGA-G”(RICE『Power Of Heat』収録)となっています。このあたりの時代の話を聞かせてもらえますか。 まずSPHERE(旧SPHERE of INFLUENCE)とL-VOKALも俺の初期の活動を支えてくれた重要人物です(SPHERE of INFLUENCE、L-VOKAL、DJ MAROKから成るクルーがCIG)。SPHEREから紹介されたL-VOKALが、当時レコーディングの経験もほとんどない俺にスタジオの現場を見せてくれたし、俺をフックアップして世に出してくれたのはCIGなんですよ。2002年ぐらいにL-VOKALのDJをやっていたT-TRO a.k.a TAKUYA TROPICANAのミックステープ(『BACK TO THE 95』)に入れるフリースタイルを録ろうって誘ってくれたのも彼らだった。そのラップが、デモテープ以外で俺がはじめて世に出したものです。D.O.くん、SPHERE、L-VOKAL、MCG名義の俺のフリースタイルが収録されている。 そして、その翌2003年にSPHEREがDEF JAMから出したセカンド・アルバム『ATLANTIS』収録の“FABULOUS 5”(feat. L-VOKAL、MEGA-G、KM-MARKIT、D.O)と“Dirty South”っていう2曲に参加して俺はデビューしたんですよ。Dirty Southっていうのは、SORA3000、 DOC D、SPHERE、俺の城南出身の4人で組んでいたグループで、ビートはWong Gun。Wong GunはいまのBACHLOGICですね。しかも、当時まだBEAT LEGENDという名義でやっていたと思うけど、D-ST.ENTの故・二木崇さんのレコードからサンプリングしてビートを作ったときは、Wong Gun名義だったんですよ。そういうルールがあった。これは余談ですけど、BLがラップやる時はSPYDERという名前でやっていて、超カッコよかった。5lackのフロウの原型のようにも聴ける。 ──このときはMEGA-G名義になっていますよね。 そうですね。ある時、SPHEREとステーキを食いに行ったんです。ちょうど俺の誕生日が近かったから、ヤツが「500gのステーキを食ったら奢ってやるよ」って言ってきて。それでまんまと俺が完食したんです。で、そのステーキの名前がメガステーキだったから、メガ・ジャイアンでMEGA-Gになったわけです(笑)。その後、2004、5年くらいから〈Libra〉と合流して、DJ DOMMONのミックステープ(『GETTIN' HOT』)で初めて〈Libra〉の仕事をすることになるんです。 ──MEGA-Gくんと日本語ラップ、日本のヒップホップの歴史との深いつながり、またそういう歴史の継承ということで言えば、『Re:BOOT』の“Outta Here”というスキットは重要です。このスキットはYOU THE ROCK★の語りのみで構成されています。 その次の“RAP IS OUTTA CONTROL”という曲のなかに「今の現状からoutta hereさせられるのを考えた事あるかキッズ?」というリリックがありますよね。このラインにつながるイントロが欲しいとまず思い立った。そこで当然思い出したのが、YOUさんの大傑作『THE★GRAFFITI ROCK '98』に収録されているスキット“OUTA HERE(REAL SHIT PT.1)”だった。YOUさんは、KRS・ワン(KRS-One)の“Outta Here”のファースト・ヴァースを日本語訳して自分なりの味付けをしてライヴで朗読したものをここに収録した。俺はその詩のあるいち部分を変えていただき、朗読してもらうつもりだったんです。そういうオファーをするためにYOUさんに会いに行った。 そしてその場でまず“RAP IS OUTTA CONTROL”を聴いてもらいました。すると、YOUさんが、その曲でスクラッチされているTwiGyさんの「ラップじゃねえか たかが」(“改正開始”)というリリックを聴いて、『俺もこのリリックを使おうと思っていたし、俺もこれがマジ言いたかったことなんだよ』と言ってくれた。「リンクした」と感激しましたね。さらに、YOUさんはその場でノートを開いて新しい詩を書いてワンテイクでバシッと録音をキメてくれたんですよ。それで完成したのがあのスキット。しかもYOUさんが“Outta Here”を当時作ったのは、ビギーが殺された直後の気持ちを残し、伝えておきたかったかららしいんです。その話を聞いてなおさら自分のアルバムに詩を朗読してもらって良かったと思いましたね。

KRS-One - Outta Here

──日本のヒップホップ、人生の浮き沈みを経験して見てきたYOU THE ROCK★だからこそ成立していますよね。また、KRS・ワンの“Outta Here”が収録されたアルバムのタイトルが『リターン・オブ・ザ・ブーム・バップ(Return of the Boom Bap)』(1993年)です。直訳すれば、「ブーム・バップの逆襲」となる。『Re:BOOT』もまさに「ブーム・バップの逆襲」というのがふさわしいヒップホップ・アルバムです。同時に、“808 is coming”でトラップにも挑戦している。この曲はMEGA-Gくんなりのトラップに対するアンサーですね。 トラップをディスりたいとか、そういうことではないんです。ただ、同じ打ち方のハイハットに同じようなスカスカのビート上で、みんなが同じようにフロウをしているのを聴くと、「なぜ、みずから個性を殺しているんだろうか?」「ヒップホップは個性が大事なんじゃないか?」と強く思う。そこから来た俺なりの問題提起です。そこで、トラップのビートで2、3曲ぐらいはやろうかと当初は考えていたけど、1曲入魂で作りました。 けれども、単なるトラップ・チューンをやるつもりはなかった。そこでI-DeAくんからまさにアイデアを授けられたわけです。それこそKRS・ワンの〈ブギ・ダウン・プロダクションズ〉(Boogie Down Productions)に所属するラッパー、D・ナイス(D-Nice)にその名も“TR 808 イズ・カミン(The TR 808 Is Coming)”(1991年)という曲がある。それが元ネタで、BPMもほぼほぼいっしょです。ただ、ドラムの打ち込みを今風に変えて、D・ナイスの曲を100回くらい聴いた上で、90年代からいまに至るまでのヒップホップを吸収した俺なりのアンサーや解釈をリリックとラップに込めた。ヒップホップには絶対に欠かすことのできないドラムマシーンであるTR-808にすべてを関連付けながら、だけど、ドラムマシーンの808なのか、“あっちの808”なのか、そのあたりも混ぜて考えさせるようにしている。「ダブル・ミーニングだぞ、わかるか?」と。トラップをやるにしても、フロウもリリックも内容も大人の余裕を見せた曲に仕上がっているはずですね。

D-Nice - The TR 808 Is Coming

MEGA-G “Stonedz iz the way feat. DOGMA/808 is coming”

──いま“あっちの808”という話が出ました。イヴィル・ディーがビートを作りラッパーのDOGMAが客演参加した“Stonedz iz the way”は単なるストーナー・ラップではなく、ウィードが法律で禁止されている日本の現状に対する異議申し立てになっています。 DOGMAとのSTONEDZのアルバム『STONEDZ PROJECT』(2016年)で俺たちなりのいわゆるストーナー・ラップの最高峰を作ったんです。だから、このトピックを扱うのであれば次のレベルに行かなければならないし、ラッパーとしていまの時代にこのことについて歌うのならば、メッセージが重要じゃないですか。「俺たちはぶっ飛んでるぜ、ウェーイ!」っていうのは若い人に任せておきたいです。 ──近年、舐達麻やジャパニーズマゲニーズが活躍していますが、日本語ラップにおけるストーナー・ラップの重要作のひとつと言えば、2014年に公開されたSTONEDZの“HIGH BRAND”のMVですよね。日本語ラップにおけるこの領域の先例には、THINK TANK『BLACK SMOKER』(2002年)の当時としては衝撃的なジャケがありますが、このMVもすごい。アムステルダムで撮っていますね。 アムスには2012から2013年にかけて3回くらい行っています。2012年はカンナビス・カップの25周年で、その記念大会に行きました。それが初アムスです。カンナビス・カップ(The Cannabis Cup)にはアメリカからゴーストフェイス・キラー(Ghostface Killah)やスタイルズ・P(Styles P)、ノリエガ(N.O.R.E.)らも来ていてすごい盛り上がりで衝撃を受けて。それで翌2013年の4月20日に再訪するんです。そこで、“HIGH BRAND”のMVを撮るためにアムスでも5本の指に入るぐらいのGREY AREAという有名なコーヒーショップに通い詰めることになる。 だけど、そのお店のなかで撮影をしたいと、店主に頼むと最初は「バカヤロー!」って感じで門前払いをしばしば食いまして(笑)。それでもめげずに、このお店をロケで使いたいという情熱を伝えるために毎日オープン前から並んで、オープンと同時に入店して居座るというとんでもない荒技を駆使すると、だんだん店主も優しくなってきて。「お前らはファミリーだ」なんて認めてくれて、店のメニューにないものも売ってくれました。そして帰国が迫るなかで再び撮影のお願いをすると、「じゃあ、今晩撮ろう」ってボソッと言ってくれた。斜め前のお店で寿司の出前を取ってくれた上に、「撮影には太いジョイントが必要だろ?」と、お店からのご好意であのMVに登場するでっかいジョイントを提供してくれたんです。25グラムも詰まっていて顔面がめっちゃ熱かったです(笑)。

HIGH BRAND feat. DOGMA

──なるほど。また、先ほどからビギーの話がしばしば出てきていますが、“Stonedz iz the way”では、ビギーの“エブリデイ・ストラグル(Everyday Struggle)”(『レディ・トゥ・ダイ(Ready To Die)』1994年)のラップがスクラッチされています。 あのスクラッチはDJ DOMMONですね。実は“I LOVE YOU SON”の最初のヴァージョンは、ビギーがジェイ・Zといっしょにやっている“アイ・ラヴ・ザ・ドウ(I Love The Dough)”と同じネタでビートを組んでいたんです。アルバムやEPを出すときには必ず1曲はビギーへのオマージュを入れるようにしているんですが、なんとこのヴァージョンがいちどポシャッてしまった。それで気持ちが萎えているときにLIBROくんのアルバム『SOUND SPIRIT』のレコーディングに誘っていただいて“ライムファクター”を録音して。そこで、スキル・トレードというかたちで俺のアルバムのためにビートをもらえませんか? とお願いしてもらったのが完成した“I LOVE YOU SON”のビートだった。 ところが、この曲が完成する前に足を骨折して入院するんです。その入院中にT2KくんのEP『continue...』の“Fuck You to Money”の秋田犬どぶろくの声がすごく染みて。俺にはいま秋田犬どぶろくが必要だと思い、彼を誘わせてもらったんです。昔からOZROSAURUS“My Dear Son”がすごく好きで、自分もいつかそういう曲を作りたいと考えていたんです。2014年に子供が生まれているんですけど、実は俺、その直後にちょっとパクられてしまって。だから、子供に会いたいけど会えないつらさ、懺悔、そういった素直な気持ちを込めたファースト・ヴァースは留置所のなかで書いている。そしてセカンド・ヴァースで奥さんにたいする感謝を込めつつ、自分のいまの現状を伝える構成にした。そして、秋田犬どぶろくともうひとり、この曲をともに作るラッパーが必要だと考えたとき、真っ先に思い浮かんだのが、PRIMALだった。かつては共同生活をしていたし、PRIMALが奥さんと出会って、結婚して、子供を授かるまでの過程を見て知っている。子供のためにラップをちょっと休んで仕事を頑張っているのもカッコいいし、俺が思うカッコいい父親のひとりだから誘いましたね。 ──この曲のセカンド・ヴァースで「大どんでん返しも多めだが舞い込んで来る大本命のMADONNAを手に入れるlike SEANPENN」というラインがありますよね。このあたりをみずからRAP GENIUSしてもらうとどう解説できますか? マドンナ(Madonna)が結婚していたショーン・ペン(Sean Penn)との関係が破綻するなかで作っていた『ライク・ア・プレイヤー(Like a Prayer)』(1989年)というアルバムのなかに“キープ・イット・トゥゲザー(Keep It Together)”という曲が収録されているんですけど、この曲はスライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)“ファミリー・アフェア(Family Affair)”を冒頭で引用しているんです。それで、俺にもいろんな家庭事情があるけれど、それを乗り越えて一緒に歩んでいこうという意味を込めて「family affair超えてkeep it together」と続けている。さらに「21g新たに背負い」というのは、タイトルは魂の重さが21グラムであると唱えたある科学者の説に由来する、ショーン・ペン主演の映画『21グラム(21 Grams)』からの引用です。新しい魂は、つまり子供のことですよね。そうして、ここではマドンナとショーン・ペンを使ってラップを展開させているんですよね。全曲こうして解説しようとすれば、できますね。それぐらい、引用とライミングと意味なんかをかけた仕掛けをすべての楽曲にいろいろ張り巡らしています。

MEGA-G

──MEGA-Gくんは元々ライミングをかなり徹底していましたが、この作品で意味の関連付けや論理展開も強化して、表現をより豊かにしています。 Genaktionさんのブログ「探求HIP HOP」と出会ったのがすごくデカいです。USのヒップホップの対訳を調べようとリサーチすると、ある時期から必ずGenさんのブログがヒットするようになったんです。で、そのGenさんのリリックの解説と対訳がものすごく面白くて。Genさんが自主で出したZINE『HIPHOP ANTI-GAG MAGAZINE』も買って読み込むなかで、あらためて、リリシズム、巧妙な韻の踏み方、比喩表現の方法を学んでいきましたね。先日、DARTHREIDERさんがWREPでやっている番組に呼んでもらった際に、荏開津(広)さんとGenさんもいらっしゃっていて、そこではじめてお会いしました。俺のアルバムをすごい褒めてくれて、めちゃくちゃうれしかったですね。ヒップホップについて深く学ぶ機会を与えてくれた方なので、アルバムのスペシャルサンクスにも名前を入れさせてもらっています。だから、このアルバムには俺がここ何年間でさらにヒップホップから学んだことが反映されていると思うんです。 ここ数年、ラップは大きなブームにもなったし、ヒップホップの認知度も上がったと思う。だけど、ラッパーやプレイヤーが年齢を重ねてもヒップホップを続けたいのであれば、常に知識や経験を増やす努力をすることが絶対大事だと思う。そういうラッパーが増えて、ヒップホップが文化としてしっかりこの国に根付いてほしいと思うし、このアルバムがそういう点で何かしら貢献できたら俺はうれしい。そのことを感じられたときに、はじめて作品を出したという達成感を得られるかもしれないですね。 同世代のサイプレス上野がよく「俺らは泥水の世代」みたいな言い方をするじゃないですか。たしかに、俺らはヒップホップがまったく流行っていなくて、テレビにも取り上げられない時代を経験している。でも、サイプレス上野はいま浮上している方ですからね。俺なんてもう泥水どころじゃなくて、下水だったぜと(笑)。そういった日本語ラップやヒップホップの歴史や良い面と悪い面のどちらにもちゃんと向き合ってヒップホップという文化を愛しているヤツが真のラッパーじゃないですか。

MEGA-G

──そんなMEGA-Gくんだからこそ、ラップをやめるか、やめないかを真剣に悩み、悩みつづけているとも言えますね。“Rhyme and reason”の「もう月日や金これ以上費やしても無意味なだけ......既に限界さ稼ぎと才能このゲーム常にスピーディなんだぜ?」というラインにその気持ちが象徴的に表れています。 新しい才能を発掘するディレクターやプロデューサーの仕事もしたいと思っているんです。とにかくいまは、この作品にすべてを注ぎ込みましたから、しばらくは新しい作品を作らないです。残量がゼロなんです。いま振り返れば、JUSWANNAではメシア、STONEDZではDOGMAという相方がいて、俺より彼らのほうが人気があったと思うんですよ。俺は常にナンバー2だったし、そのポジションをキープしようとしてしまったところがあった。今回のソロ・アルバムではそこを払拭したかった。 それともうひとつ、実は半分ぐらい完成している段階であるレーベルに持ち込んだんです。そうしたら、ディレクターの方からすごく遠回しな表現で「あなたはいま自分たちのレーベルに必要ありません」って厳しい答えが返ってきた。それは本当に悲しかったし、なにより悔しかったんですよ。それで絶対世に出してやるって逆に燃えました。“Two Turntables and a Mic”の「売れないものには消極的なrecord deal/お前らの後悔マイクで総取り/忖度無くても良い音楽は支持される/それはきっとこんな歌」ってラップしたのはそういう経験があったからです。 だから、いろんな意味でどうしても出さなきゃいけない作品だったんです。だけど、3年の制作のあいだに何度も「この作品は本当にリリースできるのか?」っていう不安に襲われて。もしかしたら完成前にラップをやめざるを得なくなって、作品を完成させられないかもしれないという危機感もあった。そんなときに俺のなかで何かが変化したんです。それは、自分のことを応援してくれる人に会って話すときにすごく熱くなるものを感じていたんですよ。そして、俺にとっての“ラップする理由”はこれだったのかもしれないと、作品を出し終えたあとにはっきり気づいたんです。だから今後また、出会いがあったり、環境の変化があったり、海外に行ってみたり、そういう経験が積まれて新たな“Rhyme and reason”ができたときに、また新たな作品を生まれてくるはずだと思います。

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取材・文/二木信(TwitterInstagram) 写真/Yohji Uchida(Instagram) 取材協力/蒲田YUGEN、(有)カナエ産業(Instagram

『Re:BOOT』

MEGA-G

2019.11.03 MEGA-G 〈Boot Bang Entertainment〉

01. I’m going thorough changes(beat by DJ SCRATCH NICE) 02. muddy waters(beat by VAL) 03. stonedz iz the way/feat. DOGMA(beat by DJ EVIL DEE) 04. southern hospitality/feat. KM$&T2K(beat by ZKA) 05. I love you son/feat. PRIMAL & 秋田犬どぶ六(beat by LIBRO) 06. 93interlude(beat by DJ CARREC) 07. two turntable & a mic(beat by DJ CARREC) 08. lowend theory(beat by DJ EVIL DEE) 09. champion sound/feat. N.E.N&BLAHRMY(beat by NAGMATIC) 10. license to ill/feat. DJ MUTA(beat by NAGMATIC) 11. 808 is coming (beat by I-DeA) 12. outta here/feat. YOU THE ROCK★(beat by I-DeA) 13. rap is outta control(beat by LIBRO) 14. rhyme and reason(beat by MASS-HOLE)

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『Re:BOOT』配信はこちらからgood friends, hard times

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